2000年12月9日(土)惟信高校での例会の記録です。


共振を見る
川田さん)
 コイルとコンデンサーの共振を目で見るための回路。電流の流れ具合を電球で見ようというもの。





 回路が共振すると,左側の電球は消えてしまいます
 鉄心を動かすことでコイルのLを変えます。
 コイルのリアクタンスが小さくなると,コイル側の電球が明るくなります。


 コイルとコンデンサが共振すると,コイル側の電球も,コンデンサー側の電球も同様に光ります。

揚力はなぜ発生する?
(林さん)
 右の十字架のようなもの,中央をひもでぶら下げてバランスをとってあります。奥の方に見えるのは,ブロワーとペットボトル。
(下写真参照)
 ブロワーから出た空気流は,ペットボトルの上を流れ斜め下に向かいます。さて,ペットボトルは揚力を受け,上に持ち上がるでしょうか。


 ブロワーを動かすと,見事に十字架(?)は傾きます。

 この揚力は,普通ベルヌーイの定理で説明されます。すなわち,ペットボトルの上部をとおった空気流は速度が大きいので密度が減り,圧力が減る,というわけです。

 

 ペットボトルをとおった後の空気流は斜め下向きになります。揚力は,ベルヌーイ流の説明ではなく,この斜め下向きに進む空気の運動の反作用と考えられないかということです。どう思いますか。
さらに,空気流が斜め下に向かうのはなぜか,という点も問題になりました。空気の流れの粘性という説明もあるようですが,もっと原理的な説明が必要な気がします。




マグヌス効果で進む台車
(奥谷さん)
 回転する物体に,回転軸と直角に流れがあたるとき,物体は流れに垂直に力を受ける,というマグヌス効果の確認の実験。
 ペットボトルがモーターでまわります。 この台車に横からブロワーで風を当ててやります。予想どおりに動くでしょうか。
 
 実際にやってみると,動くには動くのですが,ブロワーのあたる位置によって,前へ動いたり後ろに動いたり。
 どうもこの板が悪戯をしているとの結論。板が翼になっている(林さんの揚力の実験の後だけによくわかる)可能性もあるし,さらに,ブロワーの空気流も,ペットボトルに一定の流れであたっていないし,などで,純粋のマグヌス効果ははっきりしませんでした。


電子レンジでの気体の発光
(山岡さん)
 電子レンジで蛍光灯が点灯するのはよく知られたことですが,いろいろな電球を入れても光ります。電球によって封入されている気体の成分が違うので様々な色が出ます。(加熱し過ぎないように注意!)

 自分の手で発光する容器をつくろう思いました。
 試験管に気体を入れて発光させようとしました。が,うまくいきません。真空ポンプで減圧して,さらに中にニクロム線の切れ端を入れることでやっと発光させられました。
 ニクロム線がマイクロ波で加熱され,電子供給源になって,その電子が気体に衝突し発光するのではと考えられます。

 金属を入れずに気体だけで発光することを目指したのですが期待はずれ。気体だけで発光させるには濃度の条件がありそうです。

       点灯する蛍光灯                  紫に光る電球

新水ロケット離脱機構
(飯田さん)
 水ロケットの切り離しの仕組みはいろいろ工夫されてきましたが,今回はかなり簡単。
 右の写真のペットボトルの口についたばねと切り離し用のフックをつなぐだけ。ボトル内の圧が高いときは,ばねが引いていても,ボトルがふくれてひもを押さえつけているので,フックは動きません。内部の圧が下がるとボトルは元に戻り,ひもが動けるようになるのでフックが下に引かれて,着脱弁が外れるという仕組み。
 2段目には最右の写真のように翼をつけてあるのでよく飛ぶとのことです。残念ながら時間の関係で飛行実験はできませんでした。
 

ジュリーアンドラスの
    回転盤

(前田さん)
 写真のような変な(?)模様を書いた円盤をターンテーブルで回転させます。回転する模様をしばらく見たあと,周りを見ると,景色が揺れて見えます。ジュリーアンドラスの回転板というそうです。前田さんはいろいろな振動数の水晶発振で最適な(最も効果が出る)回転数を調べました。170rpmぐらいがよいようです。ただ,人によってこの効果が感じられないこともあるそうです。これも遺伝するのでしょうか。

水波投影装置
(前田さん)
 8月の全国交流会で,よせなべ物理サークル石井さんが発表された,どこでもでもできる
水波投影装置を,大型化してつくりました。
写真ではうまく見えませんが,実物は非常にはっきりみえます。直線での反射,放物面での反射,ブラッグ反射,
2つの波源からの干渉など。別ページでたっぷり見てください。

 前田さんの水波投影装置

単極モーターその後
(杉本さん)
 2列に並べたレールに球を並べ,銅板にネオジム磁石を乗せます。
電流を流すとどうなると思いますか。(赤が正極,緑が負極とすると
磁石を乗せた銅板はどちらに動きますか?)
 
