例会速報 2024/12/15 株式会社ナリカ・Zoomハイブリッド
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YPC例会のもようを写真構成で速報します。写真で紹介できない発表内容もありますので、詳しくは来月発行のYPCニュースで。例会ごとに更新します。過去の例会のアルバムはここ。
授業研究:実験設備ゼロの物理授業とボードゲーム~ 菅野さんの発表
菅野さんは文系クラスの高校2年生の物理の授業で物理基礎を指導した。1年時の学習内容を振り返りながら生徒の疑問を引き出し、その疑問の答えを自ら発見しながら新しい疑問を見つけるという流れを意識した。
「1次元の運動」では加速度の復習がてら運動をグラフ化するという作業を行ってもらったが、生徒の反応としては誰一人描くことができなかった。そこで、「physics toolbox sensor suite」を用いてエレベーターの運動を生徒自らグラフ化し、実際の運動を見てグラフの特徴を生徒自ら発見する授業を行った。
授業の狙いはa-tグラフの面積が速度を表すことに気づく事だった。しかし、エレベーターの往路復路で班を分けて実験を行った結果、面積よりもグラフの凸の方向に意識がいってしまった生徒が多かった。面積についてのコメントも出たため、生徒同士の共有の中でなんとか面積に意識を向けることに成功した。
授業の流れとしては加速度→速度→変位となっているが、変位と速度の関係をしっかり固めたうえで加速度の話に進んだほうが生徒の理解も深まるのではないかというアドバイスもあった。
加速度のグラフを作成する中でエレベーターの加速度が重力加速度よりもはるかに小さいという事を指摘した生徒もいた。その疑問を基に、そもそも身の回りの運動の加速度は重力加速度9.8m/s2よりはるかに小さい気がするがどうしてだろうという疑問を立ててアルミカップの落下実験を行った。
その結果、生徒の反応として「空気抵抗が関係している」「下にアルミカップを投げてもそこまで早くならない」等があった。この後は時間の都合上発表を省いたが、以降の流れとしては「力と運動」の関係から再度アルミカップの落下運動に戻り、空気抵抗の存在を生徒に認識させ、2次元の運動の学習へと移った。
「今後は生徒の見つけた疑問から新しい学習内容に移る授業スタイルは維持しつつ、より生徒に授業の狙いが伝わりやすい授業にしていきたい。今回の発表を経て、多くの人からアドバイスをいただけて改善していきたいところが見つかったのは本当に良かった。」と菅野さんは振り返る。
菅野さんは、ボードゲーム「熱力学ワーカーズ」を授業で用いた事も報告した。授業に取り入れるタイミングとしては、等圧、等積、等温変化の概念を学習した後に行った。ルールとして「必ず用語は正しく用いること」「ゲーム終了時までに仕事の流れの向きを意識し続けること」の2つを課して行った。生徒は、物理でボードゲームをやることが新鮮なようで、楽しくやっていたとのこと。等温変化の操作を自分で行うことで、グラフの概形を自分で描けるようになる事の2点はこのゲームの非常に優れた点である。
ボードゲーム「熱力学ワーカーズ」のご紹介 新井さんの発表
その「熱力学ワーカーズ」の開発者の新井さんが、例会に足を運んでくれたので、作者から直々に説明していただいた。新井さんは流体力学を研究している大学院生だが、現役東大生中心のボードゲーム制作団体「EXPlayin」の代表を務めている。EXPlayinは「理系ゲームズ」というボードゲームのシリーズを次々と開発している。「有機大富豪」に次ぐ第二弾が「熱力学ワーカーズ」だ。2年前にクラウドファンディングの支援を受けて世に出た。第3作「素数スピード」も売れ筋だ。
「デジタルの時代になぜアナログゲームか」という質問もよく受けるそうだが、複数人でコミュニケーションしながら遊びつつ学ぶ、というプロセスが教育と相性がいいと、新井さんたちは考えている。
「熱力学ワーカーズ」はp-Vグラフのゲームボード上で、理想気体をイメージした「系」と呼ばれる四角いコマを動かす。等積変化・等圧変化を選んだ上でサイコロを振って、コマを進める。等圧変化で気体がした仕事に応じて「ジュール」というチップがもらえる。等積変化では仕事はされないが、圧力が上がるので、次のステップでより大きな「ジュール」を稼げるかもしれない。こうして、先に80ジュールを稼いだ者が勝ちというゲームである。途中、5ジュール支払うと新しく「系」を増やすこともできる。複数の「系」は1回のサイコロで連動して動く。10ジュール支払うと、「ポテンシャルカード」を1枚引くことができる。例えば、「等温変化」を引き当てると、自分のすべての系をpVが等しい点に移動することができ、ジョーカー的な使い方ができる。このへんの駆け引きがゲームとして面白い。楽しみながら熱力学の基本を肌感覚で学ぶことができる。
