例会速報 2025/04/13 都筑区民文化センター ボッシュホール・Zoomハイブリッド


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YPC例会のもようを写真構成で速報します。写真で紹介できない発表内容もありますので、詳しくは来月発行のYPCニュースで。例会ごとに更新します。過去の例会のアルバムここ

授業研究:授業開きの報告 みんなの発表 
 斎藤さんは、新年度高2の物理を受け持つ。最初の授業では学校にあったポンポン船(左図)の実験とビー玉スターリングエンジンの実験(右図)を生徒実験として行わせた。後者は先月の例会での越さんの放出品を譲り受けて活用したもので、微調節しやすいようにあえて注射器を固定せず滑り止めシートの上に立てている。バランスのキープにコツがいるが、大方の班は成功していた。実験後、スターリングエンジンが動く仕組みやポンポン船と共通することなどについて考察させた。まだ難しいが、種明かしは今後の学習のお楽しみと言うことで。
 

 伊藤さんは、今年度は化学基礎2単位と物理基礎2単位を担当している。初回の授業では今後学習することに関連することを扱おうと考えて準備した。
物理基礎では東京書籍の教科書にはやぶさ2の写真が載っていたのでその写真を用いて授業を行った。参考にしたのは喜多さんの授業だという。授業の流れは次の通り。
・教科書のはやぶさ2の写真を見てこれから学習する運動やエネルギーの学習と関連があることを話した。
・宇宙のスケールを知ってもらおうとPowers of Ten(日本語音声付)を視聴した(左図)。
・視聴後、朝日新聞2018年6月28日のはやぶさ2に関する記事を配った。この新聞記事は「朝日けんさくくん」でダウンロードした。
・新聞記事から「3年半かけて32億キロを飛行」という言葉を探してもらった。
・その後、平均の速さを単位km/sで求めた。次の授業で速さを学習することを予告した。
 化学基礎ではこれから学習することの予告として炎色反応に関して青色の折り紙を燃やした。例会会場では燃やすことはできなかったのでYoutubeにアップされていた動画で説明した(右図)。
 

 菅野さんは、高校2年生と中学生1年生の担当となり、高校生の方には手を動かす大切さを学習できるように、先月の例会で越さんから分けていただいたCDを用いた虹の観察を授業開きとして行った。変色するダイオードは無かったため100円ショップで売っているカラーフィルムを発光ダイオードに貼り付けて作成した。生徒の反応としては簡単な作業でも円形の虹という今まで見たことない現象に興味を示し、色によって円の大きさが異なる事に疑問を抱いていた。
 中学生は授業開きとして、集中力についての話をした。はじめに、先生の服装をみていましたか?と聞きネクタイの色に注目させる。続いて目を閉じさせて普段使っているスマートフォンの一番右下にあるアプリは?と質問し考えさせてから確認させる。次にスマホを閉じ、今の流れの中で確実にスマホの時計は目に入っているはずなので今の時間を答えさせるとほとんどの生徒は答えられない。このように、何を意識して聞くかによって目に入っていても情報が流れてしまう可能性があることを生徒に体感させる。
 最後にスマホのくだりの時にこっそりネクタイを着替えておき、ネクタイの色がいつの間にか変わっていることを確認させて集中力をどこに寄せるか判断することが大事だと伝える。生徒の反応としては一番最後が盛り上がり、いつの間に着替えたのか分からないとかなり驚いてくれるので面白い。
 参考動画:https://youtu.be/GZGY0wPAnus?si=I51lqrTsxGYBKLkp
 

ビースピの赤外線を見る 喜多さんの発表
 ビースピの商品名は「簡易速度計」だが、喜多さんは速度の定義「移動距離÷経過時間」にこだわって、「距離39mm通過時間測定器」と名付けている。この経過時間測定に関わっている光ゲートセンサの赤外線LEDについて説明があった方がよいと考え、ミラータイプのポリカーボネイト板(厚さ0.5mm)の使用を思いついた。
 

 測定モードになると光ゲートセンサの赤外線LEDが点灯する。その光を受光するフォトダイオードの間をふさぐとキャッチされ、LEDは消える。間をふさがないように、少し離れた位置にミラータイプのポリカーボネイト板を取り付けたものを配置して、撮ったものが下の二枚の写真である。
 肉眼ではわからないが、スマホやビデオカメラで撮影すると、CCD撮像素子は赤外線も感知するので光っているのがわかる。授業では、家にあるリモコンが発している赤外線LEDの光をスマホ・ビデオカメラが認識することを示してから行った。
 

トスマシーン2 天野さんの発表
 天野さんから前回例会でも紹介があった「バッティングトスマシーン」。前回は時間の関係で詳しく観察できなかった部分を改めて詳しく見せてもらった。
 

 自走式台車はかなりしっかりとした作りでよくできている。前回よりも若干スピードアップしたという。トスマシーンにPETボトルでボールをキャッチする受け筒をとりつけ、この台車を走らせながら投射をさせる。動画は前回例会の報告を参照のこと。
 

