2014年5月17日の記録の第2ページです


 マイケルソン・モーレーの干渉計と偏光 (川田さん  

 川田さんは藤田さんが製作した可変式の2重スリットを用いて、日経サイエンス2012年3月号「光子の逆説」で紹介されていた、ヤングの実験の2つのスリットに偏光板を入れ、光の干渉を確認しました。

 この実験では、偏光板を互いのスリットに90°ずらして置くとと干渉縞は消え全体が明るくなります。しかし、スクリーンの前に45°の偏光板を置くと、干渉縞が復活するという結果が得られます。
 さらに、スクリーン側に45°回転させた偏光板を置くと、再び干渉縞が現れました。

 
 日経サイエンスの実験の追試を行いました。
  「光子の逆説」では、光量を落とし、光子1つがどちらかのスリットを通ってスクリーンに映る場合、前述のように偏光板を2枚入れれば、スクリーンに届いた光の変更状態を調べれば、どちらのスリットを通ってきたのかが分かりますが、45°偏光板を入れると、あたかも両方のスリットを通ってきたように干渉が起こってしまうのです。
 つまり、光子の過去の軌跡を消すことができるのです。

 このような偏光板を入れたときの干渉を、川田さんは職場の同僚の先生の協力の元、マイケルソン・モーレーの実験器でも行ってみました。
 すると、やはり互いに直交する偏光板を挿入すると、干渉縞は消えますが、写真の図ようにスクリーンの前に45°偏光板を入れると干渉縞は復活しました。

 光を弱めれば、結局、同じように「光子の過去を消した」と言えるのでしょうか!?
 マイケルソン・モーレーの実験器でも同様の結果を得られました。

 愛工の実体鏡 (井階さん  

 前回の川田さんステレオカメラの発表を受けて、愛工に保存されているのステレオスコープ(実体鏡)を紹介してくれました。

 実体鏡ではステレオ写真を写真を肉眼で見るような立体的な観察のでき、空中写真を見るときなどに用いられます。

<参考> ステレオカメラ(川田さん)
 これが昔からある実体鏡です。

 分光器の仕組み (井階さん  

 前回の例会で紹介した、愛工で廃棄されていた分光器について、仕組みの説明が不十分だったとのことで、井階さんが調べてまとめたものを発表してくれました。

 仕組みの概要は、光源である白熱電球から出た光を回折格子で反射,回折させ,1次回折光を光電子増倍管に入れるというものです。

<参考> 分光光度計(井階さん)
 前回紹介された分光器ですが...
 波長の選択はダイヤルで行います。ダイヤルは右の写真のような形状になっており、ダイヤルを回転されることによって回折格子の角度が最大で11°変化するようになっています。

 また、回折格子もアームに対して約10°ほど傾いて設置されていることにより、選択した波長の光が光電子増倍管に入るようになっています。


 ダイヤルの形状も良く考えられています。
 この装置に使われている回折格子は、ブレーズト回折格子と呼ばれ、特定の方向に回折光のエネルギーが集中するように設計されています。

 この回折格子で反射したとなりあう光が強めあう条件の理論値とレーザー光で行った実験の明点の場所は一致しました。


 ブレーズト回折格子は回折光のエネルギーは斜め前方で最大です。
 次に、ブレーズト回折格子の特性を調べるため、回折格子に白色光を入射し、回折光をスクリーンに映し、観察してみました。

 すると、回折光の並びが右の写真のようになりました。予想していた並びと逆になりましたが、 光源からの0次の強めあう反射光が光源に戻るように、つまり入射角α=0°とし、1次回折光の位置を読み取ると、ほぼ理論通りに結果になっていることが分かりました。


 回折光のきれいに観察できます。

 音のレンズ (佐野さん 
 前回発表した某教科書の問題ですが、薄膜の干渉の図に関しては書面で再度間違いを指摘したところ、訂正の連絡が来たそうです。
 今回はもう1つの音のレンズに関しての発表でした。

