理科室ろう下の展示 さわってもよい それとも いけない ?
理科室の廊下です。
第2理科室をコンピュータ室にしたとき,展示用の棚が
廊下に出てきました。
ガラスがあったのですが,取ることにしました。
しかし,1つの枠だけはガラスを残しました。
展示してあるのは,ごく普通の貝の標本です。
特別貴重というわけではありません。
ここだけガラスを残した理由は,後で書くことにします。
左は、貝の標本。ガラスをかぶせてあります。
真ん中は,ヤシの実。乾燥しています。
重さを比較するために,ペットボトルに水を入れてあります。
青の食紅で色をつけると,すこしきれいになりました。
「かんそう前のヤシの実は,ペットボトルより おもい・かるい ?」
「ペットボトルは2リットル。水1リットルは1kgだから・・・」
右は,BTBです。
酸性・中性・アルカリ性の色見本を試験管に入れてあります。
黄色い箱の中には,BTB,プリンカップ,スポイトが入れてあります。
「ためしてみましょう ---かたづけができる人はどうぞ」
左は,富士山の熔岩。桜島の火山灰。製鉄の原料4種。
真ん中は,キーボード。
右は,コンピュータです。
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30年前にできた校舎です。
当時設計された理科室には,廊下がわにガラスで仕切られた展示スペースがあります。
近辺の学校にも多くあるところを見ると,流行というか,常識というか,そんな感じだったのかもしれません。
コンピュータ室をつくるとき,二つあった理科室のうちのひとつをそれにあてました。展示棚は捨てるには
もったいないほどのしっかりしたつくりだったので,理科室の廊下におくことにしました。上の写真です。
乾燥したヤシの実をいれました。
子ども達は,見てとおります。
ガラスをはずしてみました。
子ども達は,触っていくようになりました。
上の写真のように,比べるものをおきました。
子ども達は,持ち上げていくようになりました。
子ども達のこの行動のかわりかたに,理科室の「展示」を考えていくヒントがあるのかもしれません。
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【キーワード】は ハンズ・オン
モンキーセンターで行われた「プリマーテス研究会」以来,このことばがとても気になっています。
博物館や動物園だけでなく,学校でもキーワードとしてとらえていくとかわっていくものがあるのではないか
とおもいます。
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「ハンズ・オン」は,単に,さわる,手にとって見るという表面的な意味としてとらえるべきものではないと思い
ます。ここでほんのすこし書いてみる程度で収まりきるものではないのですが,それをさらりとやってしまうと
いうのが,その道のプロ!でしょうか。
展示学研究所の橋本さんは「かかわりあい」と,実に見事にしめしてくれました。このひとことを伺ってから
展示を見る視点を一つ多くもつことができたように思います。
富山市ファミリーパークの寺内さんは,「さわる」という行動について,これまた見事にその段階を示してく
ださいました。お許しをいただいたので,紹介させていただきます。
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1) さわってはいけない
2) さわりなさい
3) 一般にその対象にはさわっていいか悪いか判断しなさい
4) 「あなた」がさわっていいか悪いか、「自分自身」で判断しなさい
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これまで,1)か2)か,という発想しかありませんでした。子ども達に対しても,この2つの見方で接してい
ました。寺内さんの「自分自身で判断しなさい」というお考えは,とても新鮮でした。
この先に,もうひとつありました。
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秘伝) すこしぐらい大丈夫
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「すこしくらい大丈夫」という,微妙な判断をするためには,いろいろな状況を総合的に判断しなくてはなりま
せん。どうしても白・黒をはっきりさせなくてはという意識からはなれてみようと,改めて思います。白か黒で
はなくて,灰色の部分がある。1か0かではなくて,0.3だってある。
対象に対する感じ方がちがえば,それに対する反応が代わって当然です。しかし,その反応のは「常識的
な判断」に支えられたものでなくてはなりません。その常識をどこで,どのようにして身に付けていくのか。
小中学校での経験は,こういったこことに大きく関わっていくものと思います。
ほんの小さな展示の中にも,こんなメッセージを込めていくことにします。