簡単に実験できる気柱共鳴装置の開発 鈴木駿久さんの紹介
鈴木さんは、2023年度の東レ理科教育賞の奨励作である、月僧秀弥さんの「簡単にできる気柱共鳴装置」を作成し、追試してみた。
参考にした論文はこちら→https://www.toray-sf.or.jp/awards/education/pdf/R05-08Gesso.pdf
塩ビパイプとパイプカッター、クリアファイルがあれば、本当に簡単に製作することができた。スケールとしてマスキングテープを貼り付け、音源にはイヤホンを使う。市販の気柱共鳴装置では閉管がほとんどだが、開管でも実験できるのがよい。写真はゴム栓でふさいで閉管にしたところ。参加者からは、「ホワイトノイズを流してみたらどう聞こえるか」や「音源として使うイヤホンの位置をパイプの端からパイプの内側に変えたら共鳴のようすは変わるのか」等の質問が出た。
VRを使った実験 中田さん、安闘さんの発表
中田さんたちは、芝工大が主催する第9回芝浦ビジネスモデルコンペティション(SBMC)で優秀賞を獲得した「オシロビジョン」というVRアプリ開発チームの学生メンバーで、将来的には起業を目指している。メンバー内に通信制高校で学んだ人がいて、通信教育の世界では実験などの体験が乏しく、見過ごせない教育格差があることを知り、その解決策としてVR技術が活用できないかと考えた。VRゴーグルやアバターコミュニケーションを用いれば、設備や対話機会の不足をカバーでき、オンラインなら時間・空間的制約も克服することができる。そこで、とりあえずプロトタイプとして開発したのが、例会で紹介された
Science Phenomeners VR というアプリである。
プロトタイプの一例としてまず紹介されたのは、バーチャルな化学実験室。試薬の混合を自分の手で行うことができ(左図)、分子のイメージを空中に投影して反応の過程を見ることもできる(右図)。
エタノールの燃焼では酸素を投げ入れて反応を促進するなどVRならではの表現もある(左図)。
現実世界の映像にVRイメージを重ねるMRの技術を使うこともできる。物理分野では、バーチャルな発射機を操作して(右図)、仮想の球を目の前の現実世界に向けて打ち出し、その軌跡を追ったり、速度ベクトルを表示したりすることもできる(下段左図)。
VRゴーグルのカメラで取り込んだ画像をスタンドアローンで処理して共有しているので、PCなどの重いものを持たずにVR体験ができる。失敗に対する警告もプログラムされており、安全に失敗体験を積んだ上で、リアルな実験に進むという活用も考えられる。右図のVRゴーグルはまだ1セット5万円位するが、普及により量産効果が現れればコストダウンも期待できそうだ。
板磁石で動くイモムシ 門倉さんの発表
海老名市立今泉中学校の野田さんから教わったというイモムシのおもちゃの紹介。マグネットシートの着磁は極性が交互に帯状になっていることを利用した手作りおもちゃである。板磁石を四角く切り、帯状の極性が横になるように布リボン(手芸店より購入)に両面テープで、間隔をあけて貼り付ける。それを、板磁石の極性が平行になるように置いてリボンのお尻を押すと、ずれることで反発と吸い付きを繰り返し、ユーモラスに飛び跳ねながら移動する。
動画(movファイル:4.5MB)はここ。
ストローとその袋で作るカイコの幼虫 門倉さんの発表
群馬県高崎市の「日本絹の里」でもらってきた、カイコの幼虫のおもちゃからヒント得て作成した作品。6mmの袋入りのストローの袋を少しずつ押していき、しわしわにして幼虫を作る。ストローの先にセロテープで糸を付けて、その上に両面テープを貼り、ストローが見えないように緑の小さい紙を貼り付け、更に両面テープで幼虫の顔の部分を貼り付ける。糸はストローの途中に目打ちで穴をあけて、ストローの中を通す。
ストローは、先端から適当なところで、曲がるようにしっかりと折り曲げる。会場から蛇腹を活用したらという意見があったが、曲がった後元に戻らないので折り曲げた方が動きがリアルだとのこと。
緑の画用紙で、手のひら大の桑の葉をつくり、ストローを緑の紙を小さく切ったものでスライドできるようにして固定して完成。ストローを引くと、幼虫が曲がって動き、糸を引くと顔をあげる。実験イベントなどで、製作してはいかが?
