2012年7月14日(土)愛知工業高校での例会の記録の第3ページです


 簡単歯車楽器 (飯田さん  

 鉄の歯車を使った頑丈な歯車楽器は、性能は高いですが値段も高価で、一般的に使われているとはいえません。そこで、もっと安価に手作りできる歯車楽器を考えました。

 PPシート(厚さ.75mm程度が作業しやすい)を丸く切り、端が歯車状になるように一穴パンチでカットしていきます。
 
 音階の振動数比になるように歯の数をあわせた数枚のシートを、丸くカットしたスポンジで間隔を取り、ABS樹脂パイプにさしていきます。

 こうして作った歯車セットを、羽根をはずした扇風機のモーターにとりつけます。
 ABSパイプの径が、ちょうどモーターの軸に合っていて、ピタッとはまります。
 扇風機を回し、歯車に名刺などのようなやや硬い紙を押し当てると、紙が振動し音階が聞こえます。

 扇風機は夏ならどこにでもあるでしょうし、歯車セットさえ作っておけば、どこでも実験できます。何より安価です。
(パンチなど、やや根気の要る作業が必要ですが・・・・)
 

 本の紹介 (鈴木さん  
 昭和29年の発行の古い数学の本です。
 面白いのは、数学の本にもかかわらず、物理に関する演習問題が豊富に見られることです。
 例を挙げてみます。
 指数関数領域で、太陽の赤道半径から体積を計算、あるいは光の速度から1光年の距離を計算、等々です。

 数学とはいえ、単なる数の計算演習より、現実の実体についての計算を演習するほうが、計算の意味がよくわかるのでしょうね。

 遠山 啓 著(山海堂) 手に入れるのは難しいかも。
 

 水中での光の速度 (林さん  

 前回の例会で、卓上型光速度測定装置を使って、水中の光速を測りましたが、値がいまいちでした。これは水の容器の表面出の反射などが原因であろうと考え、余分な光がこないように、1/4λ位相差フィルムと直線偏光板で表面での余分な反射光をカットするようにしました。その結果、いい値の測定値を出すことができるようになりました。
 卓上型光速度測定装置の本体部分。     塩ビ管(1m)の中に水が入れてあります。  反射鏡(リフレクター)です。
 塩ビ管を光の進路に入れたときと、ないときでの時間差を測ります。

 オシロで読み取った時間差の測定結果は、2.2nsでした。



 水中の屈折率(n=1.33)を上式にいれ、凾煤2.2nsを使うと、
 c=3.0×108m/s になります。
 cを与えて、nを求めることもできます。

 
  光が水中を通ったときの2つのフォトダイオードの信号波形。   塩ビ管を取り外したときの2つのフォトダイオードの信号波形。

 <参考> 卓上型光速度測定装置  
 

 1/2λ位相差フィルム (林さん  

 卓上高速度測定装置には1/4λ位相差フィルムが使われています。位相差フィルムには他にも1/2λのものもあるのですが、高価です。
 ところが、25μmの厚さのセロファンテープが1/2λの位相差フィルムのはたらきをすることがわかりました。
 これなら安価ですね。

 1/2λ位相差フィルムのはたらきは、フィルムに入った位相差軸の成分が1/2λ(位相差π)ずらすことです。高速軸の成分は変わらないので、結局、フィルムに入った光の偏光軸(斜め45度)が、出て行くときは斜め135度の直角方向に変えることになります。

 2枚の偏光板の軸が平行の場合、セロファンテープを通った光は偏光軸が直交しているので暗くなります。
 
 当然ですが、2枚の偏光板の偏光軸が直交していれば、セロファンテープを通った光は偏光軸が2枚目の偏光板と平衡になるので明るく見えます。
 セロテープへの入射光が、高速軸方向だけであれば、(あるいは位相差軸方向だけでもよい)、出て行く光の偏光軸は変化しないので、右の写真のように明るく見えます。
  

   [前ページへ]