例会速報 2000/03/08 県立柏陽高校


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PETボトルの中のスチロール球 鈴木健夫さんの発表

 静電気の実験で、ビニール袋の中にスチロール小球を入れて、生徒に振らせるというものがあるが、ビニール袋の替わりにPETボトルに入れてみた。結果はごらんのとおり。PETボトルは、充分に乾燥させておく必要がある。実験室に置いておいて、生徒に自由に振らせるのに手ごろ。もっとも、ふたを開けられてしまうと周囲がスチロール小球だらけになってしまうおそれがある。

 さて、本題はこちら(写真右)。このPETボトルをいくつも作って、生徒実験で各自に振らせてみた。静電気の導入実験だったので、各班の机には、塩ビパイプも置いてあった。そこで、塩ビを帯電させてからPETボトルに近づけて、スチロール小球の動きを観察させてみた。ところが、近づくものと遠ざかるものがある。PETボトルごとに違いが出る。これはなぜなのだろう。例会でも、マイナスに帯電した電気盆を近づけたが、近づくボトルと、遠ざかるボトルを見ることができた。(写真では動きがわからない。ご容赦を。)

 原因についての議論がいくつか出たが、発表者は、小球を入れるときに、手で入れたものと紙を漏斗のようにして入れたものがあり、その摩擦の条件の違いによるのではないかと予想したが、よくわからない。PETボトルの中に湿り気があると、帯電しにくいので、その影響ではないかという指摘もあった。結局真相はわからずじまい。

演示実験プリント静電気の実験シリーズ 水上さんの発表

 いつものように大部の資料と実験道具で参加の水上さん。今回は、「演示実験プリント」の紹介。演示実験をあらかじめ写真入りのプリントにして、穴埋め形式で生徒に理解させやすくするもの。生徒には好評だという。この演示実験の静電気シリーズは、電気盆、回転台など、自作の教材が盛りだくさん。これだけのものを準備するエネルギーは、すごい。

 ところで、例会の場では、ネオン管の光る機構が議論になった。光る側の電極がマイナスなのだが、その発光の機構がよくわからない。ネオン原子は電子衝撃で電離するのだろうか。なぜ陰極のまわりのネオンだけが発光するのだろうか。電位勾配は一様ではなく、陰極付近が特に大きいのだと思われるが・・・

黒板でモンキーハンティング 水上さんの発表

 お得意の木工で何でも作ってしまう水上さん。これは黒板演示用のモンキーハンティング実験装置。ゼムクリップを利用した発射装置のスイッチ部分が、単純なしくみながらよく工夫されている。


弦の定常波 水上さんの発表

 これも木工作品の一つ。木枠にゴムひもを張り渡しただけの簡単な装置だが、ちゃんと定常波が見える。節になるところを指で軽く押さえて腹の部分をはじけば、2倍振動、3倍振動もバッチリ。大きいだけに見やすく、何より生徒に自由にさわらせることができるのが長所。


三角プリズムのパズル 喜多さんの発表

 アクリル製の三角プリズムを乗せて真上から見るとこんなふうに見えるパターンがある。さて、プリズムをどけたらどうなっているでしょう。答えは下にあるが、ちょっと考えてからスクロールしてみよう。


 これが正解。プリズムによる光の屈折のいたずらで上のように見える。


 右のパターンの原理を示すために、色をつけてみたもの。それぞれの線がどうずれて見えるのかがよくわかる。


 この不思議な文字はどうやって読むのか。・・・三角プリズムを上に乗せて、真横から見るとご覧のとおり。全反射を利用したパズルだ。


戻ってくる柚(ユズ) 小河原さんの発表

 この実験は背景の説明が必要である。冬至の夜、柚子湯に入った小河原さんが、湯船に浮いている柚を何となくもてあそぶうち、洗い場から湯船の水面に向かって投げてみたところから話は始まる。バックスピンしながら湯に潜った柚は、ブーメランのように水中で弧を描きながら水面に戻ってきたというのである。野球の変化球と同じマグヌス効果の結果らしい。

 小河原さんはそれだけでは満足しなかった。発泡スチロールでご覧のようなディンプルボールを作り、空中で同じことを試みたのだ。重力と浮力の違いがあるので、上下逆さの現象を起こす。そのため右の写真のようにのけぞって上手投げでボールを投げるのだ。投げられたボール(写真青矢印)は鉛直面内でくるりと孤を描き、投げた人の腰のあたりに戻ってくる。背景の板書も参照されたい。


