¥19800で地球の大きさを測る  (PDF版144KB)

湘南台高等学校・山本明利

 先ごろ、「カーナビで地球の大きさを測る」と題して、地学分野へのGPS利用をご紹介したおり、より安価で手軽な計測器としてポケットナビゲータの可能性を示唆しておきました。今回は、国内では最も安価に入手できる機種と思われるMAGELLAN社のGPS PIONEER(水道橋のさかいや4号店で\19800税別)による測定結果をご紹介します。

 測定は、学校のグラウンドでわずか100mの基線長で行ないました。100mの巻尺を南北にのばしておいて、その上を歩きながら緯度・経度を測定します。経度は一定のはずですが、実際には±0.03分程度のゆらぎがあります。この程度が民生用GPSの精度ということです。

 緯度の測定結果は下の表、図のとおりです。北緯35度23分を越える部分のみを分単位で処理しています。距離0mに近いところで測定値が大きくばらつくのは、北側のグラウンドなので南に隣接する校舎の影響を受けたものと推定されます。GPSは視界が開けていないと十分な数の衛星を捕捉できず、測位精度が落ちます。

GPS PIONEER による測定結果(98/12/09 湘南台高校グラウンド)

北緯35度23分を越える小数部(分)
距離(m) 1回目 2回目 3回目 4回目 平均
0 0.73 0.74 0.71 0.70 0.720
25 0.74 0.75 0.72 0.70 0.728
50 0.75 0.76 0.74 0.73 0.745
75 0.76 0.77 0.76 0.75 0.760
100 0.78 0.78 0.78 0.77 0.778
差(100m) 0.05 0.04 0.07 0.07 0.058


 一応、機械的に平均を求め、グラフを外挿して求めた100m当たりの緯度差0.059分から地球の全周を求めると3.7×104kmとなりました。「エラトステネスなみ」の精度です。

 2往復4回の測定の所要時間は30分以内、グラウンドで測定ができますから、計算も含めて授業時間内におさまりそうです。

【YPCニュースNo.130 ('99/01/08) 掲載】 (PDF版144KB)

【参考文献】
理科教室 98年11・12月号「GPSを理科授業で利用する」山本明利
物理教育通信 No.93(1998)「カーナビで地球の大きさを測る」山本明利


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