2008年7月12日(土)の例会の記録の第3ページです


 三角波の話 (山本さん  

 6月23日、福島県いわき市の巻き網漁船「第58寿和(すわ)丸」(135トン、乗組員20人)が千葉県犬吠埼(いぬぼうさき)沖約350キロの太平洋上で転覆し、4人が死亡、13人が行方不明になった事故がありました。 転覆原因として、多方向の波がぶつかり、突発的に波が高くなる「三角波」を指摘する声もあるようです。

 波の学習で学ぶ重ねあわせが、実際の海の自然現象として起こっている事を伝えたいと新聞記事をまとめて、授業プリントをつくりました。

 あわせて、事故が起こるのは自然現象だけでなく、「燃料高騰を背景として、停泊中にエンジンを切っていたことが事故につながったとの見方もある。」というように、社会的経済的な問題も含んでいることを考えさせたいとの事でした。


  Xジャイロ (児島さん 
 市販されている「Xジャイロランチャー」(2500円)を自作してみました。
 棒型とピストル型があります。

 市販品もそうですが、ゴムをねじるようにして発射台部分を引きます。このため、弾(輪の形)が回転しながら押し出されるため、安定な軌道で飛んでいきます。
 
 自作して的当て競争などしたら子供たちは喜ぶでしょうね。
 
 発射台部分と弾(輪の形)
 大きい弾は市販品の弾、奥の赤い輪が自作の弾

 音モーター (山岡さん  
 
 超音波モーターの原理を理解できるようなモデルは作れないかと考えて作りました。
 スピーカーの音で振動板が振動します。毛の方向をそろえたマジックテープを振動板の表面に貼り、その上に回転体をのせます。(回転体の棒は、回転していることを見やすくするためのものです)
 スピーカーに低周波(約100Hz以下)の信号を送ると、回転体が回りだします。
 (これは振動モーターの一種といえます)

 送る信号の周波数をあげていくと、もう回転しなくなります。信号に振動板がついていけなくなるからでしょう。

 超音波モーターは、振動板が振動するのではなく、振動板にあたるものが進行波をつたえ、その波で回転体をまわしているようです。
 とすれば、このモーターは原理を説明するモデルになっているとはいいがたい・・・。
 音モーターの第2弾。
 写真の装置です。音の振動でペットボトルが振動し、特に固有振動の振動数で大きく振動すると思われます。
 その振動数のとき、中を通した紙筒がゆっくり回転します。
 これも振動モーターの一種ですね。

 ペーパーキャットコンテスト (奥村さん  

 物づくりは、考えることも大切だがまずやってみることが大切である。ということで、奥村さんが行っているペーパーキャット作りについて説明してくれました。
 各人に、以下のルールだけを示し自由に作らせます。 

 ペーパーキャットコンテスト
 生き物の動きを真似する研究ぱ、救助ロボットなど様々な分野で進んでいる。今回は、紙で猫のように空中で反転して響地するものを開発する。
 【ルール】
 紙の猫は足をつけること。足の形はどんな形でもよい。足を床につけて全体が立つ形であること。1メートルの高さから逆立ち状態で落とし、空中で反転して(何回転かしてもよい)足を下に着地することができればよい。
 ただし、起きあがりこぼしのように、床でバウンドしてから立つのはダメ。蓄地するとき足部が最初に床に着くこと。
     
 1メートルの高さから三回落とし、何回成功するかを記録する。三回とも成功した猫が複数あった場合は、高さを低くしていく。班から一つ代表を選んでコンテストを行い、記録を取る。

 右の写真は奥村さんも驚いた名作です。ちゃんと猫の形をしていて、なお空中でひらりと反転して着地します。準優勝でした。手が動き出すと生徒たちは豊かなアイデアを生み出すようです。
 優勝したのは、左右の作品のどちらかです。
 どちらだと思いますか?

 一度挑戦してみてください。

 超音波のうなり (田中さん  

 コウモリの声を聞くのに「超音波のうなり」はよく使われています。装置をバットディテクターといい、原理は、コウモリの声を超音波マイクで受けて、それに40000Hz〜39000Hzの電気信号を重ねることによって、電気信号としての「うなり」をつくり、スピーカーを鳴らします。
 バットディテクターは電気信号の「うなり」をスピーカーに出して、聞く装置です。では、直接2つの超音波をスピーカーからだして耳で聞いたら、「うなり」が可聴音のように聞こえるのだろうかという疑問を持ちました。
そこで、つぎのような実験装置で実験してみました。

    

 田中さん自作の発振器です。発振周波数を入力できます。
 片方を40kHzに固定。他方を可変にします。現在39kHz。

 直接耳で聞いても確認できますが、大勢で聞くためにマイクで音をひろって増幅します。
 超音波スピーカー50個。真実を知るための出費を惜しんではならないですね。
 
 うなりは、差と和となるので、和の方は約2つの振動数の平均となり、差の方(振幅変化の振動数)は、2つの振動数の差の振動数となります。超音波の場合、和の方は可聴音でないため聞こえないので、差の振動数だけが聞こえることになります。

            超音波スピーカーとマイク

 やってみると確かに差の1kHzの音が聞こえます。
 差を440Hzにして音さと比べると共鳴します。

 
 可聴音同士では差の音が聞こえているのだろうか、という疑問の声がでました。
 たとえば400Hzと500Hzでは、100Hzのうなり音がきこえているのでしょうか。
 やってみると、原音に邪魔されるのかはっきりしません。
 
 超音波も段々見えるようになってきましたね。いや、見えるじゃなくて聞こえるか・・・・・
 

 ヘリで籠の鳥問題 (林さん  
 安価なラジコンヘリが販売されているので、これを利用して「籠の鳥問題」の実験装置を作りました。

 「籠の鳥問題」とは、重さを量っている鳥籠の中で鳥が飛んだら重さはどうなるか、というものです。

 変化量も大きいのではっきりわかります。

 マグネチックテルミン (林さん  

 先進科学塾で製作した、磁束の変化を利用したマグネチックテルミンです。
 
 テルミンは、人体と金属との間の静電容量の変化を利用して発振回路の振動数を変えるものが普通ですが、これは2つのフェライト棒に巻かれたコイルのインダクタンスの変化を利用して音を出します。

 藤田先生のアイデアだそうです。できてみればコロンブスの卵ですが、頭が柔軟でないと見つけられないですね。
空き缶を近づけたり、リングを通したりで、音が変わります。 


 鉄やアルミの板を近づけると音が変わりますが、近づけ方で振動数に違いが出ます。
 磁束の変化が耳で確認できます。
 電磁気分野の教材としても使えますね

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