神奈川県立教育センター・理科テーマ別研修講座受講報告

たのしい鉱物学 講師:堀秀道先生(99/06/18)

 練馬の鉱物科学研究所を訪ね、所長の堀秀道先生に、鉱物の魅力、採集方法、見分け方などを実地にご指導いただいた。

住宅地の中にある鉱物科学研究所。堀先生の自宅を兼ねている。

手前がミネラルショップ、奥の建物に、研究室とご自宅がある。

ミネラルショップの店内。鉱物標本が所狭しと並んでいる。

店内で堀先生のお話をうかがう受講者たち。女性が多かったのはブームのせい?

 ホルンフェルス(粘板岩起源)のゼノリスを含む花崗岩(稲田石)。都庁や国会議事堂に使われている石材だ。

 大粒の磁鉄鉱を含む結晶片岩(長崎産)。磁鉄鉱は磁石につくのですぐに判別できる。磁性鉱物は少なくないが、磁鉄鉱は特に強力。野外での判定用の磁石にはピップエレキバンの磁石が軽量小型で重宝だとか。

 宝石鑑定用(上)と、鉱物鑑定用(下)のルーペ。宝石用は室内の採光の整った環境で宝石内部の傷などを観察するのに対し、鉱物用は野外で主に結晶の表面と外形を観察する。用途や使用環境の違いを意識して選ぶ必要がある。

 ルーペは3枚あわせの色消しレンズが使われているトリプレットというタイプがよい。同じトリプレットでも国産品(上)は1万円以上するが、ベラルーシ製(下)のものは2千円で手に入る。お店にあったのでさっそくゲット。

 硬度鑑定に使われる硬度棒。モースの硬度計に比べ、持ち運びに便利だ。

 条痕色は鉱物鑑定の有力情報だ。条痕板は陶磁器の糸尻などでも代用できる。

 結晶面の角度を測る接触測角器。これは鉱物用ではなく、工具として売られているものだ(ドイツ製)。

 堀先生がご友人から譲り受けたという手作りの単円反射測角器。回転して結晶面がきらりと光るところの角度を読む。うまくできている。

 複屈折による消光角を測定する偏光器(左)と、屈折率を測定する屈折率計(右)。

 屈折率計に使用する標準液。屈折率が精密に求まっている。これで装置と結晶との間の隙間を充填する。

 屈折率計に結晶をセットしたところ。このあと上蓋を閉じて手前のレンズをのぞく。

 こんな画面が見える。明るいところと暗いところの境目を読む。1.63と読める。結晶を回転させながら測定して最大値と最小値を定める。

 ミネラライトの紫外線で蛍光検査をする。透明だった結晶が、緑色に光る。

 デジカメのCCDは紫外線に感じてしまうので窓がすみれ色に見えるが、肉眼では真っ黒にしか見えない。

 普通の蛍光灯スタンドにブラックライト管をつけたものでも役に立たないことはない。ブラックライトはフィルターが異なるので、余分な光も出てしまうが、これで観察できる蛍光鉱物も多い。

 花崗岩(稲田石)にロシア製のガイガーカウンターをあてる堀先生。花崗岩は放射性元素を含むことが多い。都庁の石材の放射能が話題になったこともあるそうだ。都庁があぶないなら国会議事堂だって同じのはずだが。

 研究所の裏庭にあるズリ(石捨て場)。無造作に堆積した岩石の中に、けっこうお宝が眠っている。「お好きなのをどうぞ。」ということで、いくつか標本を分けていただいた。

 堀先生直々にハンマーの使い方の指導。ハンマーの選び方、慣らし方、整形のしかたなど、実地に詳しく教えていただいた。

鉱物科学研究所の店頭展示品へ

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