2019年9月28日(土)向陽高校での例会の記録の第2ページです


 ウォーターバックの水は何処まで上がる(山本さん  
  ウォーターバック(水を入れた袋)に、体重65〔kgw〕の人が乗ると、断面積23cm四方のウォーターバックにつながったチューブの水位はどうなるでしょうか。
 ア. 頭より上
 イ. 顔から胸ぐらぐらい
 ウ. 腰の高さくらい
 エ. ほとんど上がらない

 チューブの太さで上がる距離が変わるか。
 日本ガイシのHPを参考にしています。
 ウォーターバックの上に木の板を置き、その上に乗ります。  実験の様子

 浮きの円運動(岡田高明さん  
 田中さんが設計したステッピングモーターを用いた回転装置をEHCで製作しました。

 慣性力のところで生徒に見せることができ有意義でした。  
 水中でのおもりと浮きの円運動の様子  この練習問題を解くときに見せました。

 ネオジウム磁石で高性能方位磁針(佐野さん  
  つるつるした、机の上に100円ショップで手に入る円筒形のネオジウム磁石を立てます。
 すると、何か力が働き、回転することに気付きます。これは地磁気との相互作用です。
 そう、ネオジウム磁石が強力なので、地磁気と反応し、十分方位磁針として働きます。

 机の上にいくつか置くとすべて同じ向きを向きます。ただし、磁石同士の力も思いのほか遠くまで届くので、隣り合う磁石の距離をとってください。
 高精度方位磁針となります。

 絵の描ける100円光源で像の向きを (佐野さん  
 レンズの実験では、ロウソクを「光源」、そのまえに+の一方のみが矢印のスリットなど上下左右非対称の「物体」を置くため、物体からレンズまでの距離の定義がややこしくなります。
 現在ではLEDが光源となり、L字型になっているものもありますが、費用がかかります。
 ダイソーで売られるSMの面型LEDはそんな悩みを解決してくれます。表面のプラスチックにホワイトボードマーカーなどの水性ペンで絵や文字を書けば、それが像となり、向きがどのように変化するのか確かめることができます。
 水性のマーカーで物理の「ぶ」を書きました。  レンズとセットで200円程度で実験可能。
 明るさも、薄暗がりなら十分。それほど熱も持ちませんし、セロファンを貼れば3原色の実験でも使えそうです。在庫がある内に買っておきたいものです。
 この通り、文字が逆さまに。

 KEKでのサマーチャレンジと高性能霧箱の冷却 (林さん  
 今までドライアイスの上にアルミ板、その上に霧箱本体を置くことで、霧箱を低温に保っていました。
 新たに、高価な金属板をなしにし、ドライアイスで燃料用アルコールを冷やす方式も機能することが確認できたとのこと。
 燃料用アルコールは酒税がかからず安価で入手しやすいものの、含まれるメタノールの毒性が強く安全管理がやや厄介なので、どちらがいいか悩むところではあります。
 装置の全景。じょうごが見えますね。  名大の研究室のメンバーとともに。
 今年の夏、林さんは、KEK(筑波)での大学生向けのサマーセミナーにて、受講者の霧箱の製作と観察を企画しました。

 霧箱の様子はモニターで観測しました。装置の下の鉛ブロックを起源とすると思われる宇宙線シャワー(カスケイドシャワー)が見られました。
 また、粒子の追生成(ラドン→ポロニウム)も観察できました。
 観察できた2股の軌跡  追生成も観察できました。

 フェルミラボ訪問記 (川上さん  
 アメリカにしばらく滞在していた川上さん。
 google mapで発見した円形に惹かれフェルミラボを訪問し、付属の科学館を見てきました。

 mapに表示される巨大なフェルミ観測器  ミューオン等の宇宙線の説明。
 無限像の鏡の部屋、中は薄暗い迷路になっていて、道を手探りで探していきます。
 中には鏡にぶつかる人もいるようで、ぶつかった跡が残っているいる鏡も...

 川上さんは15分ほどかかったそう。
 鏡の無限像を使った迷路

 実験で学ぶ入試物理 (井階さん  
  
 井階さんが教鞭をとる明和高校は自身の母校でもあり、愛知県屈指の進学校。
 今年は夏期講座では、ただ入試問題を解くだけじゃつまらないと、実験で学ぶ大学入試という講座を開いたところ60名強が選択。
 難問の実験装置を作りました。コンセプトは、廃品のリユース。
 初めは滑らかな床での振り子のついた台の運動。
 右は、回転する剛体の水平投射!電磁石がスイッチで、棒が上下向きになった瞬間、スイッチを切ると、回転しながら棒が飛んでいきます。
 力学台車に振り子をつけて。  円筒形磁石をつかい回転時の摩擦も小さくしています。
 次は、なめらかなで水平な床の上に、置かれた物体上を小物体が動くときの物体と小物体の運動。ゆっくりな分裂とみなし、運動量保存を使う問題。

 同様にダンボールをつかった斜面を上がった物体の円運動。
 廃品のダンボールを3重にし、モールのカイドとしています。

 ダンボールの活用は軽く強度もあり、ナイスアイデア。  円もダンボールカッターできれいに切れます。
 最後は、なめらかな床に置かれたあらい内面をもつ物体内部での物体の運動。初速度があり、壁にもぶつかります。
 力学台車の上に、既製品のアルミ製のレールを固定し、その上に連結した力学台車を置き、初速度を与えます。壁の衝突はレールの端にL字アングルをつけ、力学台車のばねを利用することで弾性衝突としています。
 井階さんの経験と技術がなせる業かもしれませんが、工夫次第でこんなに再現できるのですね!!是非、アイデアをご活用ください。
 こんな複雑な実験も井階さんの手にかかれば。 工夫次第で再現できるものですね。

 音波の表示方法について (飯田さん  
 石川県立金沢泉丘高校の米口先生から、飯田さんの論文に対する賛美とともに、関戸 暢氏のシミュレーションの紹介がありました。

 飯田さんと同様の理論で作られたソフトです。音波の正しい理解の一助となりそうです。

 外部リンク 関戸氏のシミュレーション
 よくできています。

 まさつの秘密 (奥村さん  
 分子間力と摩擦の関係を小学生でも(!?)分かるように描いた漫画です。
 日本評論社の連載漫画第4話です。

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