2002年夏季活動・箱根・西丹沢 2002/08/01-03

 2002年度の夏季宿泊活動は、地元神奈川県の大地の生い立ちをたどる2泊3日の旅です。
西丹沢は、20年前、団発足の年、最初に訪れた記念の場所でもあります。

夏季活動の行程

8月1日(木) (1)箱根大涌谷〜(2)河内川〜(3)中川温泉
8月2日(金) (4)西丹沢自然教室〜用木沢〜犬越路〜犬越路隧道〜西丹沢自然教室
8月3日(土) (5)丹沢森林館〜玄倉川〜(6)夕日の滝
(※図はフリーソフト「カシミール3D」により描画したもの)

1日目:箱根〜山北


第一の目的地、(1)の大涌谷に着きました。冠ヶ岳は2900年前の活動でできた溶岩ドームです。

大涌谷自然科学館を見学します。来年3月で閉館が予定されているのは残念です。見納めになるかもしれません。

夏季活動のしおりの問題の答えを探しながら、展示物をていねいに見ていきます。

箱根火山は40万年前に活動をはじめ、5万年ぐらい前までに二重のカルデラを形成しました。中央火口丘の神山が崩壊して芦ノ湖ができたのは3千年前のことです。

大涌谷の自然研究路そ進むと、硫気荒原の中に噴気口や湯釜を間近に見ることができます。

団長の高山先生が大涌谷名物「黒タマゴ」をごちそうしてくれました。一つ食べると7年長生きするとか。

噴気をバックにみんなで記念撮影

次の観察ポイントは(2)の河内川の川原です。200万〜100万年前に堆積した、足柄層という地層の露頭を見ることができます。

じりじりと照りつける太陽の下、川の水で足を冷やしながら相原先生のお話を聞きます。

足もとの白いものはカキの化石です。当時、ここがカキ礁ができる潮間帯の浅い海だったことがわかります。

おおきなハマグリの化石も見られます。

サワガニをつかまえたよ。

石の表面にひっかいたように見える2本の傷は、アユのはみ跡です。

宿舎の「魚山亭やまぶき」に着きました。

宿舎から歩いてすぐの中川の川原で、結晶片岩の露頭を観察します。(3)の観察ポイントです。

1500万〜700万年前、丹沢層群の地層に地下からマグマが貫入して丹沢山地のもとができたときに、強い力と熱を受けて変成岩ができました。

とびきり暑い一日でした。川に入って足を冷やすと生き返ります。水は澄みきっていて、魚が泳いでいるのが見えます。

いろいろな石をボトルに入れて、激しくシェイクすると、足柄層の柔らかな泥岩はすっかり崩れてしまいます。結晶片岩はとても硬いことがわかります。

夕食は鉄板を囲んでバーベキューです。自分の手で調理すると味もまた格別。

2日目:犬越路登山


2日目は丹沢の生い立ちをたどる自然観察ハイキングです。西丹沢自然教室から用木沢に入り、東海自然歩道をたどって犬越路(いぬこえじ)へ登ります。尾根の向こう側から犬越路隧道を抜けて再び用木沢へ出て、林道を通って自然教室に戻ります。(※図はフリーソフト「カシミール3D」により描画したもの)

天気は上々。いざスタート。

貫入した角閃石安山岩の岩脈の前で相原先生の説明を聞きます。

左はトーナル岩。右は角閃石安山岩。ここがちょうど岩脈の境目です。

トーナル岩がうめつくす白い川原の用木沢。何度も川を渡りかえしながら登っていきます。

犬越路への登りにさしかかりました。樹林の中の急な山道です。みんながんばれ!

犬越路の避難小屋に着きました。ここが峠です。あとほんの少し尾根を登れば下り坂です。天気はまだ晴れています。

尾根筋から一転して急な下り。小さな四年生にはやはりきつい道です。

やっと犬越路トンネルに着きました。トンネルから吹き出す風は冷たくて気持ちいい!温度計で気温を測りながら歩きます。音の速さを測定する実験もやりました。

7,8班が出口に到着した頃、雨が降り出しました。トンネルの中で昼食です。さらに遅れた9,10班は、はげしい雷雨に見舞われ、トンネルの中で待避行動をとりました。

林道の舗装道路を逃げるように下ります。ここまで来ればもう大丈夫。でも、雷は恐かったなあ。そういえば、下りでは休憩をとってないね。

林道は落石注意!崖から離れて谷側を歩きます。落石にあたればガードレールもこのとおり。

雷で肝を冷やしたものの、全員無事帰着。安心したら急におなかが減って、食が進みます。

3日目:宮ヶ瀬〜足柄


丹沢湖のほとりにある(5)の見学ポイント丹沢森林館。

ここの岩石標本は充実しています。併設の薬草園もなかなかのもの。理科の学習では穴場のスポットです。

森林館から徒歩20分。玄倉川の河川敷です。1999年8月13日、大雨で増水したこの川で13人の尊い命が失われました。

事故現場を目前にして、川の危険性について相原先生の講義をうけます。二度と事故を起こさないために、みんなが自然の力の怖さをを知る必要があります。

足柄の金時山の山すそにある夕日の滝。最後の観察スポット(6)です。滝を見ながらお弁当。「マイナスイオン」の話はあやしいけど、とにかく気持ちがいいね。

滝の裏側をくぐる勇敢な(?)中学生もいました。危ないからまねしないでね!

足柄は金太郎こと「坂田金時」の出身地。「金太郎の遊び石」の前で記念写真。田んぼの中に点在するこれらの大岩は、後方にある金時山起源の火山角礫岩で、その昔の土石流によって運ばれてきたものと考えられます。この大岩を押し流す流れがこの谷をおそったことがあるのです。神奈川の生い立ちをたっぷり学んだ旅でした。

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