例会速報 2002/08/30 鎌倉学園中・高等学校


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元素誕生の謎にせまる 山本の紹介
 写真のようなビデオを理化学研究所が制作し、希望の教育機関(高校、大学)に無料配布している。内容は大変充実しているが、高校生にはちょっと難しいという印象だ。


地球大紀行DVD 山本の紹介
 あのNHK特集の名番組「地球大紀行」のDVD版が発売された。発売元はNHKソフトウエア。DVD6枚組で\28200とお値段は少々割高感があるが、各巻にその後の15年の学術的発展などを収録した特別編集の付録「特典映像」20分がついていて、すぐれた番組内容にさらに付加価値をつけている。
 LDが絶版になって久しく、理科総合や地学の教材として復刻が待望されていたものである。


検証!ペットボトル破裂 山本の紹介
 2002年8月26日にテレビ朝日の報道番組「スーパーJチャンネル」の「まさかの社会学」のコーナーで、PETボトルの破裂が取り上げられた。
 8月13日に神戸市西区で起きたドライアイス入りPETボトルによる傷害事件を受けた検証番組だ。左はカメラがとらえた内圧で変形しふくらんだPETボトル。この一瞬後にボトルは破裂し、破片は10m以上飛散した。机に穴があいた例もあった。PETボトル加圧実験の危険性をあらためて考えさせる番組だった。

北大の低温科学研究所見学記 喜多さんの発表
 喜多さんたちは、APEJの大会で北海道を訪れた際、北大の低温科学研究所を見学した。−50℃の部屋に南極の氷が50cm単位で保存されている。この氷から過去の大気の様子を知ることができる。氷を薄くスライスしたものを偏向板の間に入れて見ると、非常にきれいな色が観察できます。右図はつららの一例である。
 


原爆平和資料館の新展示から 喜多さんの発表
 広島の原爆平和資料館の新しい展示の一つ、「全身に受ける放射線の量と急性障害の症状」の説明に、JCO東海事業所で起きた事故でなくなられたお二人が受けた放射線量の記述がなされていた。数値はmSv。

 なお、この数値については、鈴木亨氏が物理教育通信100号で疑念を呈している。


11日間世界一周 鈴木亮太郎さんの発表
 この夏休み中、鈴木さんはご覧のようなコースとスケジュールで駆け足の世界一周旅行をしてきた。地球の自転をまる一周追い抜いたことになる。

 以下、各訪問先のトピックを物理的な話題に限ってかいつまんでご紹介しよう。


 アメリカ ニューメキシコ州 ロスアラモス BRADBURY SCIENCE MUSEUM

 広島型原爆 "Little Boy" と長崎型原爆 "Fat Man"が並べて展示してある。ここでは困難な戦争を終結させた新兵器として肯定・評価するスタンスで解説されているという。被爆国のわれわれとは感覚が根本から違うようだ。



 アメリカ マサチューセッツ州 ハーバード大学

 理工学部校舎内には、日本の高校生でも理解できそうな展示が各所にあった。大きな凸レンズや、薄膜の干渉(写真左)、1943年IBM製コンピュータ "Mark I"など。廊下などにさりげなく展示してあるという。

 アメリカ マサチューセッツ州 マサチューセッツ工科大学(MIT)博物館

 2001年の化学科の学生の持ち物の展示。どういう意図なのか不明だが、長期にわたって比較すればタイムカプセル的な面白さはある。

 アメリカ ワシントンDC スミソニアン航空宇宙博物館

 世界初のトランジスタ



 ドイツ レムシャイトレンネップ レントゲン博物館

 レントゲンの生家だった博物館の外観と亮太郎さん。

光通信実験キット 服部先生の発表
 創造理科工房の服部陽一先生が、光通信のオリジナル実験器具の数々を披露してくださった。発光ダイオードを送信機側に使い、受信器側はフォトトランジスタまたは同じ発光ダイオードを用いている。トランジスタ2段増幅やオペアンプ増幅を用いたものは、SN比もよく、写真のようにレンズを使うとかなりの距離離れても通信ができる。

 送信機、受信器共に性能を維持しながらいかに部品点数を減らすかが工夫されている。コストダウンと製作の手軽さを追求しつつ、完成度の高いキットに仕上がっていると思った。

 川崎市青少年科学館の「ワクワクドキドキ玉手箱」プロジェクトでは、これをベースに実験キットとコースウエアを制作しようとしている。YPCからも有志がこのプロジェクトに協力することになった。

 


楕円ビリヤード 金子さんの発表
 楕円はその二焦点と周上の任意の点を結ぶ二つの線分が、その点の接線に同じ角度で交わる。楕円形の鏡を作ると、一焦点から出た光は、必ず他方の焦点に集まる。この幾何学的性質をビリヤードで示すのが、楕円ビリヤードである。焦点上に2球を置くと、どの方向に突いても他の球にあたる。8月のKASTサイエンスフェスティバルのサイエンスライブのために突貫工事で作ったという。


