例会速報 2006/03/12 鎌倉学園中・高等学校


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授業研究:圧力・浮力で物理の基礎概念を 市江さんの発表
  中学理科1分野、圧力の授業報告を行った。面積、体積、力、質量、重さ、密度などの基本的な物理量の概念形成、および「単位〜あたりの〜」という物理的なものの見方、考え方に慣れることをねらいに、現行ではカットされている水圧、浮力を含め、学習単元の再構成を試みた。本校は中高一貫校であるので、増えた時間数は音の学習を高校にまわすことで調整している。

ワイングラスの音程 右近さんの発表
 ワイングラス口部を指で擦ると綺麗な音が鳴る。ご存知ベンジャミン・フランクリン考案のグラスハーモニカ(グラスハープ)である。グラス内部に水を注ぐと,気柱の共鳴とは異なって,音程は下がる。それでは水を入れたときと同じ線まで空のワイングラスを水槽の中に浸けると,グラス内部にそこまで水が満たされていた場合と比べて,その音程は下がるだろうか上がるだろうか。Am.J.Phys.73(11),2005の記事を検証してみた。
 

  結果はなかなか微妙である。上記記事には詳しい論考があるが、音程が水位にきわめて敏感なので、実験で検証するにはかなり精密な実験が必要だ。

大気圧体験装置 長嶋さんの発表
 「科学の鉄人」に出展した長嶋さんの意欲作、ボウリング球を大気圧で持ち上げる大型の実験装置である。大気圧で人を持ち上げようというのだ。
 本体のアクリルパイプは直径(内径)40cm、肉厚は5mm、高さは40cmくらい。ふたの部分は、5mmのゴムシートを貼った机の天板用木材で、中央に掃除機のノズルが入るくらいの穴をあけた。掃除機は、リサイクルショップにたまたまあった家庭用の物。特に強力タイプではない。
 ピストンの部分はDIYで購入した発泡ポリスチレンで、厚み50mmのものを2枚重ねてある。ロープは登山用のザイルなので強度は十分。下の台の部分は、市販のスチールラックである。

 スイッチが入って掃除機がうなりを上げると、ロープが緊張し、やがて座板が宙に浮いた。たかだか数十ヘクトパスカルの気圧差だが、面積を多くすれば、こうして体重63kgの大人を持ち上げることができる。大気圧おそるべし!

人生「息」に感ず 高橋さんの発表
 高橋さんは、手のひらに「ハーッ」の息を吹きかけた時に暖かく感じるのは何故か? 体温程度の空気が当たっただけにしては暖かくなりすぎはしないか? という疑問を持ち「息の中に含まれる水蒸気が凝縮して水になる時に「潜熱」ではないか、という仮説を立てていくつか実験をした。

 タオルに息を吹きかけて放射温度計で測ると40℃を越えることがあり、体温を越えていた。断熱材で作った少さな箱に布切れを入れて、息を吹きかけたところをデジタル温度計で測った場合は最高37℃程度。「潜熱」であるという証拠は得られなかったが、「体温」だけではないことは確信した。高杉さんから「布の繊維には、発熱作用(吸着熱)がある可能性があるので、この実験で「凝縮熱」であるとは決められないのではないか」とのコメントがあった。

 この話題は追求する価値がありそうだ。引き続き研究を続けていきたい。

米国のおもちゃ紹介 小河原さんの発表
 引越し荷物も、あと残り4箱となったそうで、今回も米国で買ったものを次々と紹介してくれた。下の写真は回すと加法混色で白く見えるカラー風車。
 


 アウトコインパズル25セントコイン版。日本でも100円玉や50円玉のバージョンがある。どうやって取り出すのかわかるかな?ヒントは「遠心力」。

 Wooden Percussion Cricket 。おなかを付属のバチでこすると、コロコロと乾いた音がしてコオロギの鳴き声のようだ。

 振動板にばねがついていて、ばねを伝わる反射波がエコーを作り出すエコーマイク。日本でも同じデザインの「ヤッホッホーン」という商品があった。百円ショップでも類似品を見たことがある。

 磁石が埋め込まれたスーパーボール。どうやって遊ぶのだろう。

 弾む粘土「スーパー・パテ」。日本でも「ハネンド」の商品名でかつて販売されていた。今もあるかな?

 回すと文字が見えるLEDアレー。ハンドルを持って右のように振り回す。

 ひっくり返すと「ミー」と鳴く円柱。おもりのピストンとその中に仕込まれたリード笛の仕掛けだ。これも、昔ながらの素朴なおもちゃで、日本でも縁日などでよく見かけたものだ。

 日本から注文できるものもあるそうなので、欲しいものがあれば小河原さんまで。

花子で板書 水上さんの発表
 水上さんは、「電流と磁気」の単元などで利用する「左手」や「右手」のように,すぐには板書できないが示せば生徒が納得するものは,描画ソフト「花子」を用いてその場で描いている。「右手」「左手」などの部品を事前に描いておき,ドラッグ&ドロップで必要な場所に置いていくだけだ。
 部品を作るのは少々大変だが,お互いに作品を交換し、データベース化することで,だれでも手軽に良い「教具」を入手できるようになる。水上さんのファイルは早速メンバーに公開された。
 なお、これらの見事な「手」の絵は、自分の手をデジカメで撮影し、その輪郭を花子上でなぞって描いたものだそうだ。


