例会速報 2002/10/19 筑波大附属高等学校
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コズミックボヤージュ(オリジナル字幕スーパー版?) 小沢さんの発表
Cosmic VoyageはIMAX版のPowers of Tenで、プラネタリウムドームで上映するために作られた映画である。2年前に湘南台文化センターでも上映された。授業で生徒にも見せたいが、残念ながら日本語版は販売されていない。英語版ならば最近になって、DVDも発売され、しかもhttp://www.amazon.co.jpで\2486で簡単に購入できる。しかし、リージョンコードのハードルがあり、日本のふつうのプレイヤーでは再生できない。でもパソコンのDVDならば再生できるものも多い。
そこで小沢さんは、同じ画面の別ウィンドウに日本語字幕を同時に表示させながら再生させるというワザで、自作「日本語版」を完成させた。
Ecriture(http://www.vector.co.jp/soft/win95/art/se078657.html)というフリーソフトを使う。ウィンドウの枠を隠すとまるで本物のようだ。もちろん、日本語字幕のテキストファイルは自分で作成しなければならない。小沢さんの作品は売り物になるできばえ。みんなで感心しながら鑑賞した。
磁力線の演示 淺井さんの紹介
科学の祭典全国大会で仕入れた実験法。奈良県の松山吉秀さんのアイデア。
ビニタイ(袋の口を縛るのに使う鉄線入りビニルひも)を短く切って、磁石の上から落とすと、ビニタイが磁力線に沿って立ち上がる。磁極付近の磁力線のようすを美しくわかりやすく示すことができる。
究極のクリップモーター 淺井さんの発表
淺井さん自身が科学の祭典に出展したクリップモーターの作り方を実演してくれた。回転子のコイルは、左の写真のように割り箸を二膳合わせて巻き付けて作る。まん中の溝がコイルを束ねるときに都合がいい。ちょっとした工夫だが、子供達に達成感を味わわせるにはこうしたノウハウの積み上げで成功率を高めることがポイントだ。電池ホルダを兼ねたシャーシは厚紙で作る。配線はアルミテープだ。
回転子を取り付けたところ。電池の両極をはさむようにつかむと、コイルが勢いよく回り出す。上記の方法で回転子がバランスよく作られていれば、小さな磁石でもよく回る。
固定コイル型モーター 淺井さんの発表
こちらはコイルを固定し、磁石が回転する簡単モーター。磁石を支える軸が半分被覆をはがしたエナメル線で、半回転ごとに電流が断続する。芯出しを慎重に行う必要があるが、回転子に質量があるので、非常に力強く回る。
ここまで来れば、コイルとコイルの組み合わせでモーターを作ることもできる。難易度はぐっとアップするが面白い。
2mの逆さコップ 越さんの発表
越さんは遠路はるばる2mもある塩ビ管を担いで登場。これでダイナミックに「逆さコップ」を演じるのだという。
授業では、まず、普通のコップでやって見せ、次に「大気圧って、けっこうすごいんだよ!」ということを示すために「長ーいコップでやったらどうかな?」と、2メートルでやって見せる。
ウリは、教室内で、1人でやって見せられること(重さも3[kg]くらい)と、紙を取り除いたあと、水が「
ドボ ドボ ドボ ッ」と出てきて、こんなに「たくさんの水を、空気の圧力が支えていたんだよ」ということが実感しやすいこと。
末端処理は下右の写真の通り。塩ビ管用のキャップをはめこんである。気密性はこれで十分だという。
タンバリンの摩擦奏法 越さんの発表
友人の小学校の先生に教わったというタンバリンの演奏法。
親指を少し濡らし、タンバリンの太鼓面(?)の円周に沿って、指先を立てて押し付けながら(親指の爪側に向かって)ずらしていく。すると、タンバリンのまわりの鈴(?)の部分が細かく振るえ、「シャカシャカシャカ」っと鳴る。ワイングラスのふちを指でこするとによって、グラスに振動を与える「グラスハープ」の原理と同じだ。
参加者もそれぞれチャレンジしたが、なかなか上手には鳴らない。演奏技術はやはり練習のたまもの?原理は理解できてもすぐにできるというのもではなさそう。
プラネタエアードーム 越さんの発表
県立柏高校の天文部の発表を参考に、野田高校の文化祭で天文科学部の発表のために作った直径4メートル、高さ3メートル、定員15名ほどのプラネタリウムのドームである。
