例会速報 99/11/10 慶応義塾高校


前の月の例会例会アルバム目次次の月の例会


YPCホームページ(本館)へすたのページ(別館)へ天神のページ(別館)へ次回例会のご案内 


今回は天神欠席のため、鈴木健夫さんの取材とまとめによる速報です。このページは鈴木さんのサイトから転載しています。

横振動を縦振動に 喜多さんの発表

 慶応高校にある、中村理科の「弦定常波実験器」はスピーカーの振動で弦を振動させますが、構造上、横振動しか与えられません。喜多さんは常々、縦振動ができないか思案してきましたが、簡単に実現できることを発見しました。鉛筆1本振動源の上に添えるだけでよいのです。横振動で腹4つの定常波になっているときに、鉛筆を一本添えると、見事に腹2つの定常波になります。

空気実験の教材 学研・佐藤さんの発表

 学研「科学」1年生の新入生号の付録のリークです。モーターとファンで上向きに空気を出し、その上に発泡スチロールの球や様々なものを浮かべます。球は1つだけでなく、うまく乗せれば2個もOK。球は、発泡率の高いものを探してくると、軽いものを使うことができます。球だけでなく、ペットボトルの底や、球におもりを2つつけてやじろべえのようにしたりすることもできます。これが、小学校1年生向きとは、うらやましい!! もちろん、小1にも楽しめるし、中1でも高1でも十分楽しめます。噴き出し口にシャボン液を持ってくれば、シャボン玉製造機に早変わり(右写真)。

 

 


鉛のレプリカ作り
 鈴木健夫の発表

 今年夏の科教協山梨大会での「ナイター」で東北科教協の方々が紹介していたものです。紙粘土を用いて鉛のレプリカを作るという工夫です。鉛は、カセットコンロなどの火で、簡単に溶かすことができます。器には、100円ショップの「おたま」を使います。例会ではカセットコンロが調達できなかったので、ハンドバーナーを用いました。紙粘土は、値段の高い「高級品」は、軽めの紙で作られていて、鉛の温度で燃えてしまいます。ポイントは、安物の紙粘土を使うという点です。店頭で手に持ってみると、安物は重いということがわかります。その、重い紙粘土を購入し、アンモナイトや三葉虫などの化石の型をとります。大きめで形がはっきりしているものの方がよいですが、あまり大きいと鉛を大量に使うことになるので、難しいところです。鉛は、釣り道具屋などで釣り用のおもりを購入します。

化石以外にも、ミッキーマウスやポケモンなどで型をとってレプリカを作ることもできます。

ミニコイン選別器 喜多さんの紹介

 コインほどの大きさのネオジム磁石をインターネットの「二六製作所」で購入しました。1個410円。ちなみにこの磁石は、2個重ねてつけておいて机の上に立てると、地磁気のためにすぐに南北をさします。(コインの転がる方向は、東西ということになりますか。)これだけでも見せる価値あり!

今日の本題は、こちら。コイン選別器の原理をみようという演示装置です。定規2本の間に工作用紙を4枚(さらに微調整としてセロテープ数枚)をはさみ、角度をつけてスタンドに固定し、一番下のところに左右に磁石をつけます。そして上からコインを転がしていくと、コインの種類により落ちる場所が変わります。下には、紙コップを並べて、1円玉・10円玉・100円玉と分かれてはいることを見せます。ただし、定規の隙間の調節が意外に難しい。でも、装置は簡単。複雑でブラックボックスになっている今の様々な機器を、こうした簡単な作りの装置で見せることは、原理を裸にする上で、大変重要ですね。

「10円がほしい」 金子さんの発表

 大船工技の文化祭で、機械科の先生方が作った製品。5円玉を出すようにしているものは、既製品でありますが、こちらは10円玉。写真の下1/3ほどがあいていて、10円玉が通るようになっているのですが、ベアリングが邪魔をして、取り出すことができません。これを読んでいる方は、もちろん、どうやって10円玉を取り出すのか、知ってますよね。ベアリングを埋め込むところなど、かなり精密な技術が必要です。ちなみに、例会の場では、5個ほど金子さんが持ってきていて、熾烈な争奪戦が起きました。1個○百円。

 

 

 

 

