例会速報 2025/05/11 県立横浜南陵高等学校・Zoomハイブリッド


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YPC例会のもようを写真構成で速報します。写真で紹介できない発表内容もありますので、詳しくは来月発行のYPCニュースで。例会ごとに更新します。過去の例会のアルバムここ

授業研究:運動の表し方 伊藤さんの発表 
 伊藤さんは物理基礎の序盤の授業について報告した。学年共通テストでもあり、足並みもそろえなければならないので、教科書から大きくはずれたことも難しい。伊藤さんは次のような進行で授業を行った。
1.授業開き
2.速さ 人の歩く速さを求めた。
3.速度、等速直線運動 ストロボ写真の読み取りを行った。
4.速度が変化する物体の運動のv-tグラフの面積を考えた。
5.等加速度直線運動 斜面を転がる物体の運動のストロボ写真の解析を行った。
6.式で表す
7.速度が変化する物体のスピードメーターの読み取り
 

 生徒はiPadを持っているので、iPadのスローカメラを使って自由落下する物体の加速度を求めてみた。使ったものはiPad、釣りの重り(金属球、10号)、1メートル定規、雑巾(床に敷く)である。釣具屋に行くと釣りの錘として穴開きの鉛の球が手に入る(左図)。例えば、10号だと直径は19mmである。真球ではないので転がすことはできないが、落下運動や振り子の錘として使うことができる。何より安い。
 iPadで自由落下する金属球を定規とともに撮影した(右図)。その後、iPadの動画編集の画面で時刻指定することにより、速度が求められ、v-tグラフから加速度を求めることができる。動画撮影は30 fpsの通常動画と120fpsのスローがある。両方とも動画から加速度を求めることができる。30fpsの通常速度は1m定規全体を写してもピントが合うが、120fpsのスローはピントが合わせにくいので1m定規全体を撮影することは難しかった。
 

 iPadでは0.01秒単位で時刻を指定できる。時間間隔が短くなると速さが減少しているように撮影されてしまう箇所が出てきたため、測定は0.1秒単位で行った。0.1秒ごとに物体の位置を測定すると、ピントが合わせにくい120fpsのスローでは0.1秒ごとに求められる速度が3点(v-tグラフに打つことのできる点が3つ)、30fpsの通常速度では4点(左図)と少なくなってしまう。0.1秒間隔だととれるデータが少ないが、時間間隔を短くするとデータのばらつきが大きくなってしまう。求められた重力加速度は9.5-14m/s^2の間に分布し、分散が大きかった。
 例会参加者からは物体の上部を基準として位置を図るとよいというアドバイスがあった。1フレームの露出時間は明るさによるが、シャッターを開くタイミングは一定間隔だという理由である。
 

 伊藤さんは、この運動の表し方の単元で生徒の学習活動でどのようなことができるか悩んでいる。例会参加者からは「ストロボ写真(上右)の解析を行ったが、ストロボ写真は今の生徒にはなじみが薄い可能性があるので、ストロボを実際に見せてもよい。」「記録タイマーとテープを使っての測定は行わせたほうがよい。」という意見が出た。
 例会後伊藤さんは、「わざわざiPadを使うよりも記録タイマーで自由落下する物体を測定したほうが分散は小さくなり、とれるデータもよいのではないか。」と思った。
 

折り紙を燃やす 伊藤さんの発表
 4月例会で青色の折り紙を燃やすと緑色の炎色反応が見られることを報告した伊藤さん。前回の会場は火気厳禁だったが、今回は実験室で暗幕設備もあるので、実際に色々な色の折り紙を燃やして比べてみた。
 

 青色、濃い青色や水色の折り紙からは緑色の炎がでた(上右、下左)。水色は青色の折り紙に比べて少し緑色の炎が少ないように見えた。
 

 緑色の折り紙からも緑色の炎が見えた(下左)が、紫色の折り紙からは緑色の炎は見えなかった(下右)。
 ネット情報によると、青・緑の印刷インキには銅フタロシアニンが使われているので、銅の炎色反応が見られるらしい。フタロシアニンブルーは青色顔料の王様らしく、日本国内の生産量が年間15000トンを超えるとのこと。
 

 赤系の色紙では緑色の炎色は見られない(下図)が、写真で見ると炎の色はそれぞれ微妙に異なるようだ。例会参加者の中には他の色の折り紙でも炎色反応が少し見えたと指摘した人もいて、白色の折り紙を燃やした時には漂白剤にナトリウムが含まれているからナトリウムの炎色反応が見えるという指摘もあった。
 

