2003年物理教育研究会(APEJ)夏季大会での「起電ポンプ」製作

2003年8月18日〜19日、慶應義塾高校(日吉)で開かれた物理教育研究会(APEJ)の夏季大会で
YPC(横浜物理サークル)は物理工作コーナーを担当した。右近修治先生の指導で「起電ポンプ」を製作した。


 これが右近先生発明の「起電ポンプ」。振るだけで発電できる静電誘導起電器だ。正負の電荷が両端に現れる。

 原理はケルビンの「水滴発電器」(下図)と同じである。水滴の代わりに二個の導体球が往復して電荷を運ぶ。上図中央斜線部がニュートライザー、リングは誘導電極である。

 材料は木の丸棒、同じ径の木球、OHP用トラペンシート、銅箔テープ、アルミホイル、針金など。工具としてはさみまたはカッターナイフとホットボンド用グルーガンが必要。

 OHPフィルムは絶縁性のよいものでないと使えない。表面加工していないスタンダードなものがよい。一枚ごとに帯電防止の薄い仕切り紙が挟んであるものが適合品だ。

 最近のOHPフィルムはPPC用でも表面に帯電防止加工が施してあるものがある。それらは電荷がリークしてしまうため使えない。

 最初の工程は木の丸棒と木球をアルミホイルでていねいに包むこと。金属棒、金属球でもよいが、装置が重くなって振るときに強度的な心配がある。

 OHPフィルムの筒と電極の接着はホットボンドで行う。絶縁性が優れている。セロハンテープは導電性があるので禁物。

 ニュートライザーを中央にして二つの筒を接着し、球を入れた後、両端を短い丸棒の電極で閉じ、ホットボンドで止める。さらに両端を外側からアルミホイルで包み込む。

 ダイソーの銅箔テープを外側に巻いて誘導電極とする。最後に針金で配線してできあがり。静電気は意外なところからリークするので、性能の向上のためには、電極間の絶縁を常に意識すること。

 こんなふうに二つの検電器の間を往復させると、それぞれのはくがどんどん開いていく。「起電ポンプ」の詳しいしくみや作り方は、YPCニュースNo.184または「物理教育通信」誌の右近先生の記事を参照のこと。


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