ハーフミラーで作る光のトンネル 加藤さんの発表
『理科教育ニュース』2023年10月8日号「どこまでも続く光のトンネル」(左図)で紹介された実験。少年写真新聞社の加藤さんがその実物を披露してくれた。ハーフミラーとミラーの間にLEDを挟むと、反射を繰り返して無限鏡像ができ光のトンネルがどこまでも続いているように見える(右図)。
加藤さんは作り方も説明してくれた。電飾用に売られているLEDテープライトは、好きな長さに切ることができる。これを、ハーフミラーの大きさに合わせて切って枠を作り、両面にハーフミラーとミラーを貼りつければ、比較的手軽に実験ができる(左図)。ここでは、USB接続のLEDテープライトを使い、モバイルバッテリーを電源としている。ここで使ったハーフミラーとミラーは、「アクリルショップ
はざいや」(https://www.hazaiya.co.jp/)で購入した。
製作・実験方法の詳細は、2025年1月下旬発売予定の『理科総合大百科2025』(右図)にも収録されている。
光るダイナビーの中身 越さんの発表
越さんは、前回の例会で話題にした「ぐる玉」(ヒモがいらないダイナビー/パワーボール)を分解したものを会場に持参した。右図、上から、フレーム、回転子、下左からゼンマイ内蔵の回転子のフレーム、ドーナツ型磁石、コイルLED基板。ネジをはずすと分解できた。
ドーナツ型磁石の着磁の様子は磁気ビュワーシートで観察できる(左図)。片面6極着磁でNSが交互に3つずつ並んでいる。基板の方には2つのコイルとLEDが取り付けられている(右図)。この基板を、直径6㎜のストローを軸として磁石または基板を回転させると、LEDが点灯する。回転速度を上げていくと、赤、緑、白の順に点灯することもわかる。光子のエネルギーの小さい順ということだ(白は青色LEDで光らせている)。発電機の部品を除いても、元通り組立てればダイナビーとして使用できる。
ハンダ付け工作 曽谷さんの発表
曽谷さんは、マルチバイブレータ(回路図はWikiPedia の「マルチバイブレータ」を参照)で点滅周期を決めるR2となる抵抗を、紙を鉛筆(2B)で黒く塗りつぶして自作した。二つのクリップ電極の間隔を広げると抵抗値が増す「摺動抵抗」である。他の抵抗、コンデンサーのパラメータはこの手作りボリウムの値に合わせて決める。曽谷さんの回路では、固定側の
R1 = 33 kΩ、C1 = C2 = 10 μF とした。
なお、電池(写真は 9v)などは部品コストの兼ね合いで決めたもので何でもよいが、作例のLEDは「定電流素子内蔵型」なので、通常のLEDでは電流制限抵抗が必要となる。動画(movファイル:6.4MB)はここ。
動画解析アプリの活用 中島さんの発表
中島さんは、動画解析アプリ「Video Analysis」を使って、ジャンプの運動を解析例を紹介してくれた。Video Analysisは有料だがWEBアプリなので端末を問わず使用することができる。
まず、撮影した動画内の測定対象物の位置を点でマーキングする。動画内に長さの分かるものと一緒に撮影をすることで、ピクセル数と動画内の長さを設定することができる。
次に、マーキングした各点に座標を割り当て、動画の時間と点の垂直方向と水平方向の位置の変化を解析できる。センサを搭載できないものの動きを追跡するなど探究的な学習に活用できる。
写真は中島さん自身が会場の実験室内でジャンプした動画を解析した例。y-tグラフを2次曲線で、v-tグラフを直線で回帰分析すると加速度が9.8m/s2に近い値で求まる。
過去の動画でも対象物の長さが分かるものがあればある程度の解析ができる。下はアポロ16号の船外活動時、ジョン・ヤング船長が月面でジャンプした動画を使った解析例。上と同様の処理を行うと、月面の重力加速度 1.6m/s2に近い値が得られた。
