例会速報 2026/08/22 大学セミナーハウス・Zoomハイブリッド
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YPC例会のもようを写真構成で速報します。写真で紹介できない発表内容もありますので、詳しくは来月発行のYPCニュースで。例会ごとに更新します。過去の例会のアルバムはここ。
夏休みの研修報告 夏休み中の活動や学会で得た成果を報告し合う
8月の合宿例会では、いつもの授業研究に代えて、夏休み中に体験したことや各地で取材した情報を交換・共有することになっている。
一歩一歩のつまずきを拾う~質問書方式の質問から~(鈴木さん)

Impossible Pyramid(神谷さん)


科学の祭典落選作品(車田さん)


ドップラー効果で何を教えるか(市江さん)

プリンカップのマグデブルグ半球もどき 天野さんの発表
天野さんは、簡易真空ポンプによる「マグデブルグの半球実験」の簡易版を追求していて、これまでにもいくつものアイディアを発表してきた。左図はYPCではもうおなじみの、百均のユリア樹脂製茶碗を2つ合わせたマグデブルグ半球実験器。丈夫でよいが、ある程度の工作が必要で、材料の入手も困難になっている。今回の提案は、プリンの空きカップ2個を向かい合わせ、パッキングとしてゴム手袋の手首部分を使った真空容器(右図)。カップの底に穴をあけ、ビニルテープをはるだけの簡単工作で作れる。

会場の参加者から提供のあった「にぎにぎチーズネズミ」(キャンドゥ、セリアで110円)を入れるとちょうどよいサイズだ(左図)。容器の空気をぬいていくと、かわいらしいネズミが穴から顔を出す(右図)。これは子どもウケしそうだ。

3Dプリンターで作る手作り無線通信機 市江さんの発表



マニキュアで薄膜干渉 山本の発表
少年写真新聞社の「理科教育ニュース」No.1308(9月18日号)に掲載されている実験の紹介。
用意するのはラメや顔料を含んでいない透明なマニキュア液(左図)。百均で手に入る。ベースコートでもトップコートでもよい。つまようじやスポイトがあると便利。耐水性の紙皿を用意し、黒画用紙を底に敷く。上から水を注ぎ黒画用紙を沈める(右図)。

画用紙の上の水面にマニキュア液を一滴、はねないようにそっと垂らす(左図)。つまようじの先につけて量を調節するのもよい。滴が垂れないときは、マニキュア液をつけたつまようじの先を水面に触れてもよい。これは例会発表の最中に、鈴木健夫さんが発見した手法だ。マニキュア液が水面に一瞬で広がり、すぐに溶剤が揮発して、水面に薄い固体膜ができる。この時点で薄膜干渉の美しい虹色が観察できるので、歓声が上がる(右図)。

マニキュア液を塗ったつまようじを投げ込んでも面白い模様ができる(左図)。水面の薄膜を崩さないように、水中の黒画用紙をそっと引き上げ、薄膜をすき取る(右図)。次の実験に移るときは皿の水を替えた方がよい。この固体の薄膜は不溶性なので、水面に残った膜の切れ端を、つまようじで引き上げてから水を捨てること。

水から引き上げた黒画用紙を新聞紙などの上に置いて水を切り乾かす。急ぐときはドライヤーをあててもよい。画用紙の黒をバックに、薄膜干渉の美しい虹色模様が観察できる。シャボン玉の虹色と同じ原理だが、この方法なら固体膜なのでしっかりと固定でき、時間をかけて観察することができる。理科教育ニュースでは、これを色紙として使った工作が紹介されている。

第2部開始 20:00より 交友館・研修室Aにて
第1部は対面17名、遠隔8名、計25名、第2部は対面11名(宿泊)、遠隔4名、計15名の参加があった。合宿例会では例会発表は夕食や入浴を挟んで夜も続くので、「二次会」と呼ばずに第2部と呼んでいる。第2部はアルコール解禁で、テーブルを囲んで宴会の余興風に進める。遠隔参加の皆さんと共に「カンパーイ!」。
断熱変化と等温変化 峯岸さんの発表
断熱変化と等温変化の違いが分からない、という生徒の困難点はさまざまな先行研究や研究会で報告されている。生徒が実際に実験しながらその違いを実感してほしいという思いで、峯岸さんは簡単な実験道具を制作した。100mLメスシリンダーに二穴ゴム栓をさして、一方の穴にはデジタル温度計、もう一方の穴にはゴム管を通して120mLシリンジに接続する。素早くピストンを引くと、温度計の値が25.8℃から25.3℃になった。ゆっーーーくりピストンを引くと、温度計の値は変らない(変わったとしても-0.2℃くらい)。実験のポイントは、シリンジを手で包み込まないこと。握ると手からシリンジ内部の空気に熱が移動してしまう。

