2002年5月11日(土)惟信高校での例会の記録です。

 今年は桜が3月下旬には咲き終わり、暑さが例年より早く来そうな雰囲気です。自然のサイクルが
少しずつずれてきているのでは・・と感じさせられます。
 小、中学では、新しい指導要領のもとでの教育が4月から始まっています。
 「ゆとり教育」の名のもとに、理科の時間も減少します。高校は来年度から新指導要領に変わります。
多くの学校での予定を聞くと、幅広い自然科学を学ぶというより、大学受験に必要な科目を効率的に
学習することを目指しているように感じられます。
 少ない学習時間の中でも、豊かな自然を理解できるような授業研究は、従来にも増してますます必要
になっているといえそうです。


水飲み鳥
(飯田さん)
 永久機関では? と思わせる水飲み鳥。右の鳥はコップにつける小型のもの。
 袋をかぶせると動きが止まります。(水分の蒸発がとまると動かなくなる。)

 この水飲み鳥を自作しました。
 フラスコ2つとガラス管、そしてエチルエーテル。
 理論的には、大きいと熱の出入りの時間がかかるので、あまり大きなものは動かない、となりそうですが、ちゃんと動きます。ゆっくり動きます。

 最初は、中が1気圧状態でつくりましたが動きません。中を減圧状態にすることでうまくいきました。
 扇風機で風を送ると、動きがはやくなります。

 インテリアとして使うのはちょっと無理・・・・
 でも、教材としては構造と原理がはっきりわかります。

引っ込み思案
(飯田さん)
 「楽しい授業」に出ていたおもちゃ。
 紐を引くと、他の色の紐も動くのですが、理由は写真の通り。
 
 中段のも同様に、紐を引くと他の紐が動きます。仕組みは? ということで、筒を引くと、あれ!間に紐がない。どうやって隣の紐を動かすのだろう・・・・。
 (答えのヒントは下段の写真、あとは自分で考えてください)

 ひとつだけより、2つを順に見ると驚きが増します。
 いくつかの材料を組み合わせると、効果が大きくなる組み合わせがあるようです。おもちゃも奥が深い・・・・・。

光のマジックの説明
(川田さん、林さん、奥谷さん、、飯田さん、山岡さん)
 昨年12月8日の例会で、奥谷さんが光のマジックを見せてくれました。この現象が起こる説明を、サークルニュースでは、ポリ袋と水との境界面での全反射としていましたが、その論への反論が5人から出ました。

 結論としては、ポリ袋から出た光が水面にあたるとき、水面に立てた法線に対して大きな角度で空気中に出るため、上から見ると光が目に来ないので見えない、というもの。
 皆さん、様々な実験で、この説を実証しました。大勢で考えると、実に様々なアイデアが出るものですね。
 試験管に豆電球を入れて光の見え方を確認。
 レーザー光を利用して光の進路を見ようとの試み。
 あくまで理論で解析を試みる。
 

アクリル板を水から出すと、「天知」となっている
のですが、水中ではこのように見えます。
  

ラジオメーター内の圧力はなぜ低いか?
(杉本さん)
 容器のガラスが割れて使えなくなったラジオメーターを排気鐘に入れ、真空ポンプで排気します。
 光を当てるとちゃんと回ります。
 黒い面での吸収が大きく、光沢のある面より温度が高くなり、衝突した気体分子の速度が大きくなるため、その反跳で回るというわけです。
 
 すると、真空度にかかわらず回るはずですが、実際には空気をいれていくと、光を当てても回らなくなります。
 なぜでしょう?
 いろんな考えが出ましたが、結論は出ませんでした。

 壊れていないラジオメーターのガラス面にアルコールを塗って扇風機で空気を送ると、気化してガラス面の温度が下がります。
 すると、ラジオメーターが回りだします。光を当てたときと反対向きに!。
 なぜでしょう?

 光の吸収率が高いということは、放射率も高いからだということで説明がつきました。

 羽根車が入ったクルックス管で、陰極線を出すと羽根車が回ります。
 これも電子が羽にあたって回るのではなく、電子があたることで羽の表面の温度があがり、中の気体分子の衝突による反跳で回るという説明が正しい、と再確認しました。
     

光量子を見る
(山田さん)
 前回の例会で林さんと杉本さんが名古屋大学で発表した、光子1個の入力を感知するイメージインテンシファイヤー(映像増幅装置)を、明るい部屋でも見られるようにした改良版。名古屋市科学館で展示解説したところ好評だったそうです。

 1個1個の光子の到達位置は予測できないが、多数の光子の到達位置の分布は予測可能である、という量子効果が、まさに目前で現れるわけです。
 複スリットの幅を変えて干渉模様の幅が変わることも確認できます。

 この装置で、何でも見られるのだ(たとえば、人の姿が見られる、しかも時間がたつと姿が見えてくる)ということを確認してからこの実験を行えば、高度な装置の意味もよくわかるのでは、という意見が出ました。

お知らせ
(山田さん)
「青少年のための科学の祭典2002」名古屋大会の募集のお知らせです。
 10月5日(土)、6日(日)、名古屋市科学館で開催されます。申し込みは6月30日までに。用紙は科学館まで請求してください。

 合わせて、山田さんの新たな構想の説明がありました。
 科学の祭典などで、理科に興味を持った子ども達に、存分に実験ができ、理論を討議し、計算できる環境を与えられる、スーパーサイエンスクラブ(仮称)を科学館に作っていきたい。
 実現までには、様々な壁があるかもしれませんが、頑張ってください。

本の紹介
(山田さん)
 科学館の山田卓さん(同じ苗字ですが本人ではない・・・・)が本を出しました。
 「星座カード」です。見開きになっていて、そのまま空にかざすと実際の星の配置になっています。
一般書店では手に入らないと思います。科学館まで申し込んでください。

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