例会速報 2006/04/15 県立新城高校
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授業研究:電場と電気力線 小沢さんの発表
今回の授業研究では、電気力線の導入について、小沢さんが実験を交えて発表してくれた。小沢さんから授業を組み立てるときに、迷っていること、わからないことが問題提起され、みんなで討論した。
議論になったのは、反対向きの電場の合成において「電気力線の合成」という言い方をしてもよいのかどうか。この言い方は、たとえば静電遮蔽を簡略に説明するときに便利で、生徒も受け入れやすい。しかし、「電場の合成」ならばよいけれど、「電気力線の合成」という言い方は、物理用語の使い方としては適切ではないとの指摘があった。
この他にも、電気力線を教えるとき最も重要なことは何か、生徒はどの場面で電気力線の考え方を真に必要だと感じるか、ガウスの定理による定量化に至らない場合、電気力線の導入はそもそも必要かなどが話題になった。
等電位線・電気力線作図ワークシート 右近さんの発表
「3月のYPC授業研究会で,黒瀬さんが電気力線をテーマとした授業の報告をされた。これを受け,右近さんは実際に生徒が等電位面や力線を作図するようなワークシートを取り入れたら,さらによい授業になるだろうと思ってこの教材を作成した。ワークシートは数式処理ソフトMathematicaにより作図したそうだ。
等電位面は2個の同符号,あるいは異符号の電荷がある場合で作図する。単一点電荷の等電位線(同心円)を重ねて描き、それぞれの交点における電位の和または差を求めて、その値が等しい交点を結んでいけばよい。作図の原理は100年以上昔のマクスウェルの教科書「電気論の初歩」("An
Elementary Treatise on Eletricity",邦訳;竹内薫訳,シャムハトプレス,2006年)で与えられているものだ。また,電気力線は等電位線を垂直に横切るようにして線をつなげていくことにより作図する。
Dropper Popper 小河原さんの発表
この日、共同で購入した物理おもちゃが配布された。大気圧缶ホルダー、錯覚トランプ、すっとびボールなどが人気だった反面、このDropper Popperを購入したのは1人だけであった。唯一の購入者である喜多さんいわく「きっとみなさん使い方を知らないから注文しなかったのだろう。説明したほうがいい」ということだったそうで、小河原さんから使い方の紹介があった。
まず、このゴム製の半球殻物体を1 m以上のところから落下させても、せいぜい20
cm程度しか跳ね上がらない。次に、変形させて弾性エネルギーを蓄えた状態で落下させると、床に衝突したとき元の形状に戻り、その弾性エネルギーによって落下開始地点よりも高い位置に到達する(AVI動画はここ)。力学的エネルギーの教材として、使いみちがありそうだ。
予想価格は300円後半とのこと。近々、共同購入を受け付けるらしいので、欲しい人は小河原さんに申し込もう。
格安メロディーパイプ 小河原さんの発表
最近、小河原さんがエアコンを買ったとき、売り場にホースがあるのを見つけた。内部をさわってみたところ、内側にもひだがついていたので、これを買って回転させてみると、メロディーパイプのように音が出ることがわかった。1
m50円なので、長さや持つ位置などの条件を変えて、いろいろ実験できそうだ。
静電高圧ゼネコン 渡辺さんの発表
中村理科工業(株)は静電高圧発生器(バンデグラーフ)に代わるもっと手軽な起電器をコンセプトに、手回しで静電気の実験ができる新しい実験器を開発した。ハンドルを回すと塩ビの筒が回転し、フェルトでこすられて帯電する。これをコロナ集電極で取り出して出力する。発生電圧は約1万ボルトだそうだ。
フランクリンモーター、ムーアのモーター、金属集電球の放電実験、電気振り子の実験などさまざまな静電気の実験に利用できる。詳しくは中村理科の製品紹介ページ http://rika.com/topic/B10-1324.html へ。気になるお値段は13,800円。