放物線パット 金子さんの発表
 放物線の性質を示すデモ教材。対称軸に平行なレールに沿って球をころがすと、放物線の壁にあたってはね返った球は必ず焦点を通る。焦点に穴をあけておけば、パットを必ず沈めることができるのだ。これもKASTで展示された。


光の実験 車田さんの発表
 8月17・18日日本科学未来館で行った実験舞台「光は未来を拓く」の中の演示実験のひとつ。

 蛍光塗料の赤・緑・青(ハンズで各800円)を三角フラスコに入れ、水が白くなるくらい各色を溶かす。両サイドから内側に向かってブラックライトを当てると真っ暗なステージにきれいな3色の三角フラスコが浮かび上がる。赤と緑を同量混ぜて黄色(イエロー)、緑と青で水色(シアン)、赤と青で紫(マゼンタ)を作り、最後に全部混ぜると白になるという実験だ。

 夏休みに未来館を訪れた小学生以下の子どもたち対象の物語劇の中で、原始人類が火を手に入れてから現在の青色発光ダイオードに至るまでの過程を追いながら行われる、演示実験の一つである。

スピンウエーブ 谷口さんの発表
 谷口さんが見せてくれたのは「スピンウェーブ」(販売元 株式会社 早川玩具、埼玉県越谷市南荻島2141−1 TEL 048-978-5611)というコマのおもちゃ。日暮里の駄菓子屋問屋街にて400円もしくは300円で購入。
 コマの軸が磁石になっていて、鉄のレールに沿って回転しながら進む。かつてアメリカで流行ったおもちゃだが、これはボタン電池とLEDが仕込まれていて、レールとコマの両輪が接触するとレールを通して導通し、回転しながら光るという改良版。ヨーヨーのようにエネルギー保存則の例として教材になるかも。なにより安いのが魅力。
 


レントゲンとアインシュタイン 鈴木亮太郎さんのお土産
 すずりょうさんが11日間世界一周の道すがら集めてきてくれたお土産が配布された。アインシュタインのキーホルダー、ロスアラモスのペン、制限速度30万km/sのステッカー、レントゲン博物館のパンフ。


学研のネオジム磁石 佐藤さんのお土産
 佐藤さんのお土産は、学研の「科学」の付録教材のネオジム磁石のあまりもの。もちろんYPCではじゃんけんの争奪戦になる。

恐竜公園と古生物博物館 山本のお土産
 夏休みに訪れたカナダ・アルバータ州のロイヤル・ティレル古生物学博物館と州立恐竜公園のお土産。博物館の公式ガイドブック、アルバータ州やドラムヘラーの観光案内、恐竜の骨化石片、恐竜化石のクリーニング屑。


小型高圧電源と空気GM管 山本の紹介
 千葉の三門正吾先生が開発された放射線検出器「空気GM管」の追試を行った。円筒は印刷機のマスターロール芯、中心電極はリード線の銅芯線、検出窓はサランラップだ。中心電極と紙筒の間の放電を、そばに置いたラジオで検出する。
 電源にYPC特製「小型高圧電源」を用いると、高耐圧コンデンサー(これが意外と入手しにくい)を使わなくても実験が可能だ。厚紙を可変抵抗器として用いて陽極電圧を調整する。いずれも三門先生から教わったノウハウだが、例会の席ではなぜかうまくいかなかった。予備実験でも、事後の追試でも同じ装置でちゃんとうまくいくのだが、失敗の原因はよくわからない。


ビデオでの授業研究 鈴木健夫さんの発表
 鈴木さんは校内で「授業を模索する会」を組織し、お互いの授業を公開しあい、ビデオにまで撮って詳細に研究・討論している。今回も、その実践報告があった。

 ビデオで自分の授業を振り返ってみると、生徒がせっかく興味を示していたのに、授業者がそれをつかみそこねて、結局生徒が興味をふくらませることができなかったケースなどが発見できるという。討論では、発問後2分間は待つべきだとの意見も出たそうだ。授業者にとって2分間の空白はつらいが、考えている生徒にとってはあっという間の時間なのだ。

 聞いていて、いろいろ考えさせられる発表だった。


ストーンブリッジ 岩波さんの写真販売 
 喜多さんや車田さんの取り組みですっかりYPCネタとして定着したアーチ型ブリッジの原点とも言えるオブジェがこれだ。長野県の観光地、寝覚ノ床の近くにある木曽路公園に展示されている。

 岩波さんは10年前の記事に収録した写真を、あらためてスキャナで取り込み、デジタルデータにしてわけてくれた。

二次会 大船駅前「甘太郎」にて
 14名が参加して、お疲れさま。夏休みも終わり、また学校が始まるね。ガンバロー。

 徳永さんが持ち込んだ不思議なオルゴールは、次回例会までに構造を解明するという宿題になった。


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