例会速報 2002/04/17 慶應義塾高校


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ダイソーの老眼鏡 喜多さんの発表  
 百円ショップ「ダイソー」に新しくお目見えした老眼鏡の新シリーズ。0.5〜5.0の13種のジオプトリーが手に入る。レンズの大きいフレームのものを選んで光学実験用に使う。0.5の老眼鏡はこの13種の老眼鏡を扱っている店でないと入手できない。

 今回使用したのはジオプトリー0.5と1.0のもの。それぞれ焦点距離は2m,1mなので、教室をカメラにするときのレンズとして手頃である。下のように2枚並べて段ボールの枠にはめ込み、教室の窓にセットして暗幕を閉じる。スクリーンは以前にも紹介のあった、半透明ゴミ袋を木枠にはったもの。

 レンズから1mのところと2mのところでそれぞれ遠景にピントが合い、逆さまの実像が観察できる。倍率の違いも一目瞭然。レンズ2枚で同時に見せるのはなかなかの工夫である。


 

授業研究会の報告 鈴木健夫さんの発表  
 鈴木さんは職場で授業を相互に公開しあって記録をとり、批評しあう「授業研究会」を実践している。例会では自身の授業の様子をビデオで見せてくれた。このときの討論では、生徒を飽きさせないようたくさんの実験を見せるべきなのか、ネタを絞ってじっくりやるべきなのか、また、実験にも見向きもしない生徒にはどうアプローチすべきか、などが話し合われたという。

「べからず集」・「自由研究」ビデオ 山本のビデオ紹介  
 新課程に合わせ、大日本図書から新たに発売されるNHKビデオ教材シリーズ「理科実験観察集」の紹介。物化生地各分野があるが、物理分野では「物理実験べからず集」と「物理の自由研究」が新企画として特に注目される。
 べからず集ではその名のとおり、レーザーの取り扱い、ペットボトルの破裂、感電、収斂火災など、実験室で起こりうる事故を想定して、危険防止を訴えている。

青少年センターこどもの日大会 黒柳さんのPR  
 創立40周年を迎える青少年センターでは、5月5日こどもサイエンスフェスティバル「わくわく天国2002」を開催する。実験・工作教室、ロボットのデモ、ステージショー、プラネタリウム公開などが行われる。10時〜16時入場無料。

 このほか黒柳さんからは、日本科学協会の報告書に寄稿された盛口襄氏の理科教育の現状を憂うる記事の紹介があった。

銅・アルミパイプとネオジム磁石 喜多さんの発表  
 ネオジム磁石を安く購入するなら、知る人ぞ知る「二六製作所」がおすすめだが、これはそこで入手した径20mm、厚さ3mm、価格380円のネオジム磁石を使ったおなじみの「空中浮遊」の実験。磁石は2枚重ねにして使う。この磁石にちょうどいいそろった内径のアルミと銅のパイプを入手することができた。比較実験にもってこいだ。落下時間は50cmの長さでアルミは7.7秒、銅は12.8秒である。

 

コイン選別器の改良 喜多さんの発表
 これも同じ二六製作所のネオジム磁石を用いた実験器具だ。渦電流ブレーキを利用した「コイン選別器」だが、片側の透明板を薄いものにすることで、ネオジム磁石1枚で十分な性能を発揮できるように改良した。落下地点にコップなどを置いて、コインの種別ごとに分類して受け止める。
 

波の独立性を示す実験と赤外線通信 塚本さんの発表
 赤い光束と青い光束を交叉させると、お互いに通り抜けあうことから、「波の独立性」を示す実験。超高輝度の赤色LEDと青色LEDの光に別々の音楽の信号をのせ、その2つの光束を交叉させてお互いに通り抜けあった後、2個の太陽電池でそれぞれの光を受けてラジカセで増幅すると別々の音楽が同時に聞こえる。この状態で2つの光束が交叉している位置に赤色のフィルターを置くと赤い光にのせた音楽だけが聞こえ、青色のフィルターを置くと青い光にのせた音楽だけが聞こえる。
 塚本さんは最初、岐阜物理サークルの「懐中電灯を用いた光通信」の方法を取り入れて、色セロハンで赤い光と青い光をつくり実験しようとしたが、太陽電池の受光感度が懐中電灯の光の中に含まれる赤外線の領域でかなり高いためうまくいかなかった。試行錯誤の末、超高輝度の赤色LED(EL363UR−22800mcd  GaAlAs ピーク波長は660nm)および青色LED(SLP−0B36A−81  SANYO  2500mcd  GaN ピーク波長は468nm)を使用することで実験に成功したという。

 塚本さんはこのほか「赤外線発光LEDを使った光通信の実験」も披露してくれた。赤青フィルターを重ねたり、2枚の偏光板を直交させて重ねた「可視光カットフィルター」では赤外線が通るが、アルミ蒸着のハーフミラーでは赤外線が通らないことが示される。
 