リフター 市江さんの発表
市江さんは、科学クラブの生徒の熱意に負けて、昨年度の学年末からリフターの製作に取り掛かった。リフターとは上部電極に細い銅線、下部電極にアルミ箔を使った工作物に高電圧(推定2万〜3万ボルト)をかけると浮遊するというものである。
非常に熱心な生徒で、ネットでリフターに関する情報を収集し、いろいろなタイプのリフターを製作した。しかし、はじめはなかなかうまく行かず、ことごとく失敗に終わった。原因も電源の出力不足なのか、リフターの構造にあるのか見当を付けかねていた。そんな中、生徒が見つけたWebページ http://www.ando.jp/free1997/lifter/index2.html を参考に作ったものが、非常に軽量性に優れ、ついに浮遊させることに成功した。浮遊の原理は定かではないが、電気力線の集中する銅線付近で空気の気体分子等のイオン化がおこり、それが加速されて下向きのイオン風?となり、その反作用で浮遊するものと思われる。
当然のことながら、高電圧を用いたこの実験は、大きな事故につながりかねない大変危険な実験である。作業の度にコンセントを抜き、残った電気を放電さ等でこまめに放電させるなど、実験中は一瞬たりとも油断はできない。
スウィング・トレイ 車田さんの紹介
毎日テレビ東京の「WBS(ワールド・ビジネス・サテライト)」は深夜に放送されるビジネス・テクノロジー系の科学番組である。最先端のアイディア満載でなかなか面白い。
車田さんが撮りためたライブラリの中からまず紹介してくれたのは、 4月13日放送の「スウィング・トレイ」だ。これは右近さんがYPCニュースNo.67(1993年10月)で「イスタンブールのお盆」として紹介したのと同じアイデアを商品化したものだ。振り子のように指一本でぶら下げたお盆は、加速度運動しても常に見かけの重力に対して水平になるから、お盆の上の容器の水はこぼれない。
04年8月例会で紹介された「かっこう団子」のゴンドラも同じアイデアだった。
マグトラン 車田さんの紹介
同じく「WBS(ワールド・ビジネス・サテライト)」から、3月6日放送の「マグトラン」(歯車のない非接触歯車)の紹介があった。円柱形の多極磁石を巧みに使って、非接触で回転を伝達する装置だ。接触部・摩擦部がないので摩耗することがなく、回転音も静かである。歯と歯の衝突による振動も発生しない
NY学院での理系生徒実験 小河原さんの発表
NY学院で行っていた、理系の生徒実験を紹介してくれた。99年の11月例会で、右近さんが紹介した、等間隔に音が聞こえる装置の拡張版を、自分たちで計算して製作するというもの。玄関入り口が吹き抜けになっていて、全長は9 m程度まで長くできるので、計算はたいへんだが、たくさんのワッシャーやナットを糸に取り付けることが可能である。ビデオで生徒の製作物を見る(聞く?)限り、音の間隔はあまり短すぎないほうがいいようだ。最後に登場した、前年度優勝チームの作品は、なかなかの出来栄えだった。
大野からくり記念館 竹内さんの紹介
石川県金沢港の北端に位置する「大野からくり記念館」は、「加賀のダビンチ」、「からくり師弁吉」と呼ばれた幕末のからくり師・大野弁吉に因んだ記念館である。おなじみの茶運び人形(実演付き)や、ウィムズハースト起電器などが展示されている。
二次会 武蔵中原駅前リーパーク中原内「欣欣飲茶」にて
16名が参加してカンパーイ!二次会参加者も毎回メンバーが入れ替わって、新しい仲間と知り合える。かなりの人数のうえ、その日の夕刻まで参加者が確定しないので、幹事さんは大変なのだが。
二次会の席に突然現れた加藤俊さんが持ち込んだのは風変わりなおもちゃ、マジック・ピッチ・ボール。回転させながら空中に放ると遠心力で右の写真のようにフリップが開き、受け止めるときに別の色の面を表にしておさまる。放った時と受け止めたときで色が変わるという面白い変身ボールである。その場で即売会が始まった。
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