例会速報 2016/10/16 電気通信大学
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授業研究:仕事と力学的エネルギー 西村さんの発表
西村さんは「仕事と力学的エネルギー」の単元について発表した。方針は、生徒の興味関心を惹きつけるために現象を多く入れること、授業目標を文章化してシンプルにすることとして、計画した。授業形式は講義とピア・インストラクションを交互に繰り返す形式を基本にして、生徒実験も二回行った。
例会参加者からは、次のようなコメントがあった。
・「人がする仕事」としてしまうと、何を指しているのかが曖昧で、生徒を混乱させてしまう。仕事は「力とその作用点の変位の内積」で定義されているので、「人が押す力がする仕事」のように「力」を主体にして考えることを重視させたい。
・生徒が授業に取り組めるように、色々な教材を準備していて良い。が、逆に具体例が多すぎて、大事なことは何なのかがぼやけるかもしれないとも思う。本質を突いた良い教材を必要な分だけ提示する、ということを意識するのも大事。
・パックの問題は、状況がイマイチ理解できない。力学台車を定力で引っ張る実験で置き換えるなどしたほうが、わかりやすいのではないか。
8月例会で工作した滑車による実験も取り入れた。これについても参加者から次のようなコメントがあった。
・仕事の原理の実験で用いるおもりの質量が100gというのは、軽すぎるのではないか。道具を使うと手応えが変わることを、はっきりと実感できるよう、水を入れたペットボトルをおもりにするなどして、もう少し重くしたほうがいい。
力学的エネルギー保存則に関して、生徒の興味をひくためにシミュレーションソフトを用いたことに関しては、参加者から次のようなコメントがあった。
・シミュレーションの結果で正解発表としていたが、本当にそれで良いのか。シミュレーションはあくまでシミュレーションであるという、現実との折り合いをつけることは、生徒たちはできているのだろうか。高校生に物理を教えるときには、課題の文章や設定を平易なもの、受け入れやすいものにする工夫は必須である。
しかし、物理としての厳密さも同時に伝え、その物理的なものの見方・考え方が役立つということも伝えられなければならない。何が大事なことなのかを、もっと教師がはっきりと持っていなければならないと感じた。
電通大発明クラブ 竹内さんによる上田さんの代理紹介
電気通信大学が実施している「調布少年少女発明クラブ」は小3から小6の40人のクラブ会員が、一年間を通じて理科講座・工作教室などで活動する。電通大の卒業の技術者OBが運営・指導を行っている。活動実績は12年に及び、非常に充実した内容である。
活動日は第二、第四土曜日。第二土曜の講座は、4~5カ月に及ぶ連続講座で、光オルゴール(写真左)などの大作に挑む。回路基板への細かいハンダ付けから、楽譜紙テープの作成、演奏発表会までの一連のプログラムとなっている。第四土曜はプロペラ飛行機(写真右)などの一回完結の工作教室で、クラブ会員以外に20名を毎回追加募集する。小学生会員の年会費は4千円、材料費の約3割を自己負担する形で、大半は電通大と同窓会の助成金によりまかなわれている。
チョコボールのARtoyシリーズ 平本さんの発表
平本さんは先日、勤務校で行われた「大学出張講義」で、ARに関する講義にたまたま居合わせた。AR(Augmented Reality:仮想現実)とは、現実にコンピュータが作り出した仮想的な情報を付加するものである。最近はPlayStation
