例会速報 2002/02/13 県立青少年センター


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YPC例会のもようを写真構成で速報します。写真で紹介できない発表内容もありますので、詳しくは来月上旬発行のYPCニュースで。例会ごとに更新します。過去の例会のアルバムここ

「科学常識調査」某県立高校版 鈴木健夫さんの発表  
 去る1月25日の朝日新聞に載った科学常識調査を、高校生に試してみたという授業報告。10問全問正解者は3人いた。全体としては64%の正答率。日本人の大人で、51%だということだから、かなりいい成績だ。普通の高校生でも日本人の大人の平均以上の成績を取れるということは、理科教育の意義として成果を評価してもいいのでは、と思う。世代別に正答率などを分析すると、おもしろいデータが出てくるかもしれない。  


ケーブルの包装 黒柳さんの発表
 ビックパソコン館でプリンタ用の長さ5mのケーブルを購入したところ、写真のような銀色の袋にわざわさ包んだ後で、いつものレジ袋に2重包装してくれた。どうやら巻いてあるケーブルがコイルのようなはたらきをして、万引き防止センサーに感じてしまうらしい。だとすればいろいろ面白い実験も考えられるが、営業妨害になるといけないので、ここには書かないことにする。

おもちゃのアイデア募集 黒柳さんの紹介
 某大学生の卒業研究として持ちかけられた相談。「図のようなお皿の中でボールを転がすと位置(中心からの距離)によってテルミンのように音が連続的に変化するおもちゃを作りたいと考えているが、中の電気的(機械的)仕掛けはどのようにしたらいいか?」という問い合わせだ。名案のある人は黒柳さんにご連絡を。

スチールウールの燃焼 徳永眞由美さんの発表
 スチールウールを酸素中で燃やして、質量保存の法則を説明する実験は、ガラス器で行うとガラスを割ることがしばしばある。徳永さんは、たまたまもらった肉厚のアクリル管で写真のような装置を作って試してみた。アクリルが燃えるのではとの懸念もあったが、意外と燃えにくいようだ。割れることもない。装置全体の質量が大きいことや着火が不確実であることなどの改善案も議論された。  

「現代科学の電子年表」CD−ROM 山本の紹介
 東京電力が横浜市鶴見区に新たに開いた博物館「電気の史料館」が、開館記念として企画制作した標題のCD−ROMが例会出席者に配布された。YPCが一部資料提供している。Win&Mac両対応。
 科学の全分野に及ぶ、詳しい発明・発見年表で、資料画像・動画なども豊富に収録されている。立体的な年表のデザインもユニークである。高等学校「理科基礎」の教材として開発されているが、辞書的にも使えるスグレモノ。
 非売品につき、入手の問い合わせは直接「電気の史料館」へ。

物理系の事故事例 山本の発表
 1月に開かれた科学技術振興事業団の行う教員研修会で、理科実験の安全に関する事例研究を発表する機会があったので、例会の席でこれを再現した。物理分野では比較的最近新聞等でも取り上げられた、(1)PETボトル、(2)レーザー、(3)感電、の3つの事故事例を取り上げた。事故の多くは、現象を正しく理解することと、量的な見積もりを怠らないことにより防げる。
 下はPETボトルに関する資料の一部。PETボトルは下のような4種に大別されるが、製造業者が想定している耐圧・耐熱性は、一般の理科実験で期待されているものよりかなり低いことに注目すべきである。目的外使用物への過信や、無理解が事故に結びつく。
 発表に使用したPowerPointの資料はここ

超伝導ビデオ 車田さんの紹介
 車田さんが紹介してくれたのは、Institut fur Festkoerper-und Werkstofforschung Dresden が制作した高温超伝導体によるマイスナー効果のデモビデオ。クレーン効果により、磁石の下につり下がって動く超伝導体や、宙に浮いたまま、しかもレールから脱線せずに走る機関車の模型などの映像が、わかりやすく興味深く示される。ムービーはインターネット上に公開されている。URLはhttp://www.ifw-dresden.de/eindex.htm

