2016年5月14日(土)明和高校での例会の記録の第2ページです。


 高校生が作ったアルミ製滑走装置 (伊藤 政夫さん  


 住友軽金属主催のイベントに参加した向陽高校科学部のメンバー。アルミニウムを使って何かを作るという課題に。今年は滑走装置を作りました。

 L字のアルミに生徒達が根気よく、等間隔に多数の穴を開けました。ここにブロワーで空気を送り、その風でL字のアルミニウムを浮遊させる仕組みです。

 滑走体は一直線上の運動を行い、住友軽金属の技術により重心も安定した位置にあるため、ほぼ等速直線運動を再現でき、非常に高性能です。
 イベントで使うには、参加できる要素が必要なので、滑走路の一端に小型扇風機を置き、ゴールまで届くよう、滑走体の帆を紙で作るというゲームにしました。  
 ブロワーの風でL字のアルミニウムを浮遊させます。
 単純に風を正面で受ける大きな帆を作ればいいと思いがちですが、そのような帆では、途中まで勢いよく進むものの、途中で失速し、ゴール前で止まってしまいました。
 これは扇風機の風が滑走体が遠くに行くにつれ弱まり、滑走体の速度が増すにつれ帆が受ける空気抵抗が大きくなるためです。

 このようにゲームの難易度は高く、やりがいがあります。
 例会では即行で作った明和高校SSH部の2体がチャレンジしましたが、1体がゴールしたのみでした。

 イベント参加者の中には、途中まで、風を受け、途中で倒れる帆を作った強者もいたそうです!    
 もともと深く考えた訳ではありませんが、面白いゲームに!


 中国個人輸入の指南 〜偽物電子部品の見分け方〜 (市川さん)  


 電子パーツなどを世界中から取り寄せている市川さん。中国から輸入した部品が、スペック内での使用したにも関わらず、壊れたため、テスターでスペックを測定してみたところ、スペックは偽りであることが分かりました。
 その後も何度か偽物にあたったそうで、偽物と本物の見分け方を教えてくれました。

 右の写真では左側が刻印された本物、右側が刻印を消して書き換えられたものです。
 良くあるメーカー名のスペルミスがあったり、前の刻印がきれいに消えていないものもあるそうです。
 そんな事がなくとも、見るだけでも確かに偽物は偽物っぽく見えるという声も多く出ていました。
 ただ、現実的には見比べることができませんので、スペックを信じて事故を起こさないようにする必要がありそうです。
 日本での店舗で買う際は検品を通っているので安心料というべきでしょうか?
 大きめサイズが班ごとの観察に適しています。


 単極モーター (山本さん)  

 「いきわく3」でも掲載した単極モーターを紹介してくれました。

 まずは以前にも紹介されたもの。

  構造はいたってシンプル、動作原理は複雑ですが、そんな事を考えることもなく、優雅に回転するモーターに思わず見とれてしまいます。
 磁石が替わったものの、原理は古くから知られたモーターです。
 続いてこちらは『ふわっとハート』と名付けられた塚平 恒雄さん考案の単極モーターを参考に作った単極モーターです。

 こちらは横浜物理サークルで紹介された...
 山本さんは、アルミホイルに紙筒を入れ、高さを調整しやすいように工夫を施しました。

 
 山本さんの工夫です。


周期を測る (岡田高明さん)  

 田中さんが開発した、高精度で周期を測る装置の紹介と、振り子の周期を測る工夫を教えてくれました。

 田中さん製作の装置は、フォトトランジスタを用いて光を遮られたときから、次に同じ方向に光が遮られるまでの時間を測るようにしてあり、小数第3位まで測定できる高性能な測定器です。

  岡田さんは、振り子の糸をV字にし、振り子が平面上を振れるように工夫したところ、この装置を使うと、θが小さいとき、振り子の振れ幅が摩擦等で減るとともに、1000分の1秒単位で周期が少しずつ短くなっていくことが確認できました。
 これなら単振り子の近似式に実感が湧きますね。


 thinking physics (川田さん)  

 思考実験の問題集のような「thinking physics」という本を購入した川田さん。その中から1問紹介してくれました。
 宇宙空間に無限に広がった水があり、そこにに2つの気泡がある。二ュ―トンの万有引力だけを前提にした場合2つの気泡は @ 離れる A 動かない B 近づく

 じっくり考えてください。
 これが原本です。
 本の答えはBだそうですが、まだ合点というわけにはいきませんでした。  
 川田さんの説明が続きましたが、理解は・・・。


 水中での浮力とポテンシャルエネルギー (井階さん)  

 前回発表された浮力の軽いものを沈める運動に関して仕事と位置エネルギーの関係をまとめましたが、指で物体を沈めるときにした仕事と水の位置エネルギーの増加を比較したところ、イコールの関係になりませんでした。

 例会では、時間があまりなかったこともあり、間違えが見つからず。
 井階さんの計算です。問題があるのはどこでしょうか?
 川田さんが計算を行い、連絡してくれました。

 井階さんの計算の問題点は、位置エネルギーの基準を上図のようにした場合、上昇した水はどこからきたのか考慮していないことのように思います。

 その事を踏まえると、下図の川田さん説のように上昇した水の、上昇前の重心と、上昇後の重心の高さの差を考えて、式を立てる必要が出てくるのでしょう。
 川田さんのノートです。


 通信 (井階さん)  

 今年から明和高校に転勤された井階さん。

 学校は生徒達が自主自律するために学ぶ場所であるという想いで、科学・技術・社会の英語の頭文字をとってSTS通信を定期的に発行しています。
 科学・技術だけでなく、社会的な役割まで含めていることに井階さんの想いが詰まっています。
 物理サークル通信同様、素晴らしい通信です。


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