VRや、HoloLensなど、この技術を応用したものも多くある。
今回はスマートフォンとチョコボールの箱を使って楽しめるARの技術の紹介。スマートフォンから専用のアプリ(キョロちゃんの遊べるAR)を立ち上げた状態で、チョコボールの箱をスマートフォン越しに覗くと、チョコボールの箱で色々なゲームが簡単に楽しめる。
ポイをスクリーンに 武捨さんの発表
凸レンズによる実像の観察に、スクリーンとしてポイ(金魚すくいの枠)を使ってみた。準備したものは、ろうそく、レンズ、ポイ。ポイは、紙を交換できる再利用タイプの枠(ワンタッチすくい枠)と専用の紙(スペア紙、4号)を通販で購入した。他のスクリーンと同様、明瞭な像を観察することができる。
すりガラスのスクリーンのように、後方からも観察することができ(写真左)、光軸近くに目があれば、スクリーンをどかせても、実像が同じ位置に変わらず見えることを確かめさせることもできる。(写真右)
イッテコイの考察 古谷さんの発表
青森の野呂さんから得た情報を元に製作したゴム動力回転おもちゃ。材料に丁度適した容器として、古谷さんが週に3回飲んでいる「森永製グルコサミンとコンドロイチン」の容器(径が50mm、高さ95mmの円筒形紙パック)、押さえに竹ひご、おもりに単四電池、輪ゴムはあり合わせのものを使用。
さらに、もっと径を大きくし、接触面を小さくしたいと思い、かき氷の容器の底面同士を接合して底面を最大限に貫通したものを本体とした。動画(movファイル7.5MB)はここ。外径が大きくなるにつれて角加速度が小さくなり、ゆったりとした動きになる。動画(movファイル10.5MB)はここ。おもちゃとしての装飾の幅も広がる。動力を増すにはおもりの質量や輪ゴムを変えれば良さそうだ。今後の発展に期待したい。
空気圧実験ショーから 古谷さんの発表
これは全面的に青森の野呂さんからの情報をもとに作ったという空気圧実験ショーのネタ。
はじめは「ペットボトルに風船」。作成中の気づきとして、容器にした500mmのペットボトルの材質が弱いものを使用した際、底面付近に開けた穴を指で塞ぐと容器がへこむ。つまり内圧が外圧よりも小さくなったために起こる現象だ。
ショーでは堅い材質の容器を選んで使用し、風船を小さくする手品(?)を披露したが、へこんだ容器を見せることで上手く手品の種明かしにもっていくことはできないかな、と古谷さんは考えている。
次に「ペットボトルに手袋」(これは野呂さんのオリジナル)。ペットボトル内の空気圧を高めることで手袋が小さくなる現象は、風船を使って行うよりもずっとインパクトがある。「キャップの開け閉めによる操作」だけではなく、他の方法も使って手袋大きさの変化を見せられないか、今後工夫したい。」と古谷さんは意欲を燃やしている。
平面鏡 田代さんの発表
「鏡に映った像は、上下は逆にならないが、左右が逆になる。」とよく言われるが、実は左右も逆ではない。正しくは、手前と奥(鏡の面に対して近い遠い)が逆になるのだ。・・・これは前回の例会速報の記事の最後の文章。今回も田代さんからこの事象の説明があった。
右や左と表現せず、図のように方位で扱う。南は像でも南、北は像でも北。実物と像が逆なのは鏡の面に対して近い遠いかであり、この場合は西と東が逆になっている。鏡を水平にすれば上下が逆になる。サイコロの文字が絶妙に「鏡文字」にしてあるところにご注目!