 1つは、音のレンズと空気の境界での曲率変化(屈折力)を教科書の図から定量的に求めたことです。

 はじめに、図を拡大コピー(282%)し、コンパスでその図の波面と合うように、仮想的な音源、音の集まる点、円形レンズの中心を探しました。すると、図中の波面はすべて仮想音源等の円周に重なりました。
 話題となっている図ですが...
 さらに、レンズの式を用いて、屈折力を計算しました。


 一方、レンズの形状や二酸化炭素の屈折率等から理論的に屈折率を計算し、2つを比べました。
 屈折力の単位はディオメトリーといいます。
 比べてみると、教科書の図から計算した屈折率はレンズに入る境界がレンズから出る境界の6倍以上も大きく、波面の曲率変化が錯覚で大きくなっていたわけでないことが分かりました。

 また、レンズの形状から求めた値とも大きなずれがあることが分かり、図の波面の曲率は不適切なことが確認できました。
 
 誤差とはいえない結果です。
 2つ目は、前回に石川さんから音のレンズの疑似的な実験として提案のあった「水の深さを一部分のみ浅くしたときの水面波で屈折」についてです。
 水面波の屈折をハイスピードカメラで撮影し、観察してみると、レンズ上(浅くなった部分)で波面が変化が見られました。    屈折率が一定のところでは波面は変化しないはずですが、なぜ波面が変化するのでしょうか。また、レンズとの境界の外側の波面も変化しているように見えます。  
 レンズの外側も波が引きずられているように見えます。
 2つ目は、前回に石川さんから音のレンズの疑似的な実験として提案のあった「水の深さを一部分のみ浅くしたときの水面波で屈折」についてです。
 右のように相対屈折率が大きい媒質に入る場合、波面が途中で切れているように見えます。

 レンズの外側で波面が変化する理由を佐野さんはレンズの外側から回り込む波の影響ではないかと考えているそうです。また、写真5のような波面が切れる現象は2点波源の水波の干渉でも起こるので、仮想波源が生じれば波面が連続しないことはあるのではと主張しましたがどうなのでしょうか。
 更なる観測が待たれますが、波長がより長い音波でも同じような事が起こる可能性は高そうですね。  
 波面の連続性は保たれないこともあるのでしょうか。


 電気フライパン (土肥さん 
 岐阜物理サークルの例会が翌日にあるということで、土肥さんが広島から遠路はるばる名古屋にも駆けつけてくれました。

 1つ目は、静電気の実験。電気盆を参考に考案した実験、名付けて「電気フライパン」です。
 やり方は、以下の通り。
まず、塩ビのラップで覆ったスチレンボードで綿やティッシュで摩擦し、ラップを負に帯電させ、
次に、塩ビパイプの先を豪快にアルミ皿に押し付け、さらに少し丸めるようにして固定します。
 安価で簡単に作れ、面白い、土肥さんの真骨頂です。
 続いて、この皿に「キラキラレインボークラッカー」(ダイソー、アルミ製)を適当な長さに切って作ったリングを入れます。 そして、柄を持って皿にリングを乗せたまま、スチレンボードの上に置きます。


 ここで、ゆっくり皿を持ち上げると、リングが飛び上がり、空中浮遊します!


 類似の実験である電気クラゲの実験は、ビニールひもを捨ててしまいがちで、実験のたびに作るのが面倒だったりします。このクラッカーでリングを作るアイデアは画期的ですね。
 簡単に見せていますが、練習があってのこと。


 砂富士 (土肥さん) 


 
 砂を入れた額縁にきれいな二等辺三角形が上下線対称にあらわれました。このとき、2角の等しい角度は「安息角」といわれ、砂の斜面の限界角になっています。

 作り方は簡単!ダイソーの表彰状用の額縁(ガラス製)2枚の間に木の棒で仕切りを作るとともに、両端に少し空間を開けます。そこに砂を入れ、ホットボンド等で密閉すれば完成です。

 ちなみに、この砂は島根県の浜田市の海水浴場で取ったものだそうです。瀬戸内海のものは粒の大きさが不揃いで上手くいかなかったそうです。

  
 端に穴をあけると...

