例会速報 2017/01/15 神奈川学園


前の月の例会例会アルバム目次次の月の例会


YPCホームページへ天神のページへ他のサークル・団体等へのリンク次回例会のご案内

授業研究:探究的な講義について 小河原さんの発表
 小河原さんが、2015年6月(2年物理基礎)、2016年11月(3年物理)に続いて、探究的授業実践の試みを報告してくれた。
1月9日に理科カリキュラムを考える会のシンポジウムで、依頼されて2016年11月例会の授業報告を発表した際、その前後の講演にヒントが多く、だいぶ方向性が整理されたということである。


  まず、香川大の笠順平氏の講演では、探究的学習と探究活動の違いについて触れられており、それを受けて実験だけでなく講義も探求的に進めたいと考えた。
 次に、麻布教育研究所の永島孝嗣氏の講演では、生徒が学ぶためのリソース種類が紹介され、横リソースつまり生徒同士による学びあいは、今よりさらに活用できるのではないかと考えた。結果として、今年度から少しずつ導入しつつある、クリッカー設問後の相談再投票や、発問を多用した授業展開などをさらに推進したいということである。小河原さんとしては、生徒に思考させるような問いを考えているそうだ。


 「クリッカーを使って投票→議論→再投票を経ても、正答率の上がらない問いをどうするか」など、意見交換が活発に行われた。また、より具体的な問題を扱った討論を期待する声もあり、成果がまとまった際には範囲を絞ってご報告してみたいとのこと。今後が楽しみである。
 

点滅する・しないLED電球 喜多さんの発表
 YPC-MLで話題になっていた、LED電球が低電圧で点滅することに関して、2013年3月例会報告の再発表である。
 LED電球に入力する電圧を変化させたときに、流れる電流がどのように変化するかを調べるのが動機であった。たまたま、調べたLED電球が異なる特性を示した。
 

 東芝の420lm(写真左)は、電圧を大きくしていくと、62V以上になると点灯し、電圧の上昇とともに明るくなる。次に100Vから電圧を小さくしていくと、38V程度まで点灯している。電圧を上げていくときと、下げていくときで異なる挙動をする電圧領域(38~62V)があった。
 それに対し、オーム電機の510lm(写真右)は、異なる挙動をする領域はなく、30Vから40Vの間で、点滅する形での点灯が起きた。30V近くでは周期は1秒くらい、40Vに近づくと0.4秒くらいだった。
 その後、オシロのプローブにLEDをつなぎ、LED電球の光を受光してみた。両者ともほぼ1000Hzの脈流が発生していることが分かった。

 

LEDズームライトの改造~ブラックライトに~ 天野さんの発表
 6月例会7月例会でも登場した、ダイソーのsuperLEDズームライトの改造の紹介。まずはLEDを紫外線LEDに交換し、簡易なブラックライトにしたもの。
 

 「何か紫外線に反応するものを」と求めると、ただちに各国のお金が出てくる辺りがYPCらしい。偽造防止用の特殊発光インキが光っているのがわかる。
 

LEDズームライトの改造~拡大鏡に~ 天野さんの発表
 続いて、今度はLEDではなくレンズ部分を活用した拡大鏡の紹介。 プレパラート状のガラスを載せやすいように少し切り込みを入れると、ちょうどいい高さでピントが合って、スマホ用顕微鏡として活用することができる。
 

ゴム動力おもちゃ その後 天野さんの発表
 天野さんは、先月の例会で紹介したおもちゃをさらに改良して、逆回転する羽をしっかり作った。使用するハトメは4種類になったが、これで安定した飛行が可能になった。
 

バイメタルおもちゃ 水野さんの発表
 ネット通販で購入した「バイメタル ジャンピングディスク」なる商品の紹介。大きさは500円硬貨よりやや小さめで、50℃以上に温めると変形し、50℃以下になると元の形に戻り、そのとき飛び跳ねるという代物だ。発表時に温めるお湯がなく白熱電球の上で温めたが、この方が電球が球面で平面より高く飛び上がった。(電球が割れないか心配したが。)説明書にも「高く飛ばすにはとつレンズのような曲面の上に置いて」とあった。
 販売元は(株)シロイアソシエイツ(TEL0422-45-1642)。 平面上から飛び上がる動画はここ
 

スマホ顕微鏡 車田さんの発表
 スマートホンやタブレットにとりつけて使うコンバージョンレンズの紹介。これがなんと100円!魚眼レンズ、ワイドレンズ(広角)とマクロレンズ(顕微鏡)の3種類があり、100円ショップのSeria(セリア)で販売されている。どちらもクリップ式でレンズキャップ付き。ずれないように滑り止めまでついている。色はそれぞれ白と黒の2色ある。
 例会では、iPhone&iPadのインカメとアウトカメで試してみた。クリップ式でどちらでも適合した。自動でピントが合いにくい場合は被写体をわずかに前後に動かすとよい。また、レンズを回すことにより約2mmの焦点調節ができる。例会ではさらに、レンズを2重にしてみた。クリップの上からクリップで固定でき、少し倍率が上がる。レンズは回すとはずれる。これを重ねれば倍率もあがる。
 

次期学習指導要領について 古谷さんの発表
 古谷さんからは、間もなく文科省から示される予定の次期学習指導要領についてのコメントがあった。要点は次の通り。
1.次期学習指導要領が2030年という時代を想定しそこに向けた人間づくりのためであり、それはかつて学生の頃の検討会の議題にした中教審「後期中等教育における拡充整備案」の中で打ち出している人間像と重ね合っている感じがつよくしたこと。
2.この間、アクティブ・ラーニングについて学習をする機会があったが、いまひとつその本質が見えてこなかったという印象があった。やはり次期学習指導要領の本質をつかむことが今求められているのではなかろうか、という思いがあり、和光大の梅原利夫さんの「学習指導要領の改訂作業に見る3キーワードの特徴」を掲載した。コンピテンシー、カリキュラム・マネジメントも併せて検討しながら指導要領のイメージをつかんでいきたい
 ※右の写真をクリックすると、資料が拡大表示される。


線膨張率の公式用プリント 水上さんの発表
 「数研出版 物理基礎」では熱膨張に関して「ある固体の0℃のときの長さをl0〔m〕とすると、t〔℃〕のときの長さl〔m〕は l=l0(1+αt)で表され、α〔/K〕を線膨張率という。」とある。他社の教科書も同様の記述である。水上さんは「理由も示さずこの式を示して覚えろ」といっているように感じ、今年は写真左側のように「線膨張率:固体の長さは温度が1℃上昇(=1K上昇)するごとに0℃のときの長さ(l0〔m〕とする)のα倍ずつ増加する。」を示し、これを用いて
「長さは0℃のときl0→1℃のときl0+(  )、2℃のとき(     )・・・、t〔℃〕のとき(      )」の空欄を埋めさせることでl=l0(1+αt)を導かせるプリントを作った。それでも生徒は苦労したらしい。
 来年度は写真右側の手で指している部分のような温度ごとの長さを示す図を加えるそうだ。参加者からも「この図があるとわかりやすい」の声が上がっていた。
 

二次会横浜駅前「北海道」にて
 15人が参加してカンパーイ!愛知から参加された方も、二次会まで来てくださった。夕焼けに映える富士山のタイムラプス撮影をする人や、センター試験の議論をするものまで、話はつきなかった。
 


前の月の例会例会アルバム目次次の月の例会


YPCホームページへ天神のページへ他のサークル・団体等へのリンク次回例会のご案内