断熱変化をさせたときに温度が-0.5℃しか変わらなかったが、例会参加者からは「空気に比べて、温度計の金属の鞘の熱容量が大きいから、温度変化は小さくなる」「温度計のセンサーをむき出しにしたら、本来の温度変化を測定できるかも」とアドバイスがあった。
峯岸さんは実験道具とともに、授業案も報告してくれた(右図)。「どちらも同じことをしているから、同じ温度である」という誤解を想定していたのだが、授業では多くの生徒が正しく「②素早くの方<ゆっくりの方」を回答できていたので、疑問に思いアドリブで追質問をしたという。

素早くとゆっくりでは熱の流入出はあるか、という問に対して生徒は「どっちも高温物体に触れていないから、熱の流入出はない」という誤解を多くの生徒がしていることが分かった(左図)。素早くとゆっくりでは空気は仕事をしているか、という問に対して生徒は「どちらも空気は膨張しているのだから、正の仕事をピストンにしている」とこちらは多くの生徒が正しく回答できていることが分かった。そこで、その正の仕事はどちらの方が大きいか、という問に対して生徒はさまざまな誤解をしていることが分かった(右図)。授業中の問に対して、偽正答になっていないか、正しく理解しているかどうか。生徒の様子を見ながらアドリブで追質問をするのは正しく聞けるかどうかドキドキしたが楽しかった、と峯岸さんは報告している。

プラスチックの「M」 市原史博さんの発表



理科教室の水圧実験 山本の発表



若狭宇宙鯖缶 山本の発表
この夏、福井県に家族旅行をしたときのお土産。旅館の土産物売り場で800円で入手した。その名も「若狭宇宙鯖缶」。JAXAの「宇宙日本食認証」に合格し、2020年11月に実際に野口聡一宇宙飛行士が国際宇宙ステーションで実食する様子が、Youtubeで中継された。
この鯖缶を宇宙食とする開発に取り組んだのは、小浜水産高校(現在は福井県立若狭高校に統合)の生徒たちで、14年の歳月をかけて研究を積み重ね、認証をとりつけたというドラマがあった。

例会会場ではさっそく開封して宇宙を味わう儀式が始まった。開封した感じは、普通の鯖缶に比べるとオイル部分がゼリー状でねっとりしており、色が濃い印象。液体やフレークが飛び散らないようにするための、宇宙食としての配慮だろう。

皿にあけて、参加者全員で一口ずつ試食する。「これはいける!」「しっかり味がついていて美味しい」などの歓声が上がる。宇宙食は味が濃いめなのだそうだ。
この缶詰開発のドキュメントは「サバ缶、宇宙へ行く」と題してドラマ化され、6月までフジテレビ系で放送されていた。開発の経緯は福井県立若狭高校のサイトに詳しく紹介されている。

土井不曇 市原光太郎さんの発表


電子工作関係のYouTubeチャンネル紹介 櫻井さんの発表


音律の紹介動画 櫻井さんの発表


ChatGPTで類題作成プロジェクトを作りました 櫻井さんの発表


科学者の名言 越さんの発表
越さんは以前、文化祭で生徒の発案によりおみくじを作ったことがあった。来場者に楽しみながらおみくじを引いてもらうために、おもちゃのクレーンゲーム(左図)を用意し、5角形に折りたたんだおみくじをキャッチしてもらった。

今回、科教協全国大会の「科学お楽しみ広場」用に、科学者の名言みくじを作った。その際にまとめた、アインシュタイン、ガリレオ、ファインマンなど科学者(物理学者)の名言リストを例会参加者に配布した(写真)。名言のエクセルファイル(xlsxファイル:21KB)はここ。
「教えるということは、こちらが差し出したものがつらい義務ではなく貴重な贈り物だと感じられるようなことであるべきです」(アインシュタイン)
のように、今の(理科)教育にも通じるような名言もあった。