エクシリム vs iPhone 武捨さんの発表
武捨さんはハイスピードの動画撮影でおなじみのカシオのデジカメ、エクシリム(EX-SC100)とiPhone7で、それぞれ240 fpsの動画を撮影して比較してみた。同時落下の様子を、同じ条件(ふつうの照明+自然光)、ほぼ同じ画角で撮影した。
写真は左がエクシリム、右がiPhone7。撮影時の解像度は、エクシリムが512×384、iPhone7が1280×720(写真は同じアスペクト比4:3にしたもの)。精細さやノイズの少なさを比べると、明らかにiPhoneに軍配が上がる。授業で使用する画像や動画を撮影するには、もはやスマホで十分な気もしてくる。
フルHD画質(1920×1080)で240 fps程度の動画撮影ができるカメラが手軽な価格で登場するのもそう遠くはないかもしれない。機会があればSONYのサイバーショット(DSC-RX10M3など)との比較もしてみたい。
CASIO EX-FR200 佐々木さんの発表
カシオのアウトドアカメラFRシリーズの新商品、FR200の紹介。FR10からFR100へ超広角・防水モデルとなったのに続き、姉妹機として全天周モデルのFR200が追加された。1台で手軽に全天周の写真、動画を撮影でき、VRコンテンツに加工することもできる。
カメラ部とモニター部を分離してウェアラブルスタイル、ストレートに直結して自撮りスタイル、折りたたんでカメラスタイルと、様々なスタイルで撮影できる特徴はそのままに、カメラ部を追加して2台同時コントロールも可能になった。FR100とFR200のカメラ部の組み合わせは自由、同じ映像の別画角撮影、全天周2台で全球撮影などもできる。
現在、水族館などと連携して水中の生き物撮影事例を制作中。例会では試写映像が上映された。カメラ部をそのままチンアナゴの水槽の底に沈め、水面を見上げながらしばらく待つと、好奇心旺盛なチンアナゴたちがニョキニョキと立ち上がってくる。新たな視点での水中撮影が可能になる。これこそ「魚眼レンズ」?
スマホ用サーマルカメラSeek Thermal 佐々木さんの発表
iPhoneのLightningコネクタ版のスマホ用サーマルカメラ。Lightningコネクタ版ならではの特徴として前後どちら向きにも対応し、通常撮影と自撮りどちらもできる。測定温度範囲は-40℃~330℃と十分なレベルで、画面中央の温度を固定で計測するモードや温度が最も高い場所と低い場所を同時に計測できるモード、左がスマホ本体カメラで右側がSeek
Thermalの画像にするモードなど、アプリのメニューも豊富。他社製品より小型で、フォーカスアジャスト機能も装備しており、意外と使えそう。
気になるお値段はネットで3万円弱。Android用も販売されている。
合同ゼミのポスター 西村さんの発表
西村さんはこの4月から、在職のまま東京学芸大学連合大学院博士課程に入学した。今回は合同ゼミナールで使用したポスターを持ってきた。合同ゼミナールでは、様々な分野の学生と話す機会があり、各自の研究課題についてはもちろんだが、現代教育の諸課題についても深い議論をすることができた。合同ゼミナールを通して、改めて大学での教育研究と高校現場とが乖離していることを感じたので、両者を結びつけ、より良い教育実践が行えるようなものを進めていきたいと感じた。
サイエンスアゴラから 竹内さんの発表
竹内さんは、今年もサイエンスアゴラに出展した。会場の都合で、割り当てられた展示スペースが昨年までよりだいぶ縮小されてしまったが、多くの来客を楽しませることができた。展示物の一部を紹介する。写真は底が半透明の箱にミラーシートを円筒やハート型に丸めた筒にして並べ、その上に色セロファンを当てたもの。裏側から光をあてると左のようなきれいな模様が見られる。セロファン紙の部分を回転円盤にしたらさらに面白いだろうと思った。
左は大型の三角鏡。万華鏡と同じ鏡の三角柱で、向こうの景色が無限鏡像になって見える。右は百均の虫眼鏡とかごを使ったステレオスコープ。手の込んだ工作をしなくても、アイデア次第で安く手軽に楽しめるという見本だ。
二次会調布駅前「唐菜・PARCO店」にて
12人が参加してカンパーイ!パルコの7階にある飲茶の店を初めて利用してみた。明るくて上品ないい雰囲気のお店だった。コース料金1980円(ドリンク含まず)と安い!初参加の方も歓迎。若手も多いのでぜひ二次会にも気軽に参加してみてほしい。
黒糖焼酎「三年寝太蔵」を飲んでいて、デザートの杏仁豆腐にちょっと焼酎原液を混ぜるとなかなか美味しいことを発見。何でもやってみなけりゃわからない。その後ネットなどで調べてみると、「焼酎杏仁豆腐」とか「焼酎ゼリー」というれっきとした料理が存在することがわかった。もちろん未成年は食べてはいけない。大人のデザートである。
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