缶のつぶし方 高杉さんの発表

 アルミ缶の安全で簡単なつぶし方をご紹介しよう。まず写真左のように指で斜めにへこませる。3本ぐらいこうした折り目を入れておく。


 これを足でツイストするようにひねると、缶は簡単につぶれて右の写真のようにコンパクトになる。「伊藤家の食卓」で、同様のアイデア提供で30万円を獲得した人がいたが、高杉さんはもうずいぶん前に独自にこの方法をあみ出していたそうだ。あ〜あ、惜しいなあ。


浮力とは何か 高杉さんの発表

 軽けりゃ浮くってもんじゃない。ご覧いただきますのは発泡スチロールの半球。中空の内部に水を満たして、水槽の底にえいやっと押しつけると・・・・しばらくは浮いてこない。半球内部の水圧が外部の水圧より小さいという条件を作ればこんな事だって起こる。浮力は圧力を表面積分した結果なのだ。


 同じく発泡スチロールの円錐や円柱(これらは中空ではない)も、うまく水底に押しつけるとしばらく水底にとどめることができる。


インタラクティブ・フィジックス 市江さんの発表

 力学シミュレーションソフト「インタラクティブ・フィジックス」を使って、放物運動やモンキーハンティングの解説を試みた。画面には操作ボタンとパラメータ入力窓が設置してあり、生徒が自由に条件を変えてシミュレーションできる。サルの視点で見た弾丸の運動が面白かった。

趣味の入試問題 車田さんの発表

 某私立高校の入試問題

 1辺が10cmの立方体の各面の中央を、立方体の一辺の長さの1/3の正方形で反対側の面まで貫通するように各面ともくりぬき、写真のような立体を作った。この立体を、もとの立方体の互いに隣り合わない3つの頂点を通る平面で切断したときの断面の形と、その面積を求めよ。

 正解は写真のとおり「三菱」になる。面積は各自で計算してね。

ルーローの四面体(定厚物体) 車田さんの発表

 以前、喜多さんが紹介し、金子さんが同僚の先生と共に量産した「おにぎり車輪」の愛称で親しまれた定幅図形のコロがあった。数学界での正式名称は「ルーローの三角形」というのだそうだ。車田さんはその立体版の製作に挑戦した。秋山仁氏が「ルーローの四面体」と名付けたこの立体、ひょっとしたら実際に製作・公開は本邦初?

 下の写真が件の立体。まさに「おむすび」だ。上に平面を乗せて転がすと、上下動なくスムーズに転がる。こんな形をしていても、厚さはどの向きにも一定なのだ。


消しクズクリーナー 車田さんの紹介

 車田さんが文具店で見つけてきたおもちゃのようなアイテム。机上で走らせると二つの箒がちょこまかと動いてケシゴムの消しクズを掃き取っていく。その動作がとてもかわいらしい。「癒し系の文具」である。

モデルロケット試行錯誤 金子さんの発表

 1月の後藤先生の講演会以来、モデルロケットにとりつかれている金子さんの、ロケット自作報告。燃料に日本モデルロケット協会公認の市販品を用いた以外はすべて手作りの機体だ。金子さんは燃料を大量にゲットして、生徒全員にロケットの製作をやらせている。

 自作の過程では、パラシュートの格納のしかたや、融損防止のための耐熱紙(リカバリー・ワディング)の役割の確認、イグナイタの電流条件など、いろいろな試行錯誤があった。しかし、うまく発射して見失うほどの高さまで上昇していくロケットの醍醐味は何物にも代えがたい快感だという。

 例会の席でも、打ち上げのノウハウや発射時の安全確保などについて、体験談の交換や提案があった。


鈴木亨さんのお土産 小沢さんの紹介と配布会

 イスラエル帰りの鈴木亨さんのお土産を小沢さんが代理で持ってきてくれた。フィルムケースの中は死海の水。飽和食塩水だがなめるとひどく苦い。マグネシウムなどのイオンのせいだろう。

 ある植物の種子。粒ぞろいで重さが一定なのでダイヤモンドの秤量のためのおもりとして使われたという。「カラット」という単位の語源にもなっているそうだ。

 「復活の花」。堅く閉じたつぼみが湿気に触れるとたちまち開いてくる。根っこに直接花がついているような奇妙な植物だ。


二次会 大船銀座「栄寿司」にて

 YPCは花粉症率が高く、当日は調子の悪い人が多かった。二次会に残ったのは9人。ちょっとさびしかったが、なじみのこの寿司屋はこの程度の人数でないと入れない。

 かんぱーい!新学期もがんばろー。


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