例会速報 2003/01/11 県立青少年センター
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青少年センターのプラネタリウム 例会前の見学会
今回の会場はプラネタリウムと天文台のある青少年センター。例会に先立って宮崎さんの解説でプラネタリウムを見学した。今月のプラネタリウム番組「50億年後の太陽」。我々の生命の源・太陽の年齢は約50億歳,寿命は100億年,あと50億年は大丈夫です・・・というお話し。この道4年を数える宮崎さんの名口調に一同聞き惚れた。左の投影器は3代目で五藤光学のGOTO-GX-AT型。右の写真は操作盤。各種のモーターやライトをすべて手動でコントロールする。それがこのプラネの味なのである。
ところで、この県立で唯一のプラネタリウムはまだまだ元気で活躍中というのに、県の方針で2月末で閉鎖され、やがて天文台とともに撤去される予定だという。アイザック・アシモフ氏の抗議文も県議会を動かすことはできなかったようだ。議会や県庁が科学教育に無理解なのは残念な話である。
回折格子の授業 小沢さんの授業報告
12月の研究大会で行った公開授業の報告。波動分野の授業展開のうち、回折格子の単元である。
まず、ロウソクを立てて注目させ、薄い布を通して遠くから輝く炎をながめると、縦横に虹を引くことを観察させる。これを導入に、同じ布にレーザー光をあてて投影された干渉パターンを観察、布の目を細かくした場合を予想して実験で確かめる・・・と生徒実験を中心に展開する。回折格子の式を力ずくでなく、天下りでなく、体験的につかませるのである。
戸田先生の手法にならった、モグサを焚いて煙をたなびかせ回折格子で分光された光の経路を見せる演示はなかなか効果的だ。
例会の席では、実験や発問の適不適や、改良案などについて活発な議論がかわされ、有意義な発表だった。
オーストラリア日食報告 宮崎さんの発表
2002年12月4日南オーストラリアで皆既日食があり、観測に出かけた宮崎さんから帰朝報告があった。今回の日食は,アフリカ大陸西方の大西洋上から始まり,インド洋を抜け,オーストラリアの中央南部で終わる皆既帯だった。気象条件や治安の問題からオーストラリア中央南部の海辺の町「セジュナ」(南緯32度,東経134度)が観測地に選ばれた。現時時刻で第2接触19時40分12秒、第3接触19時40分44秒、皆既継続時間は32秒と短かったが,皆既は部分日食とはまったく別の現象と思えるすばらしい体験だったと宮崎さんは語ってくれた。右の写真は皆既日食を見たという証明書。
オーストラリアで見つけたおもちゃ 宮崎さんの発表
宮崎さんが日食観測で訪れたオーストラリアでみつけたユニークなおもちゃ。左はバッタのイメージでジタバタ、右はイモムシのイメージでモッソリモッソリ動く。いずれもゼンマイ仕掛けで金属製。
反磁性磁気浮上 右近さんの発表
2001年のPhysics Teacher誌12月号にノースダコタ州立大学のC.A.Sawicklが発表した実験の追試。黒鉛の反磁性を利用して、ネオジム磁石を空中浮遊させる。上の大きなフェライトリング磁石の磁場で重力とつりあうあたりに、黒鉛のブロックでサンドイッチしたネオジム磁石を置く。上の磁石の位置などを微妙に調整すると、ネオジム磁石は黒鉛ブロックのすきまでふわりと空中に浮く。回転も電気的フィードバックも何もないのに、静かに安定してうかぶのである。
おりしも2002年11月に行われた続KBGK(高校物理現代化研究会)第124回研究会のおり、東大名誉教授の霜田光一先生が同じ実験を紹介され、戸山高校の吉澤さんがすかさず追試に成功、右近さんもこれにならった。
魔鏡 加藤さんの発表
加藤さん秘蔵?の魔鏡。裏側は一見平面の金属鏡だが、微妙な凹凸があり、太陽光にかざすと反射光が竜の絵になる。夜なのでOHPの光でやってみたが、うまくいかなかった。平行光線でないとうまくいかないらしい。
人工猫目石 加藤さんの発表
人工の「キャッツアイ」。反射光が猫の目のように光る。上から見ると「テレビ石」のように下の文字が透けて見える。違う方向では見えない。方向のそろった繊維状結晶からなるのだろう。中国製。
イリュージョンリング 加藤さんの発表
一見ただの金の指輪だが、ゆびにはめて回すとだんだん大きくなる(あるいは小さくなる)ような妙な錯覚におそわれる。光線の反射位置が変わるせいなのだが、いわゆる錯視を立体化したものとして楽しめる。米国製。
3D地球儀 加藤さんの発表
ガラスブロックの中に閉じこめられたスケルトンの地球儀。じつは埋め込んであるのではなく、外からレーザー光を当てて、「焼いて」作るのだそうだ。後日の情報によると、フェムト秒レーザーの光線を二つに分け、ガラス内で結像させるホログラムの手法が使われているらしい。中国製。お台場のデックスビーチ東京4Fの台場1丁目商店街の「F.O.B神戸」という1000円ショップで購入したという。右の3色のバックは加藤さんが工夫したもの。全反射で、見る角度により一斉に色が変わるように見える。
コインを飲み込む金魚 加藤さんの発表
厚紙でできたロシア製の楽しいおもちゃ。平らに押しつぶして口の根本にコインをのせておくと、しばらくして起きあがりざま、空中に跳ね上げたコインをパクッとのみこむ。絶妙のタイミングに見物の一同は大いにわいた。
パチンコ独楽 加藤さんの発表
パチンコ玉2個を小さなネオジム磁石でくっつけたダンベル状の物体。指先でひねるとくるくると独楽のようにスピンして面白い。よく見ると回転しながら、一定の位置に模様が止まっているように見えることがある。これは右の「ダブルフィルムケース」の実験で知られているものと同じだろう。円柱の径と長さが適当な比になっているとき、スピンとローリングの位相が合って一定位置に模様が静止して見えるのだ。