注射器ポンプと逆止弁 山本の発表
 2002年4月例会でナリカの渡辺泰樹さんが提案した注射器の「簡易真空ポンプ」を使った真空実験は、その後YPCの定番実験となり普及した。山本はこの発想を、逆に加圧ポンプとして使えないかと考えた。注射器の方は同じ加工で、ビニルテープの吸気弁を穴の内側から貼るだけでよい(右図)。これで加圧ポンプになる。
 問題は圧力容器側の逆止弁である。岩手の岩間さんは自転車のタイヤ用バルブをPETボトルのキャップに取り付ける方法を開発しているが(例:2011年2月例会)、もっと手軽に安く作れないだろうか。できれば子どもが工作できるぐらいにしたい。 
 

 チューブはこれまでも真空実験で使ってきた、外径7mm、内径4mmのガソリンチューブを使う。このサイズが、注射器のノズルにぴったり合い、真空にしてもつぶれないので好都合だ。しかも、以下に示す「引きばめ」工法が使える。耐圧容器のキャップに6mmの穴をあける。先端を斜めにカットしたガソリンチューブを差し込むが、外径7mmなので当然通らない(左図)。そこで、ペンチで斜めの先端をしっかりつまんで無理矢理引っ張ると、ガソリンチューブが若干伸びて細くなり穴を通過する。力を緩めればまた元の太さになり、穴の内側に密着する。これで十分気密が保たれ、接着剤は不要である。
 さて、ここからが本題。圧力容器側の逆止弁をビニルテープで作るには穴の周りにある程度の広さの平面が必要だ。そこでふと思いついたのが、ミシンの下糸用の「クリアボビン」(ダイソーで6個入110円)だ。この穴の径がちょうど6mmで加工不要なのである。この穴にガソリンチューブを同様に「引きばめ」する(右図)。
 

 チューブが完全に貫通したら先端をカッターナイフでボビンのつばに沿ってカットする(左図)。最後にその上から18mm幅のビニルテープを正方形に切って貼り付ければ逆止弁のできあがり(右図)。
 

  これをそのまま炭酸飲料用耐圧PETボトルにねじ込めば加圧実験ができる(左図)。ボビンがちょうどPETボトルの口を通る大きさなのもうれしい。
 山本はこれを「空気の質量を測る実験」に使うつもりだ。注射器の目盛りで圧入した空気のおよその体積がわかるので、例えば50mLシリンジで10回圧入して、圧入前の質量との差を取ると、500mL分の空気の質量が測定できる寸法だ。水上置換で実際の体積を測定してみると、ほぼ正確だということが確認できたので、水上置換なしのお手軽実験でよさそうだ。今の気温で1.2g/L程度の測定結果が得られるので十分だろう。

トスマシーン3 天野さんの発表
 3月、4月の例会でも紹介された鉛直投射/斜方投射の実験だが、天野さんはこのたび3台目のトスマシーンを調達し、良好な結果を得た。ペットボトル製の発射筒に、戻ってきたボールがピタリとおさまる。動画(movファイル:2.5MB)はここ
 

ドンキの電動歯ブラシ 加藤さんの発表
 藤沢のドンキホーテで入手したという電動歯ブラシ。単4電池1本で25000rpmの振動をする。机の上に置くだけで生き物のように動き回る。動画(movファイル:3.7MB)はここ。おもちゃの動力として使えそうだ。店頭価格は、1本548円、2本768円(各税込)、3本で998円(税抜)だそうだ。各地のドン キホーテを回ったが、この安価な電動歯ブラシは藤沢駅東口の店しか置いていないのが不思議だと加藤さんは言う。。
 そういえば昔、「ゲジ虫」なる工作がはやったことがあったっけ。1998年10月例会同年12月例会に懐かしい画像がある。

ルーレット栓抜き 加藤さんの発表
 加藤コレクションの栓抜き。正式名称は不明。重心部分にイボのような突起があり、テーブルの上で回転させるとルーレットになる。パーティグッズだろう。「指さされた人は隠し芸を披露」とか・・・。資生堂の男性化粧品TECH21と、車載音響メーカークラリオンの販売促進品らしい。1980年代のアイテムか。 動画(movファイル:1.4MB)はここ