 次は、両端に加えて、真ん中から少し離れたところに穴をあけた場合です。砂が落ちたのち、どのような形になるでしょうか?

 穴から砂が落ちていくと、角度が安息角より大きいところが生まれては、そのたびに砂が滑り落ちていきます。

 真ん中から少しずれたところに穴をあけると...

 最後は、仕切りの上には穴の上と角を頂点とする二等辺三角形が2つできます。

 これもまた、上下線対称のきれいな形になりました。

 土肥さんは、廊下にこれを置き、休み時間等に誰でも触れるようにしています。何気ない形にも意味があるという、自然の神秘に生徒も感じるものがあるでしょうね。  
 穴の上と角を頂点とする二等辺三角形が2つできます。


 いろいろな楽器 (土肥さん) 
   ちょうど、要らなくなったものがあったので、ピアニカの音が鳴る原理を調べたくて、分解してみました。

 中身は意外にも、オルゴールの歯のようなものがあり、鍵盤を叩き、歯をはじく仕組みになっていることが分かりました。
 なお、右の土肥さんは演奏しやすいように、歯をいくらか起き上がらせ、共鳴板として板に固定しています。
 これは、ピアニカの音源部分を板に張り付けたものです。
 次は、モーターで回転するレコードープレーヤーです。原理が分かりやすいように、中身を剥き出すにしました。

 持ち運びも考慮し、電源は単3電池を採用。レコードがそれなりに聞こえるようモーターの回転数を調節するために、電池はいくらか電圧が下がったものを利用する必要があります。  
 モーターに使い古した1.5Vの電池をつないだシンプルなものです。
 レコードの針は、手で持って扱います。作り方は改良を重ね、プラカップの底の中央にに針を付けたものにストローを接着し、ある程度自由に動けるようにしました。

   
 硬いものよりある程度遊びがある方が演奏しやすかったそうです。
 レコードは中央を見つけやすく軽いフリスピーに固定し、モーターで回転させます。

 ここで、針をこすり付けると、声らしくきものが聞こえます。曲名を当てるクイズとなりました。

 新しい曲であるはずはありません。正解はオフコースの「さよなら」でした。


 リアルタイムでレコードを見たことも使ったこともない世代である生徒達にとってはこれでレコードの溝を針でこすることで音楽が聞こえてくることに驚きを覚えるようです。

   
 スムースに音楽を再生できるとは言えませんが、聞こえればOKです。


 逆上がりへの挑戦 (土肥さん

 

 土肥さんが授業で使用していた電池で走る車を女子生徒さんが壊してしまい、申し訳ない気持ちで落ち込んでいました。

 このまま生徒を放ってはおけないと思い、別の形で再生させようと思い付いたのがこの人形です。
 ブルースリーの顔を付け、ラジコンのリモコンで操作する逆上がり人形になりました。
 もう少しのところで逆上がりはできませんが、ランダムな動きが楽しめます。

 運動神経には定評のる杉本さんもチャレンジしましたが、これまた土肥さんの練習の成果であることが分かりました。  
    操作は相当難解です。


 ピンホールメガネ (土肥さん
 ピンポールメガネを作ってみました。

 ただ、作るだけでは面白くないので、使っている本人は分からないように変な目をつけました。ピンホールカメラと同じ理屈です。カメラを使用した製作方法を見つけました。

 
   本人には見えないのがポイントです。
 これで視力測定です。

 視力が通常より良くなりますが、これは道具あってのもの。メガネを外せば、すぐに元に戻ってしまいます。
 簡易視力測定です。


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