静電気の実験 黒柳さんの発表
青少年センターでサイエンスショーを担当している黒柳さんが、静電気実験のネタをいくつか披露してくれた。
サイエンスショーではやっていることが観客にきちんと見えるということが重要だ。箔検電気も四方から見える大型のものでなければならない。
左の写真は現秦野曽屋高校の高杉さん作品の巨大な「箔検電器」。箔の部分はチューインガムの包み紙の内側の紙をはがしたもの。2リットル三角フラスコにとりつけて使う。
下の写真はφ5mmくらいの発泡スチロール球をペットボトルにつめて、バンデグラーフ起電器の上に置く実験。帯電して反発した発泡スチロール球は、きれいな曲線を描いてペットボトルの口から吹き出す。後の掃除が大変なのが玉に傷だが、バンデグラーフのまわりの電場の様子が視覚的に伝わる。
こちらは別の実験で加熱時にうっかり割って底を抜いてしまった2リットルフラスコ。廃物利用で下のような実験に使っている。
線香の煙を満たした底なしフラスコを金属トレーの上に置き、上からも針金を差し込んで、トレーと針金の間にバンデグラーフの高電圧を加える。すると、見る見るうちに煙が消えてフラスコ内が透明になる。煙のコロイド粒子が電極に静電吸着されたためだ。これすなわち静電高圧空気清浄機の原理。
ASE Annual Meeting 大谷さんの報告
大谷さんは、ガリレオ工房のメンバーらとともに、2003年1月3〜5日に英国のUniversity
of Birminghamで行われた、Assciation for sceince education (ASE)のAnnual
Meetingに出席してきた。ASEは世界最大級の理科教育団体で米国のNSTAとも密接なかかわりがある。
写真はそのプログラム。このほか、現地で仕入れてきた英国の中・高等学校の理科教科書などの披露があった。
万札ローソク 越さんの発表
越さんは、勤務先の女子校での実践から「女の子にウケた実験ベスト10」をピックアップ、そのうち数点を実際に披露してくれた。
まずはじめは、流山南高の山本喜一先生に教えていただいたというネタ。1万円札を丸め、「ある液体」(?)を初めにつけてから、アセトンに少しひたし、火をつける。火が消えた後、1万円札の運命は...?
実は「ある液体」はウーロン茶で、水や麦茶などでもいい。表面のアセトンが燃えていても、水分が蒸発するまでは、お札の温度はあまり上がらず燃えない。「指マッチ」の実験と同じ原理。
コツは、水は多めに、アセトンは少なめにつけること。指やお札は、鉛直に立てて行うこと。
火吹き市太郎(危険!まねをしてはいけません) 越さんの発表
エタノールを少量口に含み、松明に向かって霧状に吹きかけると、写真のような迫力ある炎を吹くことができる。去年の東葛地区の教研で、湖北高校の青木先生から教えていただいたとのこと。
授業では、爆発と燃焼のところで扱い、「液体のアルコールは良く燃える、霧状のアルコールは、もっとよく燃える、さらに、気体(蒸気)のアルコールは爆発する(空き缶と紙コップを使ったアルコール爆発)」、という流れで演示するという。ただし、薬品の性質や原理がよくわかって、熟練した人が行わないと危険である。体にも良くないので、越さん自身も滅多に行なわないようにしている。YPCではより安全な「火吹き専用燃料」の共同購入の動きもある。
安全のためには、次のようなコツがある。
・霧を吹いたあと、すぐに息を吸わない。
・体から松明を離す。
・サッカーのヘディングの要領で、あごを引き上半身を後ろに引いた状態から、体を前に出し、勢いよく霧を吹きだす。
・また、濃度の高いエタノールは、舌の上に乗せるだけで、喉のほうには決して入れないようにする。
・終わったらすぐにうがいをし、よく口の中をよく洗う。
・「良い子の皆さんは、絶対に真似しないように!」などと、生徒には厳重に注意すること。
超簡単熱気球 越さんの発表
ポリ袋と、針金1本、脱脂綿、セロテープで簡単に作れる熱気球。よく知られている実験だが、より手軽に行えるようにいくつか細かな改良が加えられている。
一本の針金を袋の底辺と直角に渡すようにとりつける。袋の上部の両端(耳の部分(?))を、火をつけてから充分な浮力が得られるまで両手で保持する。スズランテープを針金と直交する位置にとりつけ、上昇中や下降中に本体が傾かないように持つ。風のある屋外だと、ひもで係留するとかえって傾いてしまうので注意。授業では体育館で揚げているそうだ。熱気球の真下に立っていると、融けた袋の雫が垂れてくることがあるので注意!
天体観測会 青少年センター屋上天文台見学
例会の後、本館屋上にある天文室で、天文課の広瀬先生のご指導のもと、天体観察をさせていただいた。
左は15cm反射赤道儀で見た上弦の月。下左は20cm屈折赤道儀で見た土星。いずれもデジカメのレンズを直接接眼レンズに押しつけての手持ちコリメート法による撮影。ともにややピンボケであるが、光量があるので簡単に写せる。
下右は天文室からみたみなとみらい21地区の夜景。中央がランドマークタワー、丸いのは大観覧車コスモクロック。
二次会 桜木町駅前「はなの舞」にて
15名が参加してあけましておめでとう。ことしもよろしく、カンパーイ!久しぶりの再会を果たした平間さんを囲んで、大いに盛り上がった。
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