フォレストパズル 加藤さんの発表
 加藤さんの知人の小西一哲氏製作のフォレストパズル。知恵の輪のように白い輪を外すことができる・・・はず。(実は二次会の席で市原さんが解いてしまった。)

天井に書けるボールペン 加藤さんの発表
 三菱鉛筆Uniブランドのパワータンクボールペンのリフィルカートリッジ。インクが加圧・密封されているので、仰向けになってもメモを取ることができる。宇宙船の中でも使えるとか。本体がなくてもこれだけで使えるので、便利でお得である。色は黒赤青の三色、文具スーパーの事務キチで一本88円。左利きの人の横書きや、またアラブ諸国の人の右からの押し書きにも適しているのだそうだ。

江戸の時 山本の発表
 千葉県立松戸高校で行われた2025年3月例会で、越市太郎さんから分けていただいたものの一つに学研の「大人の科学マガジンVol.28」(未開封)があった。そのふろくは「二挺天符式和時計」(下の写真)である。江戸時代の櫓時計をモデルにした機械時計で、オリジナルは重錘式だがこれはゼンマイ仕掛けだ。プラモデルのように2時間ほどで組み立てられる。左図の上部にある黒い横棒が「天符(または天府)」と呼ばれるねじれ振り子で、中央の軸を中心に水平面内でねじれ往復運動をする。天符の軸に取り付けられたツメが、右図の左上に見える「雁木車」を天符の一往復について1コマずつ進めるという脱進機構が時計の心臓部だ。授業で使うとしたら、生徒に注目させたいのは、なぜ江戸の時計は「二挺天符式」なのかということである。振り子が2つある時計など想像がつかないに違いない。
 実は上の長い天符は昼用、下の短い天符は夜用で、夜明けと日暮れに自動的に切り替わるようにできている。
 

 明治以降は時間の刻みが一定の「定時法」だが、江戸時代は「不定時法」で、夜明け(日の出の約35分前)を「明け六つ」、日暮れ(日の入りの約35分後)を「暮れ六つ」と定めて、その間を昼夜それぞれ6等分して「一刻」を定めていた。つまり、夜と昼で「一刻」の長さが異なるわけで、それぞれに適した周期で振れる夜用・昼用の二挺の天符が用意されているのである。しかも、夜昼の長さは季節によっても変わるので、振り子の周期は絶えず修正しなければならなかった。その調整は天符の腕のおもりの位置で慣性モーメントを変えることで行う。こんな時計が発達したのは日本だけだという。
 庶民が主に使っていた時刻は、正午と深夜零時を共に「九つ」とよび、一刻ごと八、七、六、五と時報の鐘の数が減っていき、「四つ」のあとは「九つ」に戻るという不思議なものだった。落語の「時そば」のオチはこれに由来する。「お八つ」も午後二時ぐらいをさす時刻だった。なぜ減るのか気になるところだが、一説には陰陽道で縁起の良い「九」を基数として、その倍数の一の位を取ったとのこと。
 さらにややこしいことに、江戸時代も暦面上では十二辰刻が使われてた。深夜零時の子の刻を起点として1辰刻(現代の2時間)ごとに十二支をあてがった時の表し方だ。こちらは定時法なのだが、庶民はごちゃ混ぜにして併用していたらしい。「正午」「午前」「午後」「丑三つ時」などは今でも使う十二辰刻の名残だ。
 講談では赤穂義士の討ち入りは「元禄十五年極月十四日寅の刻」とされる。当時は明け六つと共に一日が始まるという意識なので、寅の刻は前日に含まれる。だから、今風に言い直すと12月15日の未明4時頃に討ち入ったということになる。しかも当時は太陰暦だから、太陽暦の新暦に直すと、1703年1月31日午前4時だ。太陰暦は新月が「ついたち」となるから、14日は満月に近い。ステラナビゲータでシミュレーションしてみると月齢13.3の明るい月が西の空に輝いていて提灯なしで歩けただろう(右図)。
 越さんから分けていただいた本のおかげでずいぶん楽しめた。越さんに感謝!
 

