例会速報 2002/05/22 慶應義塾高校


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YPC例会のもようを写真構成で速報します。写真で紹介できない発表内容もありますので、詳しくは来月上旬発行のYPCニュースで。例会ごとに更新します。過去の例会のアルバムここ

光の三原色 車田さんの紹介  
 春休みにガリレオ工房の主催でMeSci(日本科学未来館)で行われた実験の紹介である。3色のLEDをボタン電池に接続して点灯し、別々のプラコップに入れる。赤の光が強いので、下から順に赤コップ、白い紙コップ、緑コップ、青コップの順で重ねていく。赤コップの外側は光が漏れないように黒紙でおおい、一番上に半透明のプラコップをさかさに伏せてかぶせる。
 


 3つの光が適度に混じると、上にかぶせたコップは白色に近い色に見える。右はコップから取り出したLEDで白紙に直接光を当てているところ。色の数を変えたり、距離を加減して光量を調節すると、さまざまな色が作り出せる。
 

渦電流 車田さんの発表
 2月に喜多さん車田さんが富山のワンダーランドに行ったときに作った実験器具。普通のアルミパイプとアルミインゴットに同じ径の穴をあけたものとで、ネオジム磁石の落下時間を比べてみる。穴の径は22o、ネオジム磁石は径20o。短い距離だが速度の違いがはっきりわかる。肉厚の方が電気抵抗が小さい分だけ大きな電流が流れ、落下速度が遅くなるのだ。
 

落下中の重さは? 喜多さんの発表
 上の関連実験である。浮くように管の中を降下中のネオジム磁石の重さはどうなっているのだろう。パイプごとはかりの上に乗せて、重さの変化を観察してみる。管にふれていないにも関わらず、管内を落下中のネオジム磁石の重さも加わった値が示される。 

ダイソーの室内花火 山本の発表
 百円ショップダイソーのパーティグッズで4色の「室内花火」が発売された。炎色反応を使った固形燃料のキャンドルだ。赤、黄、緑、白があり、それぞれシュウ酸リチウム、炭素鉄粉、硫酸銅、硝酸バリウムが使われている。後日、ヨウ素酸カリウムの紫もあることがわかった。燃料はメタルアルデヒドと表示がある。きれいなことはきれいだが、一回百円の使い切りはちと高い、と評判は芳しくなかった。
 

カラフルフレーム・オイルキャンドル 関さんの発表
 炎色反応ならこちらがおすすめだよと、関さんが見せてくれたのは、東急ハンズ新宿店で購入したという、COLORFUL FLAME OIL CANDLEというアルコールランプのようなもの。主原料の表示には、グリセリン、エタノール、植物油、塩化物とある。点火、消火を繰り返すことができ、ふたをして持ち運べるので¥580の価値はある。 

一円玉はなぜ浮かぶ? 山本の発表
 一円玉が水に浮くのは常識?アルミは水より2.7倍も重いのになぜ?
「そりゃあ、水の表面張力で支えられてるからだよ。」・・・

 表面張力という意味不明の言葉にだまされて、それでわかった気になっていないかな?

 一円玉は軽いから浮くのかというと、厚さが1mmのアルミ板なら、ご覧のようにずいぶん大きく重くても楽に浮くことがわかる。このぐらい大きくなると、表面張力を外周に沿って積分した力では、重さを支えきれないことが、ちょっと数値を当たってみればわかる。

 かなりの熟練を要するが、厚さが2mmのアルミ板でも下のように何とか浮かせることができる。右の板は322gもの質量がある。どうやら面積は浮く浮かないに無関係のようだ。厚みと密度が支配的、ということになれば答は圧力だろう。

 


 厚さ2mmのアルミ板が浮いているところを真横から拡大して見たところだ。水面の形に注目してほしい。水面が上に凸な曲面を作っている。この曲率によってラプラス圧という圧力が表面張力のはたらきで生じ、それぞれの深さで水圧とつりあう。言うなれば水の壁が水の浸入を防いでいるのだ。アルミ板の重量を支えているのはあくまでも板の上下にはたらく大気圧と水圧の差にもとづく力である。これは浮力と呼んでよい。表面張力は浸水防止という大事な役割を果たしてはいるが、アルミをつり上げているわけではなかったのだ。

