2016年12月3日(土)明和高校での例会の記録です。


 PCを使った音の干渉 (植田さん)  

 PCの普及により、手軽に発振器を使うことができるようになっている今日、フリーウェアソフトで正弦波を作り、PC用スピーカーから音を出し、2点波源の干渉実験が行えます。

 発信音を1500Hzにして実験です。片耳を塞ぎ、位置を変えると音の強弱があることが確認できます。

 音の干渉という現象を簡単に体験させるのには、良さそうですね。
 準備はこれだけ、手軽に実験ができます。


 v-tグラフのアプリ (植田さん)  

 GPSのデータを使ってv-tグラフを描くiphone用のソフトです。

 プログラム的には位置の変化から距離を求め、時間で割ることで速さを求めています。
 植田さんは高校生でも使えるようにと、現場の意見を吸い上げ、プログラムの機能を簡素化し、電車や車のグラフから走行距離を求めることを目的に作りました。

 機能を限定したことで利用しやすくなりました。
 マップルの地図データを利用しており、名古屋市内は情報量が多く、立体地図が表示され、ゲームの正解にいるよう。私は刻々と位置を変える地図に目を目を奪われてしまいがちでした。

 停止時にGPS位置の認識が不安定になり、電車の速度がプラスにマイナスに落ち着かないのが玉に傷ですが、授業の教材に、生徒への長期休みの課題に利用範囲が広そうです。
 名古屋市内など都市部は立体地図も利用可能です。


 投光器を使った単振動の説明 (奥村さん)  

 拾ってきた自転車の車輪におもりをつけ、回転させます。

 これに投光器から光を当てると影が映し出され、おもりをつけ回転させた車輪に横から光を当てると、等速円運動が観察できます。
 車輪を回転させていくと、円が楕円になり、90°回転すると、単振動に!なります。
 奥村さんは、これにばねについたおもりの単振動を同期させ、等速円運動の影が単振動することを感覚的に理解させるという方法を使っているそうです。

 車輪を横から映すと円運動!
 非常によく練られた演示実験ですね!
 正面からだと同期させたばねにつながれたおもりと同じ単振動です!


 ダブルスリットの簡易作成法とその応用 (藤田さん)  

 『安全で生徒が自作できるを実験器具』をテーマに、LED光源で活用できるダブルスリットの製作方法を考え出しました。

 マグネットシート、安全カミソリの刃、ピアノ線(0.2mm)が材料です。

 マグネットシートの中央に穴を開け、カミソリの刃を動かし、Thickness gaugeなどを使って間隔0.4mm程度の長方形になるように隙間を作り、瞬間接着剤で固定します。

 できた隙間の中央に0.2mmのピアノ線を注意深く置き、瞬間接着剤で固定します。
 この際、ルーペ等で確認し、ピアノ線をしっかりと中央に置いておく必要があります。
 カミソリはマグネットシートにくっつくため、調整が容易です!
 レーザーポインターを使って、明点の間隔をみることで性能評価を行った結果、教育現場で使うのに十分な性能が確かめられたということです。

 

 偏光板を45°方向に切ることで、偏光板を90°ずらして張り合わせることもできます。

 
 一流の科学者は、説明も明快です。


 磁界共振の実験 (前田さん)  

 ワイヤレス電力伝送に興味を抱き、ここ数年、実験的な研究を深めてきた前田さん。
 受電側に電球を入れると不思議な現象が起きました。

 電球Aを用いると、銅なめし管で作ったコイル間の距離を変えると、受信側の位相がずれます。一方、電球Bを用いると、距離を変えても位相がずれません。また、抵抗を変えても位相がずれません。

 tanφ=(ωc−1/ωL)/ (1/R)となるはずなので、この理由が分からず、皆に意見を求めました。
 出た意見としては電球内部の回路にコンデンサー等が入っていないのか程度で、原因は不明のままでした。

 銅なめし管で作った2つのコイルが共振コイルです。
 トランジスタ技術2013年5月号に記載されていたネットワークアナライザーを製作し、共振特性を調べると、右の写真のようにデータが取れます。ここで、縦軸がインピーダンスZ、横軸が共振周波数です。

 写真からは5つの共振点が確認できます。それぞれ上に凸が並列共振、下に凸が直列共振の周波数を表します。
 このように共振点が複数現れるのは、遅延回路が形成されるためだそうです。

 最後に、これらの前田さんから提供された情報は、『ニコラテスラって素晴らしい』というブログが情報源です。  
 自作品で測定!市販品では数十万するそうです。


 大型スプリングとネオジム磁石を使った実験の工夫   (前田さん)  

 スプリングを台車に固定するのにネオジム磁石を使用することを思い付きました。

 スプリングはたわみの少ない必要があるため、東急ハンズの径の大きい方を利用しています。

 ネオジム磁石はセリアで購入した4個入りのものを台紙のまま使用すると便利です。
 その事でスプリングを台車から容易に着脱することができ、実験の準備・片付けの手間が省けます。
 パンダはつり合いの位置やばねが最も伸びる位置の目印です。
 他にも、斜面の運動やばねで連結された2物体の運動などにも利用できます。
 このようにすれば、斜面での実験になります。


 単振動の誤差  (岡田高明さん  

 高性能のタイマーを使って測定をするため、糸の長さは、長さを直接測ると精度が問題になるという通常では考えられない事態が生まれてしまうため、間接的に周期の理論値から糸の長さを決めています。

 
 コイルは本物の電磁調理器から。
 また、角度の測り方をより、厳密にした方が良いという助言から、手作り分度器を固定しました。

 もう少し、角度を正確に測るべきという意見もありました。

 また、根本的に高校生に単振動の周期が角度により変わることで、何を伝えるか、喧々諤々の議論が交わされました。    
 手作り感あふれる振れの角度測定器です。


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