PCCPスチール缶 車田さんの発表
 PCCP(Pseude-Cylindrical Concave Polyhedral shell)は「疑似円筒凹多面体シェル」の略語。
以前YPC2000年2月例会(2/09 慶應義塾高校)で車田さんが紹介したダイヤカットデザインである。缶チューハイの「氷結」と同じデザインので、キリンの缶コーヒー「ファイア」シリーズの微糖だけがダイヤモンドカットになっているのを見かけたという報告である。
 他の缶コーヒーに比べてPCCPスチール缶のほうが握って荷重をかけると強度があることがわかる。下記URLにてダイヤカット缶の特徴が紹介されている。
http://www.kirin.co.jp/brands/hyoketsu/
 どちらもボトリング会社はキリンだが缶の製造は東洋製罐である。下記URLにてペーパークラフトも入手できる。
http://www.toyo-seikan.co.jp/recruit/tulc4_1.html

天文トイレットペーパー 車田さんの発表
 日本科学未来館のミュージーアムショップでこんなトイレットペーパーが販売されている。 このトイレットペーパーには、
1.分子雲
2.原始星
3.Tタウリ型星・原始惑星系円盤
4.主系列星+惑星系
5.赤色巨星
6.惑星状星雲
という6項目の挿絵と解説が印刷されている。使うとつい読み込んでしまうので、日々の反復学習により、確実に天文知識が定着する。使用しても色移りはしないとのこと。
 このトイレットペーパーは、Astronomical Toilet Paper、略してATP。ATPは天文学の普及を狙って製作されたトイレットペーパーで、天文学のいろいろな楽しみ方を提案していくネットワーク 『天文学とプラネタリウム』 (天プラ)のプロジェクトのひとつだ。詳しくは下記URLをご覧いただきたい。
http://www.tenpla.net/atp/

 

英語による物理教育 小河原さんの発表
 NHK高校物理講座にも出演していた、小河原さんの恩師の故石川孝夫東京理科大学教授は、昭和57年に「日本人の思考に適した高校物理の開発」という研究を発表されている。西洋人の思考を基にして作り出された物理学には、日本人の思考に合わない部分が含まれているのは当然だから、物理学を日本人の間に広めたいと思うのならば、日本人の思考に合うような物理学を作らなくてはならないという考えからである。
 小河原さんは、NY校で物理を英語で教えた経験から、この問題を体感したという。そして、ひとつの対応策として、理科教育にある程度英語を導入することの利点を主張し、3月4日付けの朝日新聞朝刊に投稿が掲載された。
 この問題に特効薬はないのかもしれないが、日本中の物理教員の知恵を結集し、「日本の高校生に親しまれる物理」を作りたいものである。

気柱共鳴の音源MP3バージョン 山本の発表
 1月例会では、フリーソフトWaveGene for Windowsで作成したトーン信号を、オーディオMDに落としてMDプレーヤーを気柱共鳴の実験の音源とする提案をした。ところが、このごろの若者はもはやMDは卒業しており、MP3プレーヤーやiPodが全盛だ。
 そこで、今回はWaveGene for Windowsで作成したwaveファイルをフリーソフト「午後のこーだ」でMP3化するという方法で、MP3バージョンを作った。
 MP3プレーヤーは写真のようにUSBフラッシュメモリーと同様のリムーバブルドライブとしてパソコンと簡単に接続できるから、実験室にMP3音源ファイルを蓄えたパソコンを一台置いて、そこから各班の生徒のMP3プレーヤにファイルを転送させればよいのである。こうすれば、生徒は音源を家庭に持ち帰って、自宅でも気柱共鳴の実験を行うことができる。宿題やレポートネタにすることも可能だ。

超常現象アンケート 鈴木さんの依頼
 鈴木さんはJAPAN SKEPTICS(超自然現象を科学的・批判的に究明する会)の会員である。3月の例会ということで、期末テスト後の最後の授業に利用していただきたいと、同会の教育分科委員会が実施しているアンケートを紹介した。超常現象に関する意識調査である。詳しくは、下記ホームページを参照してほしい。

http://www.k4.dion.ne.jp/~ypc.suta/jskeptics/jsindex.htm

ピタゴラスイッチ 山本の紹介
 ユニークな企画を次々とヒットさせて、今や飛ぶ鳥を落とす勢いの、慶應義塾大学 佐藤雅彦研究室が監修する、NHK教育の幼児番組「ピタゴラスイッチ」が密かな人気番組となっている。
 ふだんの何気ない暮らしの中にも、さまざまな不思議や構造や面白い考え方、法則が隠れている。番組では、こうした子どもにとっての「なるほど!」を取り上げ、幼児のまっさらの頭脳に、思考のアルゴリズムを構築しようとする。しかし、この番組を喜んでみているのは、中学生、高校生、そして母親たちなのだ。
 特に面白いのは身近な道具を使ったからくり「ピタゴラそうち」。佐藤研の学生が知恵を絞って考案しているのではなかろうか。実によくできている。百科おじさんが登場する、人形劇スタジオコーナーきょうのトピックも味わいがある。アルゴリズム体操・アルゴリズム行進はCDも売れていると聞く。
 ともかく一見に値する番組である。

番組紹介・放送案内: http://www.nhk.or.jp/youho/pitagora.html

二次会 「あじたろう」大船店にて
 16名が参加してカンパーイ!年度末の多忙をおして集まった参加者の多くが、こうして二次会にも出席する。二次会の席でも、3月末の「江ノ島・授業研究会」や、4月の「神奈川の理科教育を考える集い」の企画が話し合われる。ここ、神奈川から、明日の理科教育を発信しよう。


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