第七回・神奈川の理科教育を考える集い (00/12/23 県立湘南台高校)

 神奈川県を中心に活動する理科関係サークルの連絡協議会として発足した「神奈川の理科教育を考える集い」も、今年で7回目になりました。午前中は「お楽しみ広場」で自由発表、午後は各分科会に分かれて実践レポートが行われました。ここではお楽しみ広場の出し物を中心にご紹介します。すべての発表を網羅できなかったことをお詫びします。

火山学のためのゼラチン実験 西生田中・笹川さん

 マグマが浮力を受けて岩盤を割りつつ上昇してくるようすを見せるモデル実験です。水槽にゼラチンを流し込んで固め、底からマグマに見立てた色をつけたベンジンやコーラなどの液体を注射器で注入します。

 液体はゼラチンからの浮力で上昇します。マグマだまりが実は薄っぺらな形をしていることもこの実験を見ると納得できます。岩脈が結合してマグマが混合することもあります。

 地表に達したマグマは割れ目から一気に吹き上げるように出てきます。これが火山の噴火というわけです。実に見事な実験でした。


魚眼万華鏡とバランシングバード 柿生西高・鈴木さん

 YPC(横浜物理サークル)の製作・販売コーナー。科教協関ブロでも好評だった、透明ビー玉を使った「魚眼万華鏡」や、画用紙で作る鳥型のやじろべえ「バランシングバード」の工作実習を行いました。

簡単綿アメ器 麻生高・町井さん

 アルミ缶と小型モーターを使った綿アメ器は、手軽に作れて楽しめます。中学生にも人気でした。ザラメよりも飴玉を融かして使う方が、味も良くお勧めだとのことです。

ほんもののタネ図鑑 大谷中・野田さん

 圧倒的なタネのコレクションで「実物授業」を展開する野田さん。左の写真は世界一大きなオオミヤシ(フタゴヤシ)のタネ、巨大な松かさのディガーパイン、楽器にもなるモダマの種子。右はツノゴマ。


 参加者は空飛ぶタネの実物標本を作ってお土産にできます。名付けて「ほんもののタネ図鑑」。となりはボダイジュのタネ。


糸巻きラジオ 慶應湘南藤沢中高・鈴木さん

 文部省高エネルギー加速器研究機構(KEK)のサイトで紹介されているマニュアルに従って、糸巻き型アンテナとゲルマニウムダイオードによる手作りラジオを生徒に作らせたという実践報告がありました。数時間の工作で完成するそうです。電源不要。建物の外ならよく聞こえます。

炎色反応 神奈川学園・水野さん

 炎色反応をいろいろな方法で大きく楽しく見せる工夫です。空き缶に仕込んだロウに溶かし込んで炎色ロウソク、アルコールに溶かし込んで炎色ランプ、火薬に混ぜ込んで炎色線香花火、女生徒が喜びそうです。

内惑星の位相 村岡中・細谷さん

 フィルムケースやピンポン玉を使って、内惑星の運動と位相の変化をわかりやすく示します。地球のところからのぞくようにして見るのがコツ。装置が簡単なので班ごとに実習ができます。

分子模型 関東学院・渡邉さん

 ダイオキシンや身近な高分子化合物などの手作り分子模型です。どれもすばらしい出来映えですが、中でも氷の結晶模型は圧巻でした。いったいどれだけ時間がかかったのでしょう。材料費もそうとうのもの。値段はつけられないとのこと。

人が乗れるセブンブリッジ 三浦高校・車田さん

 YPCではおなじみの7ピースのブロックアーチ。発泡ポリスチレン製。摩擦力だけでしっかりと重量を支えることができます。上に大人が乗っても落ちません。

ヨーグルトきのこでヨーグルトを作る 神奈川生物学教育研究会・宮地さん

 ヨーグルトきのこの菌茸で、牛乳を補充するだけで毎日ヨーグルトが作れます。市販の飲むヨーグルトと混ぜて飲むとおいしい。小中学校では扱わなくなってしまった菌類を教材に、生態系の概念形成をめざす取り組みの一環だそうです。

化石のレプリカ 金旭中・斉藤さん

 これもおなじみになった化石のレプリカづくり。同じ物が何個でも作れるので、生徒一人一人に持ち帰らせることができます。斉藤さんが着色したお手本は本物と見まごうほどの出来映え。

古代火おこし器を作る 津久井高定時制・岩波さん

 火錐杵による摩擦式火おこし器は今やスタンダードな実験ですが、岩波さんはさまざまな木材の組み合わせで、発火しやすいものしづらいものを分類しました。火錐板にはスギの板が、火錐杵にはウツギやアジサイなどの丸棒が最適だそうです。カシやラワンはこの実験には不適です。

水滴記録タイマーによる運動実験 立花学園高・久保田さん

 マリオットのびんの原理で、水圧を一定に保ち、等間隔で水滴が垂れるようにした装置で力学台車の運動を記録するアイディア。記録紙には「水書き書道用紙」を用います。乾かせば何度でも使えるので経済的。

コンデンサーの放電の自動計測 立花学園高・久保田さん

 コンデンサーの放電曲線を簡単なインターフェースで、パソコンを使って自動計測します。ソフトはエクセルのマクロで作れますから、高価な計測システムを使わなくてもよいのがミソ。時代の流れを感じます。

コイン自動選別機 慶應湘南藤沢中高・鈴木さん

 「100円ショップで大実験」(学研)に収録されている実験の追試です。斜面を下るコインにはたらく渦電流によるブレーキでコインの落下位置が変わり、自動選別されます。ブックエンド、下敷き、定規、マグネットなど100円ショップで入手可能な材料ばかりです。

分科会

 午後は物理・地学と生物・化学に分かれて実践報告と討論が行われました。


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