石炭の科学  2002/12/08 藤沢市立村岡中学校

昔は一般家庭や学校でも燃料としておなじみだった石炭。蒸気機関車も走らなくなったし、石油やガスに取って代わられて、今の子どもは見たこともない石炭。でも、火力発電所や製鉄所では今でも主要な燃料として石炭を使っています。今回は専門の研究者でもある小野先生の指導で、石炭を科学します。


 今回のテーマは石炭。小野先生が実物の石炭のサンプルをたくさんもってきてくれました。

 はじめに小野先生の作ってくれたプリントで、石炭について勉強します。石炭は大昔の植物の化石なんだね。地面の下から掘り出すんだ。

 左が茶色い色をした褐炭。右がさらに炭化の進んだ瀝青炭(れきせいたん)。中央はボタとよばれる炭素分の少ないクズ石です。

 プリントにそれぞれの石炭の粉をパウチしたものをはりつけて、色合いを比較します。

 石炭に火をつけてみましょう。褐炭はチャッカマンで比較的簡単に火がつきます。

 瀝青炭はチャッカマンでは燃えませんが、バーナーでしばらくあぶると燃え出します。石が燃えるって不思議だね。

 瀝青炭をるつぼに入れてバーナーで強熱します。揮発成分が白い煙になって出始めると、引火して炎が上がります。

 炭化が進んで揮発成分がほとんどない無煙炭はその名の通り、かなり高温にしても煙は出ず、なかなか火がつきませんが、一度燃え出すと強い火力を発揮します。

 今度は自分たちで木から炭を作ってみよう。割りばしをアルミホイルでくるんで、空気が入らないようにし、バーナーで熱します。木炭ガスが出てきて燃え出します。

 ガスが出なくなったらさまして取り出します。割りばしがみごとに木炭になっています。中が穴だらけなので石炭のようにしまってはいないけど、これも炭素のかたまりです。

 こんどはフラスコを使って石炭の乾留実験。瀝青炭を熱して石炭ガスやタールを取り出します。これは操作が難しいから中学生がやってね。

 しだいに温度をあげていくと調圧用の三角フラスコの中は黄色い煙でいっぱいになります。これがタールを含んだ石炭ガスです。火をつけると燃えます。

 最後は石炭の液状化実験。こまかく粉にした石炭(微粉炭)を水で練ったものは、粘土のような感じで流動性がありません。

 これにちょっと界面活性剤(洗剤のようなもの)を一滴加えると、粒子の間の滑りがよくなってどろりと流れるようになります。

 こうして液状化すると扱いやすくなります。石炭火力発電所では配管を通してバーナーに送り込み、霧状にして燃やしているのです。

 最後に特別ゲストで、地学が専門の萩谷先生が、石炭のできかたや日本の炭田の分布などについてお話しをしてくださいました。

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