湿板写真 渡辺さんの発表
渡辺さんは「湿板写真」という古典的な撮影方法でいまも撮影を行っている写真館で記念写真を撮影した(左図)。その体験報告である。湿板写真は、日本には170年前の江戸幕末期ごろに伝わった写真の古典技法で、坂本龍馬らも撮影したことは広く知られる。乾板写真と比べ、手間や処理の素早さが求められるなどから、今では珍しい技術となったが、東京の日暮里で長年撮影を行っているのが「LIGHT&PLACE湿板写真館」である。
湿板写真の処理過程は以下の通り。
(1)コロジオン溶液をガラス板に注ぎ、半乾きにする。(上段右図)
(2)半乾きのガラス板を硝酸銀溶液に3分ほど浸す。溶液中の銀イオンがコロジオンと反応して銀ハロゲンを形成し、ガラス板が感光性を帯びる。
(3)ガラス板を大型カメラに装填し撮影(露光)する。(左図) ※撮影時間は約5~6秒。その日の環境で変わる。
(4)ガラス板をカメラから取り出し、すぐに暗室で現像する。(上段右図)
(5)水洗いして乾燥させる。銀の変色を防止するためにニスでコーティングする。
写真は感光した部分が像として残るのでいわゆる「ネガ」になるが(左図)、黒い背景の前に置くと、上の写真のように見える。もちろん白黒写真だが、拡大してみると着物の帯の柄など細部もよく表現されている(右図)。こうして世界でたった一枚のガラスの写真が手に入る。
LANコネクター工作 植田さんの発表
植田さんは、電流による磁場の観察用実験器具の製作をより簡単にする方法を提案した。この実験器具は、もともと杉原さんの「S-cable」のアイデアをもとに、阿部さんがLANコネクタ版を考案し、益田さんがさらに改良を加えたものだ。植田さんの提案では、ブレッドボードワイヤーを使用することで従来のハンダ付け作業を一部省略することができる。
植田さんは、例会当日の午前中に会場近くの秋葉原電気街を訪れて必要な部品を購入し、例会中にその場で製作を試みた。購入した主な部品は以下の通り。
秋月電子のLANコネクタDIP化キット(2個、単価200円)(左図)、ブレッドボードジャンパーワイヤー10本組(330円)(右図)、006P電池(200円)
マルツのブレッドボード用ワイヤー(300円)、006P用電池スナップ(220円)、LAN(RJ45)コネクタ(110円)(下段左図)
ただし、LANコネクタ単体ではブレッドボードワイヤーを直接挿入することができず、ピンヘッダーをハンダ付けする必要があることが判明した。
製作過程で以下のことが明らかになった。
・ハンダ付けは不可避であること
・LANコネクタにブレッドボードワイヤーを直接挿入するには、ピンヘッダーをハンダ付けする作業が必要になること
・ブレッドボードワイヤーを使用することで、製作の一部を簡略化できること
製作コストについてはハンダ付けを行う場合の製作コストは、LANコネクタDIP化キット(400円) + ジャンパー(300円) + 電池スナップ(200円)
=合計900円/セットとなる。一方、ハンダ付け済み製品をAmazonで購入する場合は、合計1500円/セットのコストがかかる。生徒実験用に10セット製作する場合、要ハンダ付けでは原価9,000円、ハンダ付け済み(組み立ては必要)では原価15,000円になる計算だ。原価率を50%として商品価格を算出すると、要ハンダ付けでは18,000円、ハンダ付け済みでは30,000円となる。
植田さんは、この金額を教員が個人的に支払うことは非現実的で、学校の予算で消耗品として購入する流れに乗せることが必要だと考えている。
理科ペーパークラフト 市原さんの発表
