2016年7月23日(土)明和高校での例会の記録の第2ページです。


 回折格子がつくる明線は円錐形!? (小野さん)  

 CDやDVDの干渉縞は円形に見えるのはなぜ?

 レーザー光を回折格子に斜めに入れると、反射光による明点と透過による明点が曲線を描きだします。

 さらに回折格子の角度をつけて行くと、曲線の曲がり方が増していきます。
 観察するうちに、小野さんは明孤点が円を描くのではないかと考え、明点を360度通して観察できる装置を作りました。
 透過、反射で上下に分かれ、ともに明点をつなぐと曲線を描きます。
 透明全球の中央に回折格子を固定し、上部の半球はやすりでこすり、すりガラスの様にしました。

 また、100円ショップの直径29pのざるで作ったガイドレールにレーザー光源を固定し、鉄製スタンドの自在はさみでガイドレールを回転させることで、格子面となす角を変えることができるようにしました。
 半円球に回折格子が固定してあります。
 ここで、水平方向からレーザー光を入れます。
 すると、球の円周上に明点がきれいに並びました。

 これには参加者からも感嘆の声があがりました。
 円周上に明点が並ぶことが観察しやすいようにすりガラス状に。
 小野さんはさらなる探究で、鉛直方向に伸びた針金に斜めからレーザー光を送ると、針金にレーザー光が当たった点を頂点とし、レーザー光の進行方向を円錐の母線とする円錐の底面を示す、円周上に明点が並ぶこともつかみました。

 理論的にすっきり理解できませんが、反射と透過の関係を見つめ直せ、自然の作る形の神秘も感じ、とても興味深い内容でした。
 見事、明点が円周上に並んでいます。


 吹き矢  (岡田さん  


 NHKの教育テレビ「物理基礎」で上向きに吹き矢の実験をやっているのを見た岡田さん。この方が、仕事からエネルギーーへの変換が分かりやすいのではと考え、例会で試してみようということに。

 ストローの長さを1:2にして、それぞれ吹き矢を入れ、2本まとめて下から吹きましたが、何度やっても、短い方の矢が出てきませんでした。

   
 一度も上手くいきませんでした。NHKの番組は編集でしょうか?
 結局、水平方向に発射することに落ち着き、水平を保つため、ブロワーで吹きました。
 結果はほぼ理論通りになりました。

   
 面白味は少し失われますが、理論に近い結果となりました。


 IHの原理 (前田さん)  


 自冷式の電源から発振回路で404kHzの交流に変え、自作のコイルに電流を流し、コイル内に金属棒を入れます。

 このとき、金属棒には渦電流が流れ、自身の抵抗でジュール熱が発生する誘導加熱という現象が起こります。

 この原理を応用しているのが電磁調理器です。

 電源は直流電源から、回路で交流に変換しています。
 前田さんは、初めにこの原理を使って、鉄釘を加熱することで、水を瞬時に沸騰させる実験を紹介してくれました。

 次に、渦電流が流れているときの交流の周波数を調べてみると、周波数が変化していることが気付いたそうで実演してくれました。

  周波数は、コイルに入れる金属が鉄製の棒では363kHzになり、そのままに電流を流し続けると、一段と周波数が下がりました。
 鉄釘を加熱し、その熱で水を沸騰させます。
 これは、鉄が温度上昇し、キュリー点を超えたため、強磁性体から常磁性体に変わったためと考えられそうです。
 他の金属棒で試してみると、ステンレスは440kHz、銅は459kHzになりました。

 また、アルミニウムで太さの違うものを試してみると457kHzと500kHzで太いパイプの方が周波数の変化が大きくなりました。

 さらに、アルミニウムパイプの長さを短くしていくと、周波数が発振された404kHzに近づきます。  これらのことから、アルミの表面に渦電流が発生すると磁場が弱まり、アルミの内部は磁場がなくなり、直径が減ったのと同じようにLが減る効果になるのではという意見がありました。
 周波数が変化する理由を参加者で考察しました。


 センサーを使った授業 (井階さん)  

 明和高校に4月に赴任した井階さん。時間を見つけ、授業に使えそうな実験器具を探しているそうですが、スーパーサイエンスハイスクール関係の予算で購入されたセンサー類が豊富にあることが分かり、授業で使用してみました。

 授業では、生徒実験として斜面に上向きの初速度で動き始めた台車のv−tグラフのデータを取らせました。

  
 実験結果をすぐグラフ化できるのは、分かっている生徒には効果的!
 クラス全体のデータを集め、excelでまとめてグラフ化することで、方程式を導くことも考えているとのことでした。
 短時間で生徒実験が行えることにメリットがあります。


修学旅行の客船で (井階さん)  

 先日、修学旅行で生徒を引率した井階さん。

 旅行の行程にあった、瀬戸内海遊覧でのこと。

 客室でしばらく景色を楽しみ、その後、外に出ると、生徒に記念撮影をねだられるなど、楽しい時間を過ごしていたところ、声を掛けられました。
 
 臭いを感じたそうですか、まさかそこまでとは。
 「先生、マスクが・・・」

 井階さんがその日に使ったマスクは真っ黒になっていました。

 後々、生徒との写真を見て、ビックリ、客室から出てそれほど時間が経っていないはずのマスクでも黒くなっているのが分かります。

 船舶の排ガス規制は、自動車等に比べ、緩いそうですが、ここまでだと、楽しいはずの遊覧が、観光として成り立たなくなるように思います。
 笑顔でにっこりのはずが、写真を見ると笑顔ではいられませんね。


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