吸盤と下敷き(伊東家ネタ) 喜多さんの発表  
 吸盤と下敷きで机を持ち上げる!先日「伊東家の食卓」で放映された「大発見」だが、原理はゴムピタ君といっしょだし、かつて鈴木健夫さんがNHKの「やってみようなんでも実験」で披露したそのままのネタである。なんでそれが大発見になるの?ということで一同苦笑。

 ネタ切れで苦しい台所事情は推察できるが、「伊東家」の制作スタンスにはだれもが不信感をあらわにしている。

光るアンテナ 喜多さんの発表
 携帯電話を電波発信器に、光るアンテナアクセサリーを受信器にして、マイクロ波の性質を示す電波実験ができる。左はガラス板に自転車のスポークをはりつけたスリットで、アンテナの向きと同じ方向にスポークを向けると電波が通らない。右はアンテナを横倒しにしたところ。やはりLEDは光らない。いずれも電波が偏波していて横波であることを示す実験だ。
 

  左は電波の干渉を示す実験。1.5Gの携帯ならば、波長が20cmなので、ちょうど10cm毎に干渉して節ができることがLEDの明るさで示せる。

戸田先生の実験室 右近さんのビデオ紹介
 先日、喜多さんらは富山の戸田先生をの実験室を見学し報告してくれた。例会では先生自身の制作による主な実験のデモビデオが上映された。左は回折格子によるレーザーの干渉光の途中経路をモグサの煙で示している様子、右はバンデグラーフを使ったコンデンサーの一様電界を示す実験だ。
 

 下は有名な「戸田式大型拡散型霧箱」である。構造やセットのしかた、ラドン線源の捕集のしかたなどを解説する戸田先生(左)と、霧箱内の見事な飛跡(右)。例会出席者からはため息が漏れた。これは貴重な記録ビデオだ。

 

パワーズオブテンのフリップブック 鈴木亮太郎さんの発表
 すずりょうさんのアメリカ土産。イームズ夫妻の有名な短編映画「Powers of Ten」のパラパラ動画だ。「これはいい」「ぜひ欲しい」と大評判。さっそく、いつものように共同購入することで話がまとまった。
 

慶應ニューヨーク学院の見学報告 鈴木亮太郎さんの発表
 すずりょうさんがアメリカに行ったのはニューヨーク学院で教鞭を執る小河原さんに会うため。デジカメ画像で現地のようすを報告してくれた。元気そうな小河原さんの姿もある。縦波用ウエーブマシンは新鮮な印象だ。日本人学校なのに英語で板書しているのには驚いた。教材は現地のものを使っているという。地学の陳列ケースにはかなりアメリカらしいこだわりが感じられる。
 

シンガポールサイエンスセンター 鈴木亮太郎さんの発表  
 すずりょうさんは春休み中にシンガポールにも行った。サイエンスセンターにはちょっと珍しい展示物があった。写真はボウリングの球で作った巨大な衝突球。ちょっとコワソ〜・・・

 1/r型ポテンシャルの展示もあり、コインをころがすようになっているが、中心の穴に吸い込まれたコインは返ってこない。そのままドネーションになる(^^)。

EASY SENSEによる中和滴定曲線 徳永眞由美さんの発表
 DATAHARVEST社の教育用データロガーEASY SENSE(国内販売は中村理科工業)を中和滴定で使ってみたレポートである。pHセンサーと、器具、薬品を準備しておけば数分で演示が可能であるので、時間数が少なくても見せる事ができる。スターラを回しながらビュレットから一定量ずつ滴下していくだけで、2分足らずの間にご覧のような滴定曲線がみるみる描ける。教科書のグラフそのものだ。
 徳永さんは、まず塩酸と水酸化ナトリウムで演示し、生徒にグラフを描かせたあとパソコンのグラフを見せ、その後、弱酸や2価の酸を用いた演示をするという。
 

東日本たのしい授業フェスティバル 徳永眞由美さんの発表  
 関東仮説授業研究会主催のイベントに参加した報告。購入したり、作らせてもらった数々の実験道具の紹介があった。入場料1万2千円/2日はちょっと高いかな。

 写真で徳永さんが示しているのは、鉄の針金にドーナツ型の磁石を通したもの。上で磁石を話すとまとわりつくように回りながら落ちてくるが、途中で反転して登りはじめる。どういう原理だろうと話題になったが、その場では解決がつかなかった。

簡易真空ポンプ 渡辺さんの発表
 渡辺さんは注射器真空ポンプの改良版を開発した。ご覧のように注射器の先端に穴をあけ、裏と表からビニルテープを貼っただけの簡単なつくりだ。粘着がゆるいのが幸いして、うまく吸排弁のはたらきをする。ノズルに適当な太さのシリコンゴム管をはめてアダプターとし、穴あき吸盤を使ってジャムびんに押しつける。途中の配管を省略したのも工夫だ。子供でも確実に工作でき、かなりの真空度が得られる。
 

二次会 日吉駅前浜銀通り「龍行酒家」にて
 二次会には22名が参加。いつもの中華料理店を埋め尽くす勢い。学校五日制時代のサークル活動のあり方などを熱く語った。


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