例会速報 2012/01/15 神奈川学園中学校・高等学校


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授業研究:波の干渉の授業展開 黒瀬さんの発表
 理系の高校2年生を対象とした物理Ⅰの波動分野の授業報告が行われた。2波源の水波の干渉を重視し、それを利用するかたちで、音や光の干渉も説明するという授業展開である。
 


 参加者からは、粗密波である音波の干渉を水波と同様に説明するのは危険ではないかという意見が出る一方、結果的には水波と同様に「腹線」上で音は大きくなるので、自分もこのように説明しており、問題はないと思う、という意見もあった。そもそも疎密波の場合、二つの波源の「同位相」の定義についても議論になった。
 また、参加者から『理科教室』の2011年8月号に音波の定常波についての記事があることが紹介された。

ハンディECOライト 宮田さんの代理発表
 宮田さんが大和(だいわ)科学教材研究所のホームページで見つけ、紹介してくれた小学校向け教材。手回し発電機、1Fのコンデンサー、LED、豆電球、リード線、などがついて、学校納品価格560円とは激安だ。黄色いボタンを押さないと回路が閉じない仕組みや、コンデンサーやLEDの極性を逆接しないような構造上の工夫もされていてよくできている。小学校6年生用の教材だが、中学、高校のエネルギー変換やコンデンサーの充放電の実験にも十分使えそうだ。
 

 大和科学のホームページのinfoさんにメールしたところ、一個でも分けてもらえたが、送料が840円かかったそうだ。関東圏からの注文は、藤江教材社(電話:03-3998-5208、FAX:03-3998-5229)にしてほしいとのこと。
 

エコカイロ 山本の発表
 酢酸ナトリウム含水塩の過飽和再結晶を利用した化学懐炉。YPCではおなじみのアイテム。昔は1個500円もしたものだが、ケーヨーデイツーのレジ脇に105円で積んであったので衝動買いした。例会の席では100円で頒布。動画(AVIファイル17MB)はここ

チェーンなしリングキャッチャー 水野さんの発表
 1月8日・9日に行われた「第13回理科カリキュラムを考える会 全国大会」の1つのブースでチェーンを使わないリングキャッチャーをやっていた。演示しておられた先生はチェーンの代わりにゴム紐を使って演示されていた。ゴム紐でできるなら普通の糸でもできるのではないかと思い、ちょっと太めの糸でやってみたところ、難なくできた。リングの落とし方に注意すればチェーンでなくてもできるのだ。
 

 その後水野さんは、細いミシン糸でもリングキャッチャーをやってみたところ、やはり成功したそうだ。この実験のポイントはチェーンなどのロープ側にあるのではなく、リングの落とし方次第だということがわかった。スロー動画(5.1MB)はここ

空気砲曲げ 車田さんの紹介
 昨年12月10日に全国科学ボランティア研究大会に参加したとき松村浩一(山口県防府市桑山中学)さんが見せてくれた演示実験の追試を行った。「空気砲」とは、段ボールに円形の穴を開け、中に線香の煙をを充満させてから箱の側面を叩くと、リング状の煙の輪が打ち出されるもの。流体力学では「渦輪 vortex ring」と呼ばれる現象である。科学イベントではおなじみの実験だ。
 

 打ち出された渦輪は何もしなければ直進するが、大きな板で横から空気ごと押すようにすると渦輪が押した方向に向きを変えて進む。コツがつかめれば、左右のみならず上下にも自在に曲げることができる。例会の会場では渦輪が観察しにくく、なかなかねらいが定められなかったが、科学ボランティア研究大会で撮影された下の写真では、滝川先生が空気砲を発射し、松村さんが渦輪を右に90度曲げている。

水波の屈折 水上さんの発表
 水波投影装置(ナリカFRT-3000N)を用いて以下の様子を毎秒300コマで撮影した。左は水上さんの授業プリント。プリント作業と動画観察がリンクして授業が展開する。
(写真右)直線波の屈折(深→浅):(1)波が生じてから屈折していく様子がわかる。
 