生徒の質問 鈴木さんの発表
 鈴木さんは、2024年6月例会で「『』質問書方式』再び」という発表をしたが、今年度の非常勤の授業でも生徒に毎時間「振り返りカード」を課し、そこで「質問があったら書きなさい(どしどし)」と指示している。昨年度同様、毎時間、毎クラス3分の1から半分程度の生徒が質問を書いてくる。質問に対してはその返事を赤ペンで記入し次の時間に返却したり、全員に紹介したい質問や、授業で説明不足だったりしたことをパワーポイントに概略を載せて授業全体で説明している。言い足りなかったこと、言い忘れていたこと、説明が不十分だったことが浮き彫りになり、その補充にちょうどよい。
 

 この例会では、今年度になっての生徒の質問で面白いものを紹介した。非常に基本的なところで躓きそうなことを素直に訊いてくれるので、こういう疑問を取り上げるのは効果的だと鈴木さんは感じている。写真はその一例。教える側が当たり前と思っていること(鈴木さん自身ずっと教員をしていて疑問にも思っていなかったこと)を訊いてくれるのはとてもありがたいし、生徒の理解の最初の段階での躓きを防ぐことができると感じる。初速度が5m/sだという問題の設定も、躓く生徒は躓くということが見て取れる。今後も、このような質問を例会で継続的に紹介したいと、鈴木さんは考えている。
 

窮理図解の版木 喜多さんの発表
 喜多さんは、物理の授業の最初の時間に福澤諭吉が時事新報に載せた「物理学之要用」(これは青空文庫に所蔵されている)を配り、また、福澤が書いた科学の啓発書「訓蒙窮理図解」の紹介をしている。
 今回の例会に喜多さんが持参した版下は、慶應義塾福沢研究センター准教授の都倉武之氏より、お借りした「実物」だそうだ。研究会などで披露してもよいとの了解を得ている。都倉氏によると、この当時の日本にはすでに活版印刷の技術があったが、その仕上がりはまだまだということで、木彫りの版下での印刷になったとのこと。
 窮理図解の原本は「慶應義塾大学メディアセンター デジタルコレクション」で閲覧できる。以下の刷り上がりイメージは同サイトに公開されているPDF版を加工した。 
 

 左側が慶應義塾大学が所有する版木の実物である。まさに木版画だ。サイズはB5程度の意外と小さなものだ。この刷り上がりが右のイメージになる。これを魚尾(センターマーク)のところで折って袋とじ製本している。魚尾は縦書き原稿用紙に名残をとどめている。1ページは20文字×9行。ルビを入れるため行数を減らしているようだ。
 

 下はその次のページの版木とその刷り上がりイメージ。袋とじにすると、上でレンズで太陽光を集める実験をしている図と、下の凸レンズの説明のページが見開きになる丁合だ。
 

 窮理図解の巻末には引用・参考文献の記載がある。その中の一冊にQuackenbosの “ Natural philosophy “ が取り上げられている。この書は福澤がアメリカから大量に購入して日本に持ち込み、当時の慶應義塾の物理の講義で使用した教科書であった。当時のアメリカの印刷技術は素晴らしく、図版も非常に精細なものがある。上記、窮理図解のレンズの記述は、Natural philosophy の図を参照したものと思われる。

書籍紹介 宮﨑さんの発表
 阿部幸大著 『まったく新しいアカデミック・ライティングの教科書』(光文社)2024年7月24日、定価:1,980円(税込)
 人文学系の著者(筑波大学人文社会系助教)によって書かれた論文・レポート執筆のための実践的な指南書だが、その内容は理系の人にも大いに役に立つと思う。説得力ある形で主張(アーギュメント)を「言語化」するために「何を書くか」だけでなく「どう構成し、どう読ませるか」という論理の構成が学べる。説得的なパラグラフの構成、先行研究の引用方法など、すべての章が理系の論文にも直結する内容である。
 紹介してくれた宮﨑さんは「若い物理教師にも有益な多くの視点を与えてくれると思う。私には、アンパンマンたとえがなんだか響いた。」と語った。

反転学習と列車のv-tグラフ 米田さんの発表 
 米田さんは、久しぶりに、受験に物理を必要とする生徒に対する授業を受けもつことになり、いろいろ考えた。米田さん曰く、「これまで、ちょっと先を生きてみせる”先生”にしてはわけ知り顔でなんでも教えすぎた。結果進度も遅れがち。そして生徒が「へぇー」って言うような授業だった。できるなら「あつ、そうか」と言わせたい。」
 そこで、米田さんは反転学習でやってみることにした、教科書の問を解いてくる、解いてこなかった人に向けての時間も少し使う。そしてすこし講義をし、質問なければガンガン進む、という形式である。その講義だが、生徒に毎時間最後の5分で書いてもらうリフレクションを見て決めることにした。というのも、米田さんが以前勤めていた特別支援でそれをすることで、生徒はとても意欲を持ってくれたからである。おそらくは、そんなこと聞かれたこともない最重度の生徒の数学授業で、振り返りとして右左のようなフォームに答えてもらった。みんな「がんばった、わかった、楽しかった」とこたえるところから始まったが、ある日「頑張れなかった人がひとり、楽しくなかったと言う人が二人いた。だから今日は先生頑張って、、、」とコメントをすると、生徒は顔を上げて興味津々。それから、みんなニコニコしながら「ダメだった、さっぱりわからん、たのしくない」と反応するようになった。それがとても嬉しかった。民主教育は生徒会をもったらと、思っていたが、授業でできる。こどもたちのアウトプットをしっかり授業に反映させ、自分の声が、自分の生活を変えていく体験をすると言う意味では日々の授業でこそやれると感じた。