市原さんが3〜4年前にネットサーフィンをしていて見つけた上皿てんびんのペーパークラフト がある。このペーパークラフトの作者は、他にも「電流計」やら「フレミング左手の法則の左手」など、他所ではなかなか見られないペーパークラフトを作られている方で、実際に動くところがなかなかおもしろい。市原さんは紹介しているブログをブックマークしていた。久しぶりにブックマークを見てみたら、別のページ( https://tsc-rika.sakura.ne.jp/pc/ )にまとめられており、一覧性が上がっていたので紹介した。
どうやらTSC(Tokyo Science Create)東京創造理科同人( https://tsc-rika.sakura.ne.jp/ )という研究会で活動されている方のようで、2025/1/11(土)15:00~ナリカで例会を行うようだ。
実物だとわかりにくい部分がペーパークラフトにすることで理解できる、ということもあるかもしれない。授業での活用方法などを考えても面白そうだ。
物理教育に必要なこと 越さんの発表
マスコミよりSNSなどの情報を頼りにする最近のアメリカや日本の世相に不安を持った越さんは、「物理・科学教育に求められていること」というテーマで発表した。情報過多の時代、かねてから科教協で謳われている「自然科学を全ての国民に」ということが、増々大切になってきた。
「科学はクリティカルシンキングcritical thinking(批判的思考、常識を疑え!) 」が基本であることから、常に「なんで?」、「本当か?」と、問う姿勢を引き出すようなちょっと意外な小実験のリスト、グループワーク、論理パズル(Newtonライト)(左図)
などを紹介しながら、最近の雑感を含め、科学教育、物理教育の大切さと責任を、改めて感じる、と越さんはまとめた。
また、越さんは勤務校が協力した、現在上映中の映画「はたらく細胞」(右図)についても紹介した。今まで見たこともない世界観、映像表現で、見終わった後、体を構成している37兆個ほどの細胞が協力してガンバって生命維持していてくれることに思わず感謝したくなった、という感想を持ったとのこと。
私の素朴概念~重心の誤用~ 峯岸さんの発表
峯岸さんは高校生時代、「物体の重心は力のモーメントから求まる」という概念を獲得した後、運動量が保存されている系の運動を考えるときは重心から見た運動を考えるとよい、という考え方を学習したとき、力のモーメントなんて考えていないのに、なぜ急に「重心」という言葉が出てきたのだろうか、という違和感を覚えたという。
峯岸さんは、
・重心は「力のモーメントから導かれる重力の中心」のことで、質量中心は「運動方程式から導かれる(慣性)質量の中心」のこと
・なので運動量が保存される系の運動を考える際に考えるべきは、「重心からみた運動」ではなく「質量中心から見た運動」と言うべき
・一様重力場では重心座標を示す式の分母分子の重力場の項がキャンセルされるから、たまたま重心座標と質量中心の座標が一致するだけのこと
ということを説明してくれた。例会参加者からは、「一様重力場でないところの重心はなんの意味ももたない座標なのだから、そもそも重心を定義してよいのか」「一様重力場での質量中心を求める方法として、力のモーメントによる導出方法をとっているのであって、重心を求めようとしているわけではない」という意見があった。
二次会 末広町駅前「中華料理 リンハウス」にて
17名が参加してカンパーイ!2024年の例会納め、忘年会だ。例会本体には対面で38名、オンラインで6名の参加と盛況だった。毎年のことだがナリカ例会は参加者が多い。今回は若い人たちの参加が目立った。発表内容も新鮮で新たな時代を感じた。喜ばしいことである。
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