白い生地を縫い合わせ、半球形を作り、扇風機3〜4台で中に風を送り込み、内圧を高めてドーム全体を自立させている。部員の女の子が一生懸命縫って完成させたそうだ。
投影機は備品としてあった五島光学の投影機を使ったが、来年は自作を目指したいとのこと。
ジェラート回転台 徳永さんの発表
エスキモーのアイスクリーム「イタリアンジェラート」のカップを利用して、静電気実験用の回転台を作った。
用意するものは、イタリアンジェラートのカップ(6個入り500円) 1個、お裁縫用の針 1本、割り箸 1本、紙袋入りのストロー 2本、セロテープ。
箸の先に針をとりつけ、カップを逆さにのせる。このときジェラードカップの底面に刻印してあるリサイクル表示の「プラ」の文字の「フ」と「°」の間に針を固定するのがコツ。フィルムケースで行うときのように、針先を受ける穴をあける加工がいらない。
フィルムケースよりも軽くて、カップの入口の方が大きいため、回転しても安定がよい。底面積が大きいので、ストローも載せやすい。
ラップフィルムの剥離帯電性能調査 徳永さんの発表
徳永さんは、電界の観察実験を計画中に、「最近剥離帯電がうまく行かない」という話を聞いて、ラップによる違いがあるかどうかを徹底検証した。ラップを11種類も買い集め、ポカリスェットの空き缶(大塚製薬、アルミ缶、340ml)をそれぞれのラップで包んでははがし、缶の帯電量をクーロンメーターで測定した。
実験1(ラップの種類による帯電量の違い)
「サランラップ」(旭化成、原材料・・・ポリ塩化ビニリデン)が+7nCで最も帯電した。次は、「NEW クレラップ」(呉羽化学、成分は「サランラップ」と同じ)と「ザ・ラップ」(ダイソー、原材料・・・ポリエチレン)で、+4nC。他のラップは+1〜3nCだった。
実験2(缶の塗装による帯電量の違い)
「サランラップ」と他の空き缶との組合せで実験した。「あがり」(Asahi、スチール缶、270g) +2nC、「スプライト」(日本コカコーラ社、アルミ缶、275ml) +5nC
缶の塗装や表面積も関係してくるので、缶とフィルムラップの組合せで、帯電量にかなりの差が出るようだ。実験用のラップは「サランラップ」に限る・・・と言う声もあった。徳永さんはさらに調査・実験をすすめ、YPCニュース等に投稿の予定。続報に期待しよう。
帯電を変える魔法のペン 鈴木亨さんの発表
紙袋でこすって帯電したストローの電荷を回転台を使って判定してみる。同種の電荷は当然反発するが、一方のストローをフェルトペン「マッキー」で着色すると、同じく紙でこすったときの電荷が反転し、回転台のストローを引きつけるようになる。塗料の成分が関係しているのだろう。鈴木さんの続報に期待しよう。
1mスズランテープ電話・1mエナメル線電話 大谷さんの発表
紙コップ糸電話の糸部分を、1mのスズランテープにしたのが「1mスズランテープ電話」、1mのエナメル線にしたのが「1mエナメル線電話」だ。糸電話の糸部を短くして、生徒が隣同士で、立ち歩かずに実験できるようにしたもの。すぐたくさん作れて、全員に体験させられる。できるだけ、わかりやすく簡単にし、中学生が自宅でも実験できるようにすることがポイントだという。
糸の部分をわざと音がひずむ材質にしたのが工夫である。音にひずみがないと、近くで実験した場合、直接空気中を伝わった音と区別できない。エナメル線はエコーがかかるのが面白い。実験時、話す側も聞く側も、コップの底に指をあてさせ、音の振動を体感させるとよい。すずらんテープは、ピンと張らない聞こえないが、エナメル線はピンと張らなくても聞こえるので1人でも遊べる。
たためる立体紙 益田さんの紹介
昨年の科学の祭典で仕入れてきたネタ。12枚の板を組み合わせてできている立方体が、たたむと正方形や十字などきれいな平面図形になる。
立方体は四角形が3つ、層を組む様に組まれている。こう組むことで立体を平面にできるということは、古代文明の時代からから分かっていたらしい。
材料は100円ショップのファイルから板を切りだし、はと目で止めた。 詳しいことは、http://www.oeco.co.jp/を参照のこと。
30枚組み合わせれば12面体ができるが、これを平面にたたむのは至難の業。当の益田さんもまだ会得していないとか。
グラフソフト「Function Veiw」 益田さんの紹介
