2014年9月27日の記録の第2ページです


 interactive physics (植田さん  

 interactive physicsというアメリカで開発されたシュミレーションソフトの翻訳版を1万円ほどで購入し紹介してくれました。

 このソフトは、さまざまな運動のシュミレーションを行うことができ、運動の軌跡だけでなく、v-tグラフやx-tグラフ、数式などを表示することもできます。

 植田さんは、物理の苦手な生徒にいいのではと提案されましたが、参加者からはデータが細かく表示されすぎること、シュミレーションから着目する要素を絞るのが困難なことから、苦手な生徒は混乱する可能性が指摘され、逆に得意な生徒の演習問題等の思考実験の確認に使えるのではという意見が多く出ました。
 このように軌跡を表示することもできます。

 卓上版!静電気メーター (田中さん  

 これまで静電気メーターの開発に尽力されてきた田中さんですが、今回はこれまでの演示用静電気メーターを生徒実験用にアレンジしました。

 生徒実験ではそれなりの数が必要ですので、これまで以上に安価にと、ケースはアルミからタッパーに変更し、卓上に置いて皆で見やすい形状にしました。

 もちろん、液晶表示や演示用に必要十分な機能は備えています。

<参考> 静電気メーター(田中さん)
 机の上で班活動するのに最適です。

 ガイガーカウンターNEW表示ソフト (田中さん  

 リーズナブルなガイガーカウンターを自作し、授業に利用できるよう全国に広めている田中さんですが、今回は授業で使いやすいように、パソコンの画面に表示するソフトウェアを改良しました。

 これまでは、放射線量のみの表示しかできなかったものを、様々なデータをリアルタイムで見えるようにしました。


<参考> ガイガーカウンターと液晶表示器(田中さん)


 一度にさまざまなデータが見れるようになりました。

 慣性の(?)法則 (前田さん 
 授業でやってみた慣性の(?)法則の実験を紹介してくれました。

 右のように、ワイングラスを12個、ゴルフボールを各色4個、計12個用意し、ワイングラスの上に透明プラスチック板を置き、板の上からグラスの中心を確認し、そこにゴルフボールを並べれば準備完了です。

 ゲームは、プラスチック板を引き抜き、いくつのゴルフボールをワイングラスに入れられるかというものです。
 ちなみに、前田さんは引く側から遠い白は一個1点、ピンクは3点、黄色は5点としているそうです。
 色鮮やかなボールもありますが、色で得点を変えています
 早速、チャレンジしてみましたが、白しか入りませんでした。

 ゲームをやり慣れている前田さんにもやってもらうと、かなり多くの数が入りましたが、引く時に板を斜めにしているという声が...

 生徒達に色(得点)の配置を考えさせるとさらに教育的かもしれませんね。

 遠くの白が入りやすいのは、引いたとき、板の上で摩擦力を受ける時間が短いためのようです。
 摩擦力による運動の教材にもなるかも...


 直線電流にはたらく力(前田さん  

 教科書にも出てくる平行な直線電流にはたらく力ですが、実験を行っていない学校がほとんどではないでしょうか?

 前田さんは改良の末、この実験に成功しました。

 工夫したことは、@大電流を流すこと と A導線を動きやすくすることです。

 @については、ブレーカー付きで60Aまで流せる電源装置を使い、Aについては導線との接合部にHDの部品を使い、摩擦力を小さくすることに成功しました。
 これまで実験はあまり見た事がない実験です。
 電流を流すと、2つの導体が勢い良く離れていきます。

 大電流を流すので、細心の注意が必要ですが、教科書に書かれた現象を実際に見せられるのは非常に魅力的ですね。   
 接合部は摩擦を減らすため、ベアリングと分解したHDDの部品を採用。

 アーチ構造はなぜ強い (飯田さん  
 「ギリシャのパルテノン神殿等は構造物がほとんど残っていないが、イタリアのローマ時代の建築物は残っている。」と友人であるイタリア人が誇らしげに語っていましたが、その原因はアーチ構造を中心建築構造の変化にあることはよく知られたことです。

 飯田さんはアーチ構造が安定する理由について分かりやすく書かれた「構造の世界」J.E.ゴードン著(丸善)を見つけ、その説明をまとめてくれました。

 アーチを幾つかに分割して考えると2つの物体の接点では必ず接触面に垂直な垂直抗力が加わります。つまり、それぞれの物体が受ける力は、自重による重力と垂直抗力のみになります。

 
 これなら簡単に実験できます。
 ここで、Bについての力のつり合いを考えると、重力と垂直抗力Nの合力がNとなります。言い換えると、重力は垂直抗力Nを鉛直方向に変える働きをしているのです。

 アーチ構造の建築物の端の柱の上に彫像などがあるのは、この垂直抗力の向きを鉛直方向つまり地面の方向に限りなく近づけ、偏心を防ぐ工夫だそうです。
 恐るべきアーチ構造です。

 空気鉄砲 (飯田さん  
 吹き矢に似た構造のように思えた空気鉄砲ですが、「空気を入れて飛ばすとよく飛ぶのに、水を入れると飛ばないのはなぜか」との疑問が小学生から出されました。

 空気鉄砲の仕組みは、吹き矢のように一定の力Fにその方向への変位sの積では考えられないようであることは分かりますが、どのように考えればいいのか思案してきました。

 今の、飯田さんの考えは、等温変化で筒の圧力が増し、ある気圧(今は2気圧と仮定)になったとき、弾が摩擦の限界となり、空気の断熱膨張(断熱変化)で弾が飛び出すというものです。

 さらに、圧縮空気がほぼ広がりなく、そのまま弾を押し出すと考えると、筒が4倍に長くなると、ほぼ2倍の速度になると考えています。
 p-Vグラフで描くと良く分かりますね。

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