直線波の屈折(深→浅):(2)入射角を3通りに変化。((屈折率sini/sinr)=(一定)の確認)。(3)黒板貼り付け式スクリーンに投影し、波面と射線を描いてから映像を消すと教科書にある屈折の図になる(写真右)。(4)書き込み済みの授業プリントは今月のYPCニュースに掲載されている。
 

直線波の屈折(浅→深):この映像は珍しい。深くなると波の速さが増すので屈折角のほうが大きくなる。屈折角が90度になるときの入射角が臨界角である。臨界角が近づくと屈折波は見にくくなり、代わって反射波が目立つようになる。
 

二次元の波の干渉 水上さんの発表
 これも同じ道具立てで、波が生じてから干渉模様が出来上がっていく様子がわかる。「節線」と「腹線」が生じることを伝えるために撮影した。先月の例会で紹介済みの「2つの円形波の干渉」に続く教材である。
(写真左)2つの直線波(「く」の字形の波源が作る波)の干渉。(写真右)一直線上に並んだ7つの円形波による干渉(回折格子のモデルにも使える)。


高速度カメラロガーなど 市原さんの紹介
 市原さんが勤務する横浜サイエンスフロンティア高校では明伸工機という会社から、ハイスピードカメラをデモ機として借りた。音や電圧などのグラフも同時に、映像上に表示できる。教材に活用するにはどうすればいいか、実際使ってみてレポートをして欲しいとのこと。YPCの皆様のアイディアを求む。
 

 同社のサーモグラフィ装置のカタログもある。こちらもデータロガーになっていて、計測データのグラフが画面にオーバーラップ表示できる。二次元の温度分布画像と電圧・電流や圧力などの相関が同一画面上でビジュアルに観察できる。

月食の不思議? 市原さんの発表
 2011年12月10日の皆既月食観測後、生徒から市原さんに質問があった。「冬至が近いので、太陽の高度は30度くらいなのに、月の高度は80度くらいある。月食の時、満月の月と地球と太陽は一直線になるはずなのに、この角度の差はなぜか?」
 ちょっと不思議な気がするが、ちゃんと絵を描けばわかる。このとき太陽と月は赤経が12時違い、赤緯が同じ絶対値で符号が逆になっている。それにしてもスルドイ質問である。「その生徒はほめてあげるべきだ。」とは例会参加者の声。

1万円以下の線量計 竹内さんの紹介
 エステー化学が販売している家庭用放射線測定器、「エアカウンター」。最低限の機能と使い勝手を融合させた安価な放射線測定器である。
 同社のプレスリリースによれば、半導体センサーとしてシリコンフォトダイオードを使用、時間あたりのγ線カウント数をCs137基準の換算式によってμSv/h単位に換算して表示している。測定範囲は0.05μSv/h~9.99μSv/h。感度は高くなく、環境放射線レベルをかろうじてカバーしている程度だが、空間線量が比較的高い地域を想定し、放射性セシウム汚染を前提として、市民の関心を高めるための製品といえそうだ。食品検査には使えない。発売直後から人気で、生産が追いつかない状況という。
 定価は15000円(税別)とされているが、Amazon価格はすでに5800円となっており大変リーズナブルである。小冊子「正しく覚えよう!放射線の基礎知識」もセットになっている。

 なお同等の性能でスリムなスティック型の「エアカウンターS」も最近発売となった。プレスリリースは下記。
http://www.st-c.co.jp/topics/2011/000412.html

二次会 横浜駅前「うず潮屋」にて
 15人が参加してカンパーイ!12人のはずだったのにいつのまにか増えている。例会にはいなかった人も・・・(^^;)。毎回幹事泣かせのわがまま二次会だ。お店の方、無理言ってすみませんでした。


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