例会速報 2025/10/19 早稲田大学高等学院・Zoomハイブリッド
YPCホームページへ| 天神のページへ| 他のサークル・団体等へのリンク| 次回例会のご案内
YPC例会のもようを写真構成で速報します。写真で紹介できない発表内容もありますので、詳しくは来月発行のYPCニュースで。例会ごとに更新します。過去の例会のアルバムはここ。
授業研究:運動における保存量 勝田さんの発表





パッキングをゴム手袋にしたマグデブルグ半球 天野さんの発表


新幹線のトンネルと気圧 鈴木駿久さんの発表
鈴木さんは修学旅行引率で栃木から京都・大阪方面に行くときに、新幹線がトンネルに入る前後の気圧を測定した。1回目の測定(東京→広島)では、入った直後から圧力が下降した。

気圧が上がると思っていた鈴木さんは、帰路、再度測定した。2回目の測定(広島→大阪)では、入った直後に圧力が上昇し、その後下降した。

鈴木さんは、この違いは乗車位置が異なることが原因ではないかと考えた(こちらの論文にも記載がある)。1回目の測定時は最後尾近く、2回目の測定時は先頭車両に乗っていた。

例会参加者からは、「傾斜の影響ではないか」「そもそもこの気圧は、新幹線外部の気圧を測定しているのか」「トンネルから出る直前に一瞬圧力が上がるのはなぜか」など様々な質問が出た。そのため今回の測定のみでは新幹線の乗車位置によるトンネルに入った際の気圧の関係を断定することはできない。追実験を行うことが必要だと鈴木さんは考えている。早くも次の修学旅行引率が楽しみである。

力学的エネルギーの問題 山本による宮田さんの代理発表

某K林館の物理基礎の教科書の章末問題にこんなのがある。滑らかで水平な各レールの左端から、同じ初速度で小物体を運動させる。②と③にはアップ、ダウンがある。右端に到着するまでの時間が最も短いのはどれか、という問題である。正解は③。あまり考えないで直感的に考えれば易しい問題だ。
しかし、宮田さんはふと気になり、山本に相談した。斜面部分の長さによっては必ずしも③が早いとは限らないのではないか。速度の水平成分には斜面の傾きのcosがかかるので、斜面区間が短いと時間的に得にならないこともあるだろう。2人はそう結論した。
ところがよく見てみると、問題文には「同じ長さのレール」とあり、図の右端の位置は一致していない。つまり、②③のコースは「遠回り」ではないのである。2人はまんまと引っかかったわけだ。「下を通るコースではスピードアップするので、遠回りでも早く着く」というところが意外性があって面白い課題で、演示実験器具も市販されているが、その場合は右端が同じ位置で、複数の球の着順を観察するのである。なまじそういう実験を見慣れていて、考えすぎるとひっかかるという意地悪問題だと感じた。
ポスター製作課題 市原さん、植松さんの発表


アルミカップ落下の実験をやってみた 峯岸さんの発表



ローレンツ力の反作用 小河原さんの発表
2025年7月例会で、小河原さんが故鈴木亨さんとのやりとりを思い出して、ローレンツ力の反作用について故霜田先生の論文を読んだとの発表があった。7月は、霜田論文の前段階の説明があったが、小河原さんによると「あとは霜田論文を参照してください」と結ぶのはあまりにも不親切だと思い返したそうだ。そういえば、YPC草創期からのメンバーである超ベテランのMさんでさえ、「その論文は何度読んでもわからなかった」とこぼしていた。
そこで、霜田論文についてざっくりと解説してみようということで、若手の峯岸さんにその場で逐一確認しながら論文の内容を追いかけてみた。当該論文は、以下のURLのJ-Stageからダウンロードできる。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/pesj/25/3/25_KJ00005894241/_pdf/-char/ja
§4正解の章を読むと、要するに移動する正の荷電粒子が作る電場の時間変化∂E/∂tを図示し、そのベクトルと電流が作る磁場ベクトルの外積を考えれば、それが電磁場が受ける力f'につながるらしい。作図してみると、確かに板書の通りf'はローレンツ力fと正反対向きとなっている。詳細な展開は、ぜひ霜田論文を参照し、また霜田論文を引用した以下のURLの鈴木亨論文で触れている「教員採用試験での作用反作用分野の出題ミス」を確認した上で、鈴木亨さんが口にしていた「作用反作用は奥が深い」という言葉を味わっていただきたいとのことである。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/pesj/56/4/56_KJ00005897014/_pdf/-char/ja

AIを用いたアウトプットアプリの研究 中田さん、佐野さんの発表


職業意識の中の「教職」 古谷さんの発表


大阪万博行ってきました 喜多さんの発表
喜多さんは、閉幕間際の大阪万博に行ってきた。元々は行く気がなかったのだが、9月のブラタモリの「三十三間堂」の放送で、万博の【大屋根リング】がその時点で世界最大の木造建築としてギネスに載ったと知り、何故か行く気スイッチが入り、スマホでの登録作業を経て、10月2日の12時からの入場を果たすことができた。
Googleマップで「大屋根リング」、「大阪万博 夢洲」で検索すると、まだ工事中の画像(左図)が表示される(2025年11月3日時点)。右図はその一部を拡大したものである。行ってみて初めて知った事実。大屋根リングは二重構造だった!

喜多さんの行く前のイメージは一つの平らな円のリングであった。実際は高さ12mで水平な幅3m程度内側の円形リングと、最高の高さが20mで8m高低差がある外側の円形リングからできている。さらにストリートビューをクリックすると、4月の時点で撮影された画像が表示される。実際に行かれた方は、想い出の場所を確認できるのではないか。
高さ12mの内側のリングにはエスカレーター(左図)で上る。そこからは歩いてなだらかなスロープにそって上っていくことにより外側のリングに行くことができる。右図は歩いていて見つけたルアンドロ・エルリッヒ氏の展示、「無限の庭園 祝福された多様性」。平行に置かれた平面鏡の間を歩いて森の中にいるような無限鏡像を見ることができる。

翌日、喜多さんは、1970年万博の会場だった「万博記念公園」を訪ねた(左図)。今回の万博より敷地面積は圧倒的に広い。展望台に上ってみると、まわりはうっそうとした森林になっていて「展望」などまるでない。55年の歳月を実感した。右図は万博記念公園の中にあった「森の集音器」。森の中での鳥の声、風の音などを聞くための反射板である。展望の代わりに自然の音をお楽しみくださいというわけだ。

二次会 上石神井駅前「八剣伝 上石神井店」にて
18名が参加してカンパーイ!例会本体には対面で28名、オンラインで7名、計35名が参加した。例会本体の対面参加は今年一番、二次会参加は、コロナ禍以降最多の人数となった。早稲田大学高等学院は初めての会場だが交通の便もよく、勝田さんの勤務校とあって参加者の関心が高かったようだ。
YPCホームページへ| 天神のページへ| 他のサークル・団体等へのリンク| 次回例会のご案内