自由落下 右近さんの発表

 ひもに何ヶ所かおもりをつけて落としていくと、音がある間隔でなります。このおもりの距離を、等間隔のものと1:4:9:…のものと2つ用意し、聞き比べるという実験です。まず、等間隔におもりをつけたものを落として聞くと、あまりに速い音でドラムをたたくような速さ。誰もが、「これは聞き分けられない」という感覚を持ちます。しかし、次の1:4:…のものを聞くと、こちらは明らかに音が等間隔。違うと言うことがはっきりわかります。

その場で、両方同時に落として聞けば、違いがさらにわかるのではないか?と言う指摘がありました。もちろん、音色を変えるために、片方はプラスチックバケツの底を使い、片方は金属板を使うことにします。さて、さっそく実行した結果は?  まったくだめ。1秒前後の音が2つ混ざると、何が何だかまったくわかりません。やはり、2つは別々に聞くしかありません。ちなみに、プラスチックバケツの音は、大きな音で聞き取りやすいことがわかりました。

 

 

 

 

 


偏光板新製品 喜多さんの紹介

 横浜の東急ハンズで見つけた、偏光シート。丸の中が同心円や放射状に偏光を切ってあったり、横線の中で偏光の角度が徐々に変わっていて、別な偏光板を当てて回転させると、模様が進行していくように見えたりします。これ自体が教材になるというよりは、何かの教材を作るときに使えるのでは? 電流の向きや何かの進行方向をOHPで見せるときに使えそうです。ただし、お値段はやや高い。



 

空気エンジン 喜多さんの発表

 11月21日のNHK教育TV「やってみよう何でも実験」に、喜多さんが再び出演します。テーマは「空気エンジン」。

まず、おもちゃで「空気で動く飛行機」が紹介されました。インターネットで\3980、東急ハンズでは\4980という製品。空気を押し込めてから飛行機をはずし、プロペラを回すと、プロペラについている弁の働きでプロペラが強力に回転します。うまく飛ばせば、100mは行くとか。

これと同じ原理を自作で実現したのが、「いきいき物理わくわく実験」の「空気エンジン」です。喜多さんはそれを作ることから始めました。写真左は1号機製作の苦労を語る喜多さん。ピストンにアクリルパイプと乾電池を使っているのが、身近な素材ですばらしい(写真右)。こんなもので空気が閉じ込められるとは、不思議です。


もちろん、それにとどまらず、それを動力に動く車にまで発展します。車輪は、お子さんの自転車を(まだ廃車ではないのに)転用したそうです。お子さんには新品を買ってあげるという約束で。一輪車の車輪はペダルが固定されていて、利用できないとのこと。こちらのピストンには、空気を排気する小穴を開けてあります。空気タンクは、ビールの空き缶。

さっそく、廊下で運転です。人が乗ることはできませんが、まるで機関車のような音を立てて、力強く走りました。

 

続・滅法3原色 小河原さんの発表

 前回例会で紹介された、シアン、マゼンタ、イエローの3原色を重ねるときれいな写真になるという演示。それにもっと適した写真を見つけて、Webに載せました(→こちら)。著作権フリーなので、ぜひご利用を。

屈折率の近い2物体 小河原さんの発表

 パイレックスガラス製の300mlのビーカーにサラダ油を入れ、同じパイレックスの100mlビーカーにサラダ油を入れたものを浮かべます。それを外から見ると、小さいビーカーのガラス面がほとんど見えません。ただし、これは屈折の効果により小さいビーカーの外面がかなり左右に広がって見えていて、見えにくい角度になっているということも影響しているようです。サラダ油は、たまたま生徒が持ってきたものを使ったということです。サラダ油の屈折率も、メーカーによって違うかもしれません。いろいろやってみる必要はありそうです。


その他、屈折率の例に使うものとして、「植物用吸水ポリマー」(ダイクマ等の園芸コーナーでプヨプヨポリマーとして売っている)が紹介されました。水に1晩つけておくと、吸水して、1000倍近くなります。すると屈折率はほとんど水と同じ。それを水の中に入れると、ほとんど境界が見えず、何かがはいっているようには見えません。(写真は、実際に水の中に「ポリマー」が入っています。)

 

 

二次会 日吉の広東料理「龍行酒家」にて

 例会には、19名、二次会には14名が参加しました。安くておいしい店! 今宵も大いに盛り上がりました。


前の月の例会例会アルバム目次次の月の例会


YPCホームページ(本館)へすたのページ(別館)へ天神のページ(別館)へ次回例会のご案内