 詳しく知りたい人はPDFファイル「一円玉はなぜ浮かぶ」(98KB)をダウンロードしてお読みいただきたい。

JSTデジタルコンテンツとシンポジウム 水上さんの紹介  
 JSTの水上さんのセクションでは、次世代のIT機器を活用した理科授業のために、教室でリアルタイムダウンロードして使うデジタルコンテンツの開発を進めている。コンペで選ばれた教材の展示とシンポジウムが下記の要領で開かれる。参加者には、気に入った教材3点のCD−ROMが無料で配布されるという。ぜひゲットしたい。

「JST IT科学技術・理科教育シンポジウム」−先進的科学技術・理科教育用デジタル教材の開発・提供−
  2002年6月22日(土) 日本科学未来館 http//www.miraikan.jst.go.jp/

10:00〜10:10 文部科学省 基盤政策課 土屋課長による挨拶
10:10〜10:40 安西委員長による基調講演「日本のITと教育について」
10:40〜12:40 平成13年度開発 推奨8コンテンツ プレゼン
12:40〜13:40 昼食
13:40〜15:10 ポスターセッション デモ ベストコンテンツ投票
15:10〜16:20 成果報告 各先生
16:20〜16:30 ベストコンテンツ表彰

原子力体験セミナー神奈川コース 後藤さんの紹介  
 放振協の後藤さんは、7月6日(土)にひばりが丘高校で行われる、原子力体験セミナー・神奈川コースの募集について紹介してくれた。対象は神奈川県内の高校教諭およびこれに準ずる教育関係者とのこと。

 詳しい募集要項と申込用紙はhttp://homepage1.nifty.com/tenjin/atom/にも掲載してある。

質問書方式のまとめ(物理編) 鈴木さんの発表  
 鈴木さんが授業の一環として行っている「質問書方式」による昨年の物理の授業のまとめを公開してくれた。詳しくは鈴木さん自身のWebページ
 http://homepage2.nifty.com/suzukitakeo/siryou2/qa2b01.htm
をご覧いただきたい。

 昨年は、この質問に対応するのが非常に大変で、膨大な時間を費やしていたが、今年は一部の手続きを合理化した。具体的には、プリントに書かれた生徒の質問のうち、その場で簡単に答えられるものはすぐに赤ペンで書き込むことにし、調べなければわからないものや他の生徒に紹介したいもののみ「回答プリント」で印刷配布することで、時間的な負担軽減をはかったとのこと。

物理がわかる 鈴木さんの紹介  
 朝日新聞社から「アエラムック『物理がわかる。』」(定価¥1200)という本が出版された。物理の入門書という形式の本だが、前半3分の1ほどは、高校教員などによる実験を元にした原理の解説が並び、後半は先端の研究者による最先端の話題となっている。

 ガリレオ工房の滝川さんがかなり編集に関わっており、鈴木さん自身も「超能力・超常現象を科学する」という記事を載せている。大きめの書店でないと店頭にないかもしれないが、ぜひ手元におきたい一冊だ。

ICテレカ解体 車田さんの発表
 スイカに続き第2弾。ICテレカを剥がしてみた。中にはスイカと同様、アンテナとなるコイルがプリントされている。端の方にある黒い部分がIC部だ。使用開始時に角を折り取るのはなぜだろう。プリントパターンの一部を切り取って回路を切断するようになっている。ここをオープンにすることで回路が生きるしくみなのかもしれない。
 

ミラクルフルーツ 渡辺さんの紹介
 食べると酸っぱいものを甘くしてしまう不思議な実、ウワサのミラクルフルーツの実物を渡辺さんが持ってきてくれた。小指の先ほどの赤い実である。レモンなどが酸っぱくなくなっておいしく食べられるという。酸味を感じる味覚神経に選択的にはたらいてブロックしてしまうらしい。10分ぐらいなめると効果が現れ、1時間ぐらい持続するという。時間がなくて、実際に味わうことができなかったのが実に残念!
 購入先は(有)ペスカトーレ(神奈川県三浦郡葉山町一色2444−7、電話0468−76−1255)で、学校セットとして実50個、苗・種5、資料付きで¥10000が用意されている。ただし、育てるのは極めて難しいとか。
 

二次会 日吉駅前浜銀通り「龍行酒家」にて
 二次会には20名が参加。いつものお店で、中国人の店員さんも「あの変なやつらがまた来たわい。」という顔で迎えてくれる。飲み食いしながら、折り紙は折るわ、スターリングエンジンはとりだすわ、例会で時間切れとなったネタが引きも切らず登場するのだから、店員さんが呆れるのも無理はない。

 変人扱いされても楽しければいいのだ。カンパーイ!


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