例会速報 2002/09/21 県立柿生西高等学校


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PENTAKIS 徳永さんの発表
 スイスの幾何学アーティスト、カスパー・シュワーベが発明した万華鏡。「ペンタキス」とよばれる三角錐をのぞきこむと、二つの球面に囲まれた多面体が中心に見える。これはヨハネス・ケプラーが発見した多面体で「ケプラー・スター」とよばれているという。幻想的な世界だ。日本橋丸善で購入、3800円。上野駅や町田の「スタディ・ルーム」でも売っている。
  参考文献『ガジェットブックス メビウスの卵2 光の万華鏡 ペンタキス』(株)エクスプランテ、2001年11月)


万華鏡コレクション 徳永さんの発表
 徳永さんは21種の万華鏡を持っている。そのうちの何点かを例会で披露してくれた。上のペンタキスもその一つだが、一口に万華鏡といっても、いろいろな種類がある。

 万華鏡の元祖は英国のブリュースターだそうだ。例の「ブリュースター角」のブリュースターである。知らなかった(^^)。

 左は2ミラーシステム。30度の角度であわせた2枚の鏡からなる。鏡像は一周して閉じた世界ができる。
 右はおなじみの、正三角柱3ミラーシステム。上の写真の右端の青い円筒だ。特に珍しくはないが、チップを詰め替えられるようになっているのが教育的である。


 菱形に組んだ4ミラーシステムの鏡像。夢のような光景にうっとり見入ってしまう。動画でお見せできないのが残念。
 


 サークルミラーシステム、すなわちミラーシートを丸めた円筒をのぞく。無限鏡像の万華鏡とはまたちがった味わいがある。


 万華鏡オルゴール。万華鏡そのものは正三角柱3ミラーシステムでふつうのものだが、鏡筒が顕微鏡のように固定してあり、オルゴールのメロディと共に、ビーズを載せたステージが回転する。日本橋高島屋の文房具売り場で4800円。

 下はその鏡像。宝石の山を見ているようだ。これも動画でお見せできないのが残念。



 


ミラクルオルゴール 徳永さんの発表
 APEJの札幌大会の翌日、小樽オルゴール堂で買ったという。ちょっと変わったオルゴール。お値段は2200円。

 静止画ではわかりにくいが、「星に願いを」の曲にあわせ、ミラーステージがゆっくり回転すると、上に乗っている大小の八角柱がコマのように高速でスピンしながらステージの中心のまわりを「公転」する。

 前回の例会の二次会で徳永さんが披露してくれたものだが、その場ではしくみが解明できず「宿題」となったもの。

 まず、ばらさずに外側から調べてみよう。磁界観察シートをミラーステージの上からあててみる。中心のまわりを回転する二つの磁石と、中心に固定された磁石があるらしいことがわかる。

 これだけでどうしてあのスピンが生まれるのだろう。

 底面のネジをはずして中をのぞいてみる。オルゴール本体の上に回転するフェライト磁石がある。構造は思ったより単純だった。中心の磁石は回転する二つの磁石と極性が逆である。どうやらこれが回転する八角柱の底部にある磁石と反発するところに秘密がありそうだ。八角柱は回転磁石に引かれながら動くが、中心磁石に退けられるため、引力が常に八角柱の回転軸からそれたところに作用する。これが回転のモーメントを生むらしい。
 


 時計皿とありあわせのリング磁石と粘土でモデルを作って確かめてみる。中心からずれたところを引いていくと確かにスピンしながらついてくる。

 なかなか充実した探求活動だった。


CD−ROMケースで見る光の干渉縞 平野さんの発表
 左はおなじみのニュートンリング。平面ガラスの上に、長焦点の平凸レンズを凸面を下にして重ねたときに、すきまの空気層の上下で反射した光が光路差を生じ、干渉して縞模様を作る。高校物理の光の単元ではおなじみの教材だ。


 これと同じ現象を身近なところで見ることがある。左の写真は透明なCDケース。CDを固定する側の板が二重になっているものだと、ご覧のように干渉によって生じる鮮やかな虹色を見ることができる。生徒に例示するにはこういう身近なものがよいと平野さんは言う。CD-R用の簡易型ケースは二重になっていないものが多く、この観察には使えない。


逆さ試験管のコツ? 鈴木さんの発表
 以前、YPCでも話題になり、KASTサイエンスフェスティバルなどでも採用したことのある「逆さ試験管」の実験のコツをつかんだという鈴木さんの発表。ふつうの工作用紙でふたをしてずらすだけで、17mmの試験管でも「楽に」できるようになる、というのだが・・・。みんなでやってみてもどうもうまくいかない。当の鈴木さんも・・・「あれ、おかしいな。」

 原因はなお不明。百発百中のコツをぜひつかみたいものだ。


減圧タンクとラップ破り 鈴木さんの発表
 注射器真空ポンプを使った真空実験の工夫である。鈴木さんは真空容器を改良した。ラップ破りの実験にも兼用できるようにするためには、容器の側面にチューブが取り付けられる方がよい。そこで100円ショップのシール容器(ポリカーボネート製)の側面に穴をあけ、ビニルチューブを差し込んで固定する。穴をチューブ径よりわずかに小さくしておくと、接着剤は不要である。こんな簡単な工作で、風船やマシマロををふくらませたり、ラップを割ったり、減圧沸騰をさせたりの実験が同じ容器でできる。なお、理研ラップよりも旭化成のサランラップの方が割れたときの音がはるかに大きいことがわかった。
 


メートルスズラン 平野さんの発表
 生徒は1メートルという長さの感覚を正しくつかんでいるだろうか。平野さんは学年はじめの力学の授業でその検証を行う。生徒一人一人にスズランテープを「自分が1メートルだと思う長さ」に切り取らせる。もちろん物差しは使ってはいけない。そのあと写真のように隣同士で長さを比較しながらソーティングし、長さ順に並ばせる。平均して長めに見積もる傾向があり、中央の人はたいてい1メートルより長いという。

 平野さんの授業の例では、最大52cm長く見積もった例と、最小39cm短く見積もった例があり、生徒の感覚としての1メートルがかなりの幅をもっていることがわかる。したがって、長さ、速さといった量もかなりあやふやな量としてとらえている可能性がある。ちなみに、例会参加者の場合、真値からの偏差はずっと小さかった。さすが。

 平野さんはさらに二学期の授業でもう一度同じ実験を行い、傾向の変化を見る。授業に前向きに取り組んでいる者は偏差が修正改善される傾向があるという。手軽だが意義深い取り組みだ。


今年の地球の大きさ 山本の発表
 ハンディGPSナビゲータ(ポケナビ)で、エラトステネスの方法により地球の大きさを測定する方法は、1998年に発表し以後毎年授業実践しているが、このほどポケナビをより高性能のものにしたところ、飛躍的に精度が向上し、測定時間も短縮された。1時間の授業時間で結果を出すことができる。

 使用した機器はMAGELLAN社のGPS310で、南北200mの基線長で測定した結果は、地球全周40374kmだった。誤差1%ということになる。


二次会 柿生駅前「鳥宏」にて
 11名が参加して、カンパーイ。今日は会場が遠いせいか出席者が少なかったけど、その分ゆっくりと話題を深められてためになった。




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