 一方、下右の写真はアムステルダムの University of Nijmegen High Field Magnet Laboratory が公開しているムービー。10テスラの超強磁場の中で宙に浮く、生きたカエル。体内の水の「反磁性」により、空中浮遊している。衝撃的な映像だ。他にも宙に浮くイチゴやトマトの映像があった。URLはhttp://www-hfml.sci.kun.nl/levitate.html



ダイコンサインカーブ 工藤さんの発表
 数学の講師をしている工藤さんは、授業で正弦曲線の解説をするときに、ダイコンのカツラむきを披露する。まずダイコンの円柱を斜め45°に切断し、円柱の側面に沿って薄く皮をむくように包丁を入れる。
 

 むいた皮を広げると、ご覧の通りサインカーブが現れる。右は、そのわけを「絵解き」してみせる工藤さん。この技を使うには、まず包丁さばきを練習しなければならない。



星の折り紙 工藤さんの発表
 洋紙の縦横比は1:√2である。星形の頂角36°のタンジェントは√2の逆数に近い。そこで、洋紙の長い方を3%弱切り縮めて、対角線に沿って折ると、星形の頂角が作れ、星の折り紙ができる。
 

ミニバランス・回転バランス即売会 平松さんの頒布会
 「一人はみんなのために」はYPCの活動スローガンである(本当か?)。百円ショップ「ダイソー」で発売されて、以前の例会でも話題になっている「ミニバランス」(二重コイルによるフィードバックで永久運動)や「回転バランス」(磁石同士の反発力で浮いて回転する)を、平松さんが大量購入してきて原価販売してくれた。近くにダイソーがない人は争うようにして買いあさった。だって、百円なんだもん。

レインボーツリー 山本の発表
 秋葉原のジャンク屋で安かったため大量購入した「12V用麦球」の使い道を考えたあげく、5個直列接続して直接商用100Vの電源につなぐようにした。コードを束ねて塩ビ管にさしこみ、取っ手のようにしてみた。ただそれだけの簡単な照明装置だが、「虹スクリーン」の前にかざすと、シャボン玉のような立体虹がそれぞれの点光源を囲んで浮かび上がる。虹スクリーンからの距離に応じてシャボン玉の大きさが変わるので、より立体感が増す。
 もちろん普通の麦球や、マグライト用電球でもよいのだが、ポイントはフィラメントが切れる寸前ぐらいまで電流を流して、色温度を上げることだ。そうすることで、緑や青まで色がそろい、美しい立体虹となる。

サーモリライト 渡辺さんの発表
 現在、JRのスイカやポイントカードに使われている何度でも書き換え可能なリライトカード。急熱、急冷で色を発色させ、ゆっくりの過熱、冷却でもとにもどせる。この反応を何度でも繰り返せるため(300〜500回)ICカードやラベルなどの書き換えが必要な場面で使用されている。現在は青色だが、将来的には赤、黒の発色が可能になるという。面白い素材だ。詳細な情報は三菱製紙株式会社のサーモリライトのホームページhttp://www.e-mpm.com/rewrite/jp-top.htmlへ。

手軽で安価なpHの実験 山本の発表
 化学のpHの単元における導入生徒実験の実践報告。ポッカレモン、炭酸飲料、灰汁、トイレ洗剤など、身近な溶液によるpH測定、慶應の平松さんが開発した「あやむらさき芋スナックを用いて酸アルカリを調べる」実験などを組み合わせ、さらにSEPUPの連続希釈実験の手法を取り入れた。
 ダイソーの文具売り場にある「使いすてパレット」と、保健室放出品の検尿容器を使用した微量実験で、手軽・安い・環境にやさしい、の3点を追求してみた。
 詳しい報告と資料は天神の研究室http://www2.hamajima.co.jp/~tenjin/labo.htmへ。  

二次会 桜木町駅前「あじかぐら」にて
 今回は会場の都合で少し遅い時間だったが、交通至便の桜木町駅前だったので、13名が参加。今回は女性の発表者が多かったなあ。次は初会場の電機大だぞ。次の印刷作業はどこで?今年の異動予定は?などなどさまざまな話題に花が咲き、終電近くまで語り合った。お疲れさま。


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