アラカルト 加藤さんの発表
 パズル好きの加藤さんは、さまざまな小ネタを持ち込んで、次から次へと繰り出した。左は三重県の桑名駅のレストランで食べたハマグリラーメンのハマグリの貝殻。色のうすい部分に幾何学的なギザギザ模様がある。これは何だろう?と加藤さんは疑問を投げかける。自然にできるものなのか、それとも人為的なものか、誰も答えられる人はいなかった。
 右は、9個のサイコロのようなものが枠にはめられていてそれぞれ回転する見たこともないシロモノ。旅行用のワードパズルらしい。ランダムに表示された文字を組み合わせて単語を作る遊びのようだ。
 

 左はガラス球の内部にドラゴンの像がレーザーで焼き込まれているオブジェ。多分水晶玉ではないだろう。右は馬蹄3個を組み合わせた知恵の輪パズル。例会の時間内では解けそうになかった。
 

 左は子どもが三つ編みを練習するためのおもちゃ。右は同じく子どもの手先トレーニングのための「しりとりリング」。しりとりで順につないでいくと一周して輪になる。加藤さんは他にもたくさんの話題で例会を盛り上げてくれた。
 

ばねばかりの代用にゴムひも 西尾さんの発表
 西尾さんは、力のつりあいの学習で、おもりを2つのばね秤につるして、まずばね秤を対称的に開くとき、次にばね秤を非対称に開くときについて、各秤の引く力の大小関係を順に問う課題を以前から出していて、今年度から始まった教職課程の授業で久々に実践した。
 

 対称的に開くときは開きが大きいほど力が大きくなるが、非対称に開くときは逆に開きが小さい秤の方が力が大きくなるので、単純な類推では間違えてしまい、力の合成・分解の作図を使って考えられるかがカギとなる。今回の受講学生21名の回答結果は、上下の画像のとおりだった。 

 
 この確認を実験で行うためのばね秤が職場になく、この課題では単に力の大小さえ判別できればよいため、パジャマなどに使う平ゴムひもでやってみた。ばね秤で演示していたときは代表生徒に読ませていたが、ゴムひもの長さの変化で力の大小関係が教室全体で確認できるので、このやり方の方がよいことがわかった。ゴムひものばね定数や弾性限界の兼ね合いで、ゴムひもの長さやおもりの重さの調整は必要かもしれないが、お試しあれ。

反発係数の悩み 峯岸さんの発表
 峯岸さんは、反発係数が突拍子もなく導入されることに戸惑っていた。反発係数に意味を持たせたいと考え、「仕事とエネルギー」の単元の中で仕事をされていないのに運動エネルギーが減少する現象に直面させ、「運動エネルギーの損失分がどれくらいか」を運動エネルギーの損失比で定量化し、反発係数を導入するという流れはどうだろうかと考えた。
 高いところにある非弾性ボールが床に衝突し、わずかしか跳ねない現象を例とする。この非弾性ボールは床から受ける力からは仕事をされていないのにも関わらず、運動エネルギーは床に衝突する直前と衝突した直後では明らかに減少している。そこで「系の力学的エネルギーは、系外に熱が放出されたときにも減少する」ことに気付かせ、放出された熱を定量化するために、運動エネルギーの損失比で表すことを提案する(左図)。最後に平方根をとれば、今日まで定義されている反発係数と同等な式を意味ありげに定義することができる(右図)。
 

 例会参加者から、「では2物体が衝突する場合はどうなるのか。」と質問があったが、「それは2物体のどちらか片方に観測者を置いて、相対速度を考えれば、同じように運動エネルギーの損失比に平方根を取る形で、反発係数を再定義することができる。」と峯岸さんは提案していた(左図)。しかし、例会参加者から「衝突前と後で観測系が異なるから、運動エネルギーの損失比を単純に比較することはできない。」と指摘があった。また「反発係数はあまり意味を持たせる物理量ではない。相対速度の大きさの比が一定である、というただそれだけでよいのではないか。」「仕事とエネルギーの単元ではなく、運動量の単元で導入するのもあり。「力積と運動量の関係だけでは式が足りないから衝突に関する新たな法則を導入しよう」という流れで、反発係数を扱ってもよい。」とアドバイスがあった。

落体が床にぶつかる直前の速さ 島村さんの発表
 島村さんは、自由落下した物体が床にぶつかる直前の速さを求める方法について生徒に考えさせている。記録タイマーを使う方法やストップウオッチで時間を測って計算する方法などは生徒も思いつく。他にも可能な方法があれば持ち駒にしておきたいと例会でアイデアを募った。できれば誤差の少ない測定法がよい。参加者からはビースピによる直接計測や手を放すときと床についたときの音を活用して時間を計測する方法などが提案された。
 島村さんは改めて「計測」と「計算」は別物であることを実感し、実験後に生徒たちに考えさせてもよいと感じた。
 

二次会 センター北駅前「魚民」にて 
 12名が参加してカンパーイ!例会本体には対面で15名、オンラインで6名、計21名の参加があった。今回の会場は今年開業したばかりの公共施設で、例会での使用はもちろん初めて。駅からも近く使い勝手の良い会場だった。今回はたまたま空いていたが、今後知名度が上がると競争率も上がってしまうかもしれない。


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