 ローレンツ力の反作用はどこにはたらく,という話につながるわけ
ですが,いまだ解決がついていません。
この装置は放送大学の霜田光一先生の講座から学ばせてもらいました。)

3原色説明装置
(山田さん)
 高輝度ダイオードを使って,3原色でいろいろな色がつくれますよ,ということを理解するための装置。箱の下に,それぞれの色の光量を変えるための可変抵抗器がついています。
 同じ色の組み合わせでも,それぞれも色の光量が変化すると違う色になります。
 装置の仕組みは写真の通り。光源をぼんやりさせるためにハトロン紙に光をあてています。
 高輝度ダイオードが安くなると,作りやすくなりますが・・・・。

ワットの蒸気機関
(川上さん)
 ワットが蒸気機関の凝縮器を分離することを思いついて一番最初に試作した装置。
 大気圧を受けるのではなく,蒸気の力でピストンを動かす,本当の意味での蒸気機関のはじめです。
 
 このほかに新指導要領の中身についてのレポートも。
 新しい科目では熱分野がほとんどないとのこと。研究が有効利用できない(?)と憤慨しています。
(^^ゞ

凝縮器,中に錘につながったピストンがあります。

コックをひねることでピストンの動きをコントロール
できます

奥谷3題
(奥谷さん)
1.ペットボトルドラム
 ペットボトルにドライアイスを入れふたをしっかりします。いれる量によって内部の圧力が変わります。内部の圧力によってたたいたときの音が違うので,うまく並べると立派な楽器になります。ドライアイスの量と音程は試行錯誤。
 圧力と振動数の関係は簡単な関係になるのでしょうか?

2.電荷移動測定器
千葉の三門さんの双方向静電気チェッカーの片方向のみ使っています。帯電した物体を近づけ電荷の移動が起こるときダイオードがつきブザーがなります。帯電体を+に近づけた場合と−に近づけた場合で反応が違います。なぜかを考えさせることで理解が進みます。

3.小型フランクリンモーター
 
静電気で軽快に回ります。
4,ファラディー発電機
 ゴム磁石を缶に巻いて,その上にアルミ箔を巻きブラシ型の電極を両端につけてあります。缶をモーターで回転すると起電力が発生するというわけ。磁場が弱いですから発生する電流はほんのわずかです。
 単極誘導発電機というわけですが,なぜ起電力が発生するか,うまく説明するのに困りますね。



 3題ではなく4題になった次第です。

おふろの沸かし方
(杉本さん,林さん)
 伊東家の食卓という番組で,効果的な風呂の沸かし方についての話がありました。
 わかすとき風呂の水をかき回した方がいいか,それともかき回さない方がいいか。
 番組の結論。熱源と水との温度差があった方が熱の伝導効率がいいから,上がお湯,下は水の状態が続いた方がよい。だからかき回さない方がよい。
 
杉本さんが,これはおかしいのではと疑問を提示。林さんがこれを受けて自宅の風呂で実験。


 林さんの実験結果。(180リットルの容積,ポンプの発熱量は十分小さい)
  30分間わかす
   連続してかき混ぜる場合―14度から34度
   最後の3分のみかき混ぜる場合―14度から32.5度
  50分間わかす
   連続してかき混ぜる場合―14度から45.5度
   最後の3分のみかき混ぜる場合―14度から41.1度
  
 かき回して沸かした方が早く熱くなるという結論に。
 さらに,杉本さんが温度による水の蒸発量の違い(すなわち,気化熱の量)を熱量計で測定。上部の温度が高いほど蒸発量は多く,気化熱をたくさん奪うこと,これは熱源での伝導効率の差を上回るものであろう,ということで,こちらも,かきまわして沸かす方が早く全体が熱くなる,との結論。

 伊東家の皆さんどうですか?

 ところで,林家は水と燃料の使いすぎで家中に雷が落ち続けたとか・・・・。
  

ネオンチューブの電源利用
(臼井さん)
 前回前田さんが持ち込んだネオンチューブ。
この電源を調べると1000Vぐらい出ているようです。これをダイオードで整流して高圧電源として使おうというものです。(廃物利用のエキスパート!?)
 静電振り子もちゃんと揺れました。

黒い直方体がネオンチューブの電源

ぱるぱる
(清水さん)
 ぱるぱるは通称だそうです。本名不明。
 糸でつながれたさいころが,台紙をゆらすと瞬間に向きが変わります。赤が青に変わる! テーブルマジックとして使えます。
 生徒には仕組みを考えさせ,作ってみるようすすめるのがよさそうです。