戸隠地質化石博物館の紹介 伊藤さんの発表
伊藤さんは神奈川県教科研究会理科部会の地学研修会に参加した。この8月に行われた地学研修会の活動の一つ、長野や戸隠地域の地質の観察の様子を報告した。
戸隠地質化石博物館の建物は旧柵(しがらみ)小学校の校舎を利用している(左図)。そのため地質に関する資料のみではなく、旧柵小学校の資料など文化的なものも含めて展示してある(右図)。

博物館には、ヒスイ、シンシュウゾウの下顎(かがく)化石の展示や日本列島のなりたちに関する説明があった。また、現存する生物の骨など触ることのできる展示も多く、タイマイの甲羅の中に入ることもできる(左図)。
博物館の近くには化石を観察することができる場所がある。長野市戸隠の裾花川に沿っては新生代第三紀鮮新世から第四期更新世の猿丸層が分布している。その猿丸層の下部には牡蠣(カキ)化石層が認められる場所がある(右図)。かつてこの場所は汽水だったことがわかる。

また,その層の下部には、ホタテガイ類などの化石が確認できる層もある(左図)。
伊藤さんは、現代では山になっているが、当時この場所が海であった様子を観察して驚いていた。また、日本列島の成り立ちについて考えるよい機会になったそうだ。
当日案内をしてくださった戸隠地質化石博物館の田辺さんの書いた以下の記事はこの巡検で参考になった,
田辺 智隆「戸隠地域の新第三系?第四系と戸隠地質化石博物館」地質学雑誌, 2015, 121 巻, 8 号, p. 265-278, 公開日 2015/08/29, Online ISSN 1349-9963,
Print ISSN 0016-7630, https://doi.org/10.5575/geosoc.2015.0026

簡易分光器 長舩さんの発表
長舩さんは、高2の授業で生徒に簡易分光器を作成と光のスペクトル観察をさせた。余ったLHRの時間をもらって工作をさせ(約25分)、物理の授業でHg、Naランプを光源に観察を行った。グレーチングレプリカシートはナリカ製の500本/1mm、1000本/1mmの2種類を使い、ワークシートでそれぞれのスペクトルの位置から波長を求めさせた。
分光器の箱は組み立て式にしてセロテープ不要になるように工夫した。レプリカはつけ替えるのが手間なので、最初からずらして2枚とも貼っておけないか思案中である。長舩さん提供の資料(PDFファイル:288KB)はここ。

まち針で組み合わせレンズ 長舩さんの発表
長舩さんの勤務校では中3の1学期に幾何光学を学ぶ。鏡を使って反射の観察、台形レンズを使って屈折の観察、凸レンズ・凹レンズの像、組み合わせレンズによる像、球面鏡という順で学習している。組み合わせレンズのところでハードルが高い印象があり、理解を深めるために小野先生の実践報告(物理教育通信186号・まち針ですべての像の位置や焦点距離を求める)を参考に組み立てた。この方法は教室の照明を消さずに光学実験ができるのも魅力である。

長舩さんの授業では、初回の鏡の反射のときから待ち針を使って観察し、光源から出た光の道筋を追い続けることを軸に生徒実験(1人1セット)を実施した。本題のレンズでは、一般的な光学台を使ってスクリーンにできる像の位置を探る実験の前に、待ち針を使って道筋を辿る。組み合わせレンズでも、待ち針を使って2つのレンズで屈折していく光の道筋を辿ってから光学台の実験に移行した。数式と計算で中身がよく分からない感触になりそうなところを少しでも払拭できたのではないかと長舩さんは思っている。いずれ授業研究でも詳細を報告したいとのこと。

コアンダーとマグヌス 山本の発表


朝食 食堂「やまゆり」にて
おはようございます。深夜0時に例会会場を閉じた後も、宿舎の一室では午前2時過ぎまで、飲み食いをしながら科学談義が続いた。非公式ながらこれを「第三部」と称する。朝はさすがに眠そうだ。宿泊の11人のうち二人は朝食も食べずに早朝に旅立ち、残る9名は、7時半からの朝食の後、三々五々自家用車に分乗して解散した。
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