 というわけで、物理でもそれをつつけている。明日は等加速度運動の3公式も用いて問題を解いてみると思っていたところ、前回のリフレクションで「v-tグラフがわからない、教えて欲しい」との声。
 

 そこで列車のv-tグラフを書くためのデータ、動画を作成しようと、母の日実家に帰省する途中の電車で撮影した。これまで何回も運転手さんの後ろでトライしたがなかなか上手くいかず、「スピードメーター」というGPSデータから速度を割り出すアプリを窓に置いて流れる景色と共に撮影して、それを解析するという感じで動画(左図)を完成させた。リンク先はこちら→https://youtu.be/GpEc9lQSHZE?si=W2LqzJlidrXGiiNV
 上の数字は発車からの時間で、音も時報で10秒ごとを知らせ、10秒間隔で速度データを拾い、スプレッドシートに入力していく。その後km/hからm/sへの変換や、距離の合計などで関数も使いながら西金沢駅から野々市駅までの距離を求めていく。
 

 答え合わせはマップファンだ。リンクはここ。なかなかいい感じだ。例会は「速度をGPSのデータつまりx-tからアプリが割りだすので当たり前」との指摘もあったが、米田さんは逆に「そうか、でもそれは余計にいいんでない?」と思った。「実はこの時速はね、、と、授業の後に物理好きな生徒と話をするのも楽しい。」と語る米田さんは、明日、この授業、そして翌日中間試験を迎える。ハラハラワクワク!だそうだ。


水に浮く一円玉 山本による論文紹介
 2002年に山本は「一円玉はなぜ浮かぶ?」(YPCニュースNo.171)2002/06 というレポートをした。密度が2.7g/cm3のアルミニウムでできた一円玉が水に浮くのは、表面張力よりも浮力の方が主要な働きをしているという内容だった。結果としてアルミの場合約2.3mmの限界厚み以下の板なら、どんなに大きくても(したがってどんなに重くても)水に浮くということが予想され、実験的にも確認できた。ただ、表面張力によって形作られる曲面の厳密な処理のしかたが分からず課題を残したままになっていた。
 これを引用してくれた論文がいくつかあったが、上記の課題は未解決のままだった。
林英子・稲葉秀明「1円玉はなぜ水に浮かぶのか」(千葉大学教養学部研究紀要 第53巻)2005
五十嵐保「水に浮く比重1以上の円盤」(ながれ28)2009
 このほど東北大工学部の佐々木先生が厳密な数学的取り扱いを「大学の物理教育」誌に報告して下さり、これにより長年の疑問がやっと解決した、と例会で報告した。対面参加の方には以下の論文のコピーを配布した(右図)。
佐々木 一夫「水に浮く一円玉」(大学の物理教育 31 巻 1号)2025(こちらのダウンロードには購読者IDが必要)
 なお、佐々木論文では、テフロンを使った実験が提案されていて、計算例も示されているが、佐々木先生自身はテフロンでの実験はされておらず、「どなたか確かめてみませんか」と呼びかけておられる。
 

二次会 洋光台駅前インド料理「サムンドラ」にて 
 10名が参加してカンパーイ!例会本体には対面で14名、オンラインで7名、計21名の参加があった。例会会場は初めての学校で二次会場ももちろん初めて。店名の「サムンドラ」はヒンディー語で「海」の意味だそうだ。駅名は「洋光台」でも付近に海は見当たらないが、実は東に2km程行くともう東京湾なのである。埋め立てが進む前はもっと海が近かったのかもしれない。安くて美味しい本格インド料理のコースに舌鼓を打ちながら、今宵も科学談義に花が咲く。


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