MP3音源による気柱共鳴の実験

神奈川県立柏陽高等学校 山本明利

 教科書的な気柱共鳴の実験では音源には音叉がよく使われます。しかし、音叉の音は共鳴点を探している間に減衰していくので、初学者は測定に手間取ります。そこで、持続的な音源としてオーディオカセットに録音した正弦波信号を使った時代もありました。この方法は当時、生徒手持ちの身近なアイテム「ウォークマン」を音源として使えるという点ですぐれていました。準備する側は音源信号を録音したカセットテープを班の数だけ用意すればよかったのです。ヘッドホン端子に周波数カウンタを接続することで振動数も測定できました。その振動数と気柱共鳴で測定した波長と組み合わせて音速を計算し、波の基本式を検証することができます。
 その後、携帯音源は時代と共に変遷し、CDウォークマンからMDへと移り変わっていきます。YPC(横浜物理サークル)2006年1月例会では、フリーソフトWaveGene for Windowsで作成したトーン信号を、オーディオMDに落としてMDプレーヤーを気柱共鳴の実験の音源とする提案をしました。ところが、MDの寿命は意外と短く、このごろの若者はもはやMDを卒業して、MP3プレーヤーやiPodが全盛を迎えているようです。

 そこで、2006年3月例会では、WaveGene for Windowsで作成したwaveファイルをフリーソフト「午後のこーだ」でMP3化するという方法で、MP3バージョンを作って公開しました。

 MP3プレーヤーは写真のようにUSBフラッシュメモリーと同様のリムーバブルドライブとしてパソコンと簡単に接続できますから、実験室にMP3音源ファイルを蓄えたパソコンを一台置いて、そこから各班の生徒のMP3プレーヤにファイルを転送させればよいのです。こうすれば、生徒は音源を家庭に持ち帰って、自宅でも気柱共鳴の実験を行うことができます。宿題やレポートネタにすることも可能です。

 気柱共鳴実験装置を用いた実際の測定の様子(写真下)と、実測した結果(下表)を示します。オーディオテープ音源と異なり、再生音の振動数は正確なので、周波数カウンタを使って実測する必要はありません。その分、生徒実験は本質的な部分に集中して時間を配分することができ、いくつもの振動数で比較検証ができます。生徒実験では振動数を既知の値とし、気柱共鳴装置で第1共鳴点と第2共鳴点の位置を測定して波長を計算し、波の基本式から音速を求めました。また、開口端補正も計算しました。結果は表の通りで、音速も開口端補正も振動数によらず、極めてよい一致を示します。


 音源用MP3ファイルを下記のリンクからダウンロードできるようにしましたので、ご自由にお使いください。

個別ダウンロード用

 各リンク文字を右クリックして「対象をファイルに保存」を実行します。ファイル容量はそれぞれ2.8MBです。振動数をファイル名として、○○Hz.mp3というファイル名でダウンロードされます。ホワイトノイズ、ピンクノイズはあらゆる振動数成分を含むので、これを音源として気柱の長さを変えると、共鳴により選択される音程が変わるのが耳で確認できます。これがまさに管楽器の演奏の原理です。

50Hz 100Hz 110Hz 160Hz 200Hz 220Hz
250Hz 300Hz 315Hz 320Hz 340Hz 360Hz
380Hz 400Hz 420Hz 440Hz 460Hz 480Hz
500Hz 550Hz 600Hz 630Hz 660Hz 700Hz
800Hz 880Hz 900Hz 960Hz 1000Hz 1250Hz
1600Hz 1760Hz 2000Hz 2500Hz 3150Hz 4000Hz

ホワイトノイズ(white.mp3 2.8MB)

ピンクノイズ(pink.mp3 2.8MB)

まとめてダウンロード用

上記の38ファイルをまとめた書庫ファイル(mp3.lzh 49MBあります。展開にはLHAファイルの展開ツールが必要です。)

参考リンク

efu's Page
多機能 高精度 テスト信号発生ソフト WaveGene for Windows ダウンロードページ
高速リアルタイム スペクトラムアナライザー WaveSpectra for Windows ダウンロードページ

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