文字式を書きこむことで、簡単なものから複雑なものまでグラフ化できるフリーソフト。データをグラフにするのではないので、実験の解析には不向きであるが、グラフモデルを作成するには非常に簡単で良いソフトである。Mathematicaなどよりお手軽でおすすめ。
数学で主に用いられていたため、パラメータの割り振りに制限があるが、グラフを動かすことも簡単にできる。式も微分形、積分形で書くことができ、さらに、マクロも組めるため、フラクタルのような複雑な作図も可能である。デモ用のサンプルが豊富でそれだけでも十分楽しめるソフトである。
益田さんは、このソフトで「定常波」のモデルを作成し授業に用いている。この他にも、スリットの干渉、回折格子の干渉、うなり等も検討中。
詳しい解説とダウンロード先のURLは下記の通り。
http://hp.vector.co.jp/authors/VA017172/
3Dカード 渡辺さんの発表
3D模様が現れるシートが市販されているが、これは名刺などを印刷して3D効果が出せる自作用キット。製品名は「3Dカード」、東急ハンズ渋谷店で葉書サイズ4セット組780円。
なかには、レンズシートと色紙が入っている。これを重ねるとレンズシートが、色紙の小さな色の点を拡大した模様が出てきます。シートを動かしてみるとレンズのはたらきとモアレ効果で模様が変化する。
レンズシート同士を重ねても面白い。ずらしていくとご覧のようにモアレパターンが連続的に変化し、スケールを変える。
溶ける紙 渡辺さんの発表
これも渡辺さんがハンズで入手してきた不思議な素材。一見ただの紙で字を書いたり印刷したりできるが、水につけるとご覧の通りたちまち溶けてしまう。繊維にほぐれるという感じではなく、どろりと糊のように溶けてしまう感じだ。何でできているのだろう。
電子レンジるつぼ 渡辺さんの発表
電子レンジに入れて、6分程度加熱すると内部の温度を800℃まで上げることができる電磁レンジ専用の炉である。SiCという発熱体(右の写真の黒い部分)が電子レンジのマイクロ波をうけて発熱する。数分で高温が得られるので、食塩の融解などの実験に使用できそうだ。ただし、電子レンジ内が高温になる点や発熱したるつぼを扱う際に注意が必要。
製品名:電子レンジるつぼ 価格7,100円 東急ハンズなどで入手できる。
太陽熱蒸気発電のアイデア 淺井さんの発表
実物はまだできあがっていないが、淺井さんが太陽蒸気発電機の構想を説明してくれた。ミラーフィルムを使って大型の凹面鏡を作り、太陽光を集光して空き缶で作ったヘロンの蒸気タービンを回す。凹面鏡の大型化が課題である。
フックのミクログラフィアのCD-ROM 右近さんの発表
Micrographiaは1664年にロバート・フックによって出版された彼自身の発明による顕微鏡による観察画集である。有名なノミの絵をはじめとする細密画が多数収録されている。本の実物は非常に貴重なものだが、そのコピー版CD−ROMは、http://www.octavo.com で入手することができる。オリジナルな形で同書が一般に公開されるのはこれがはじめてだという。
高等学校教育研究大会ご案内 小沢さんの紹介
12月7日に小沢さんが筑波大学附属高校で公開授業を行うことになった。次々回例会の当日で会場も東京なので、みんなで見に行こうということになった。
詳細はhttp://www.geocities.jp/ozawander/kenkyu.htmをご覧いただきたい。
バイオテクノロジー教育用キット 渡辺さんの紹介
文科省が学校での遺伝子組み換え実験を許可したことを受けて、理科教材としての実験キットがバイオ・ラッドラボラトリーズから発売された。このBiotechnology
Explorerのセミナーが東京と大阪で開催される。参加費は無料。
東京会場:損保会館(JRお茶の水5分)11/9(土)14:00〜
大阪会場:オーバルホール(JR大阪8分)11/23(土)14:00〜
問い合わせはバイオ・ラッド・ラボラトリーズ・ライフサイエンス事業部まで。
二次会 護国寺駅前「はなの舞」にて
13名が参加して、カンパーイ。今回も、初参加の方が何人もいた。新しい仲間が増えることはうれしいことだ。ぜひ気軽にのぞいてみてほしい。山梨や千葉から通ってくる気合の入った「常連」さんもいる。YPCパワーだぜ!!
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