2002年5月11日の例会の記録の第3ページです


リコーダーは開管楽器?
(山岡さん)
 リコーダーは開管楽器といわれていますが、開管の理論
   f=V/2L (V:音速  L:管長)
 の通りの振動数の音が出ているのでしょうか。

 調べてみると、開口端補正をたくさんとるとまあまあいい値が得られます。でも高いほうの音階は、穴を半開きにして音を出すなど、長さだけでは理解しにくくなります。
 
 そこで、オカリナ様楽器と考えてみようというわけです。写真のように、吹き口にずんどう容器をつけて穴をあけると、穴の位置に寄らず、穴の数で音の高さが決まることがわかります。リコーダーもこの様な楽器では、と考えてみようということです。

 管をヘルムホルツの共鳴管の容器と考えてみると、振動数は開口の面積の平方根に比例しそうです。計算してみると、実際との一致度はかなり低いです。やはり、この考えは無理・・・・?。
 
 トロンボーンのような笛もつくってみたそうです。
 こんな楽器ないよなー。
 ひょっとしたら新しい楽器として売り出せば・・・・。
 本人の出す音は演奏するレベルを十分下回っていました・・・・(^^;) 
 

人力エキスパンダー
(清水さん)
 岐阜の物理サークルで、広島の土肥さんが発表されたものを改良。材料は100円ショップで調達。大人2人で引っ張っても、簡単に勝てます。定滑車、動滑車という区別ではなく、仕事の原理で考えれば当然の結果。力と仕事を考えさせるには最適な教材になりそうです。

バイブレータを使って見る分子運動
(清水さん)
 100円ショップで買ったバイブレータ。体をほぐすにはとても・・・・、ですが、実験道具としては安くて結構なもの。
 BB弾と錘を入れた箱を、両面テープでバイブレータにくっつけます。スイッチon。
 ブラウン運動が見られます。工夫次第で分子運動の現象がいくつかできそうです。


紙蛇進化論
(清水さん)
 紙テープで作る紙蛇。摩擦の教材としても、小さな子にはおもちゃとしても楽しいものです。この紙蛇の進化をみてみます。
 最初はもちろん一本。
それが2本の組み合わせになり、3人が一度に体感できる三つ又になり、・・・・・
 その進化の過程を見てください。
 
 最近、先祖がえりか新たな一本の紙蛇が登場しました。ただし双胴。この分ゆるめる距離が増えたようです。
 やがて、紙哺乳類が生まれるかも!

進化形一同勢揃い
第二進化形 第三進化形

第四進化形 第五進化形
第六進化形
第七進化形 第八進化形 最新形

プロペラ機はどっちに動く?
(堀田さん)
 ゴムひもの両端に大きさの違うプロペラをつけて、ゴムを同じように巻きます。(ゴムひもの中央は機体に結んでいます)
 プロペラを回転させて床に置くと、機体はどう動く?
 
 羽の仕事率の問題と考えていいようです。
 答えは皆が考えたとおりになりました。

 やってみてください。

強力磁石で釘を浮かす
(林さん)
 クリップを浮かすことで磁力の性質を説明することがありますが、このフェライト磁石なら釘も十分浮かせられます。材料が進化すると、実験材料も変化していきます。


リニアモーター
(林さん)
 強力フェライト板磁石を並べて、リニアモーター。2本の平行銅棒やHOゲージに電流を流すとアルミ棒が力を受け転がっていきます。
 
 今度は、坂にして、平行銅棒に検流計をつないで、アルミ棒やアルミ缶を転がしてやります。
 発電するはずですね。でもほとんど流れません。手で抑えながらすばやく動かしても、ほんのわずかな電流が流れるだけです。
 
 誘導電流でブレーキがかかることは考えられません。(教科書は何を書いているのだ・・・!)

 それより、渦電流が起きてアルミ棒などはブレーキがかかります。
 
 太さのない仮想の物に起こること(入試問題など)が解けても、実際に起こることは予測できませんね。
 

ラップとストッキングで表面張力の形
 (林さん)
 管の上蓋と下蓋をとり、サランラップとストッキングで蓋をします。これを水に入れて引き上げると・・・・。
 写真のように真ん中がへこんだ形になります。
 下のストッキングも真ん中がへこんだ形になります。表面張力で説明できそうですが・・・。
アルミ缶教訓茶碗
 (林さん)
 アルミ缶の上蓋をはずし、サイフォンをつけて教訓茶碗のできあがり。
 でも、アルミ缶の下蓋はかなり湾曲しているので、面白いことが起きます。
 
 簡単にできますのでやってみてください。

カラーテレビを回折格子で見る
(川田さん)
 回折格子で電球を見ると連続スペクトルが見られます。ではカラーテレビを見たら何が見えるでしょうか。
 カラーテレビはいろいろな色が出ていますが、いずれもRGBの3原色でつくられていますから、連続スペクトルではなく、RGBの3色しか見えないのでは・・・・。
 予想通り、3色のみが見えます。
 
 色の成分を考えさせる面白い教材になりそうです。


金箔を通して見ると
(川田さん) 
 懐中電灯の光を金箔を通して見るとどう見える?という質問です。
 いい金箔が必要ですので若干お金がかかる(?)実験ですが
やってみると、青っぽい光が見えます。

超音波を聴く
(近沢さん)
 清水さん製作の超音波変調器(バットディテクター)で聞こえる、コウモリの音などいろいろなものの超音波を録音で聞かせてくれました。
 実物では、超音波モーター、超音波距離計、虫撃退器。


 このコウモリは標本です。


超音波モーター

超音波距離計

虫撃退器では、残念ながら、いい超音波(?)は聞こえませんでした。

蝶の模様は蝶にしかわからない
(近沢さん)
 紫外線で見ると、蝶の羽の模様は違って見えるとのこと。そこで、ブラックライトで蝶に紫外線を当ててみました。
 でも、何の変化もありません、・・・・・・・
 
 よく考えてみると、私たちは紫外線を見ることはできません。蝶が見ている羽を見るには、紫外線が撮れるフィルムやビデオカメラで見なければならないようです。
 蝶の本当の姿は見えなかった・・


ブラックライトを蝶に当てる。

振動を利用した動くおもちゃ
(杉本さん)
 振動モータで床板を振動させ、線路上の列車を動かすというおもちゃ。振動でブラシを動かす原理をうまく利用したものです。
 ボタンで逆走させられます。逆走の仕組みわかりますか。
DNAストラップ
(杉本さん)
 大場先生のDNAモデルのストラップ版です。2重螺旋がひもでできます。アクセサリーにぴったり。 

波の説明
(臼井さん)
 波の位相や干渉における位相の問題はよく聞かれるものです。普通に説明してもなかなか理解させられないので、作ってみました。
 波長が、赤白1組分の長さであること、角度によって山と山が重なる場合と、山と谷が重なる場合とがあることなど、黒板での話だけより理解度がアップしたようです。
 ついでに、半波長が半円で書いてあるので、半円は中心角がπ、位相でもπとなり、位相がちょっぴりわかってくるようです。
(左)ヤングの実験で、2つのスリットからの光が弱めあう場合。






(右)ヤングの実験で、2つのスリットからの光が強めあう場合。

蛍光灯に高電圧をかけると
(臼井さん)
 蛍光灯に高電圧をかけると光ります。
 交流電圧を400Vぐらいかけると光りだしますが、光り出すと電圧がぐっと下がり50Vぐらいになります。
 かける電圧によって、蛍光灯内光の縞模様が現れます。この縞模様はどうしてできるのでしょう。身近なものでも面白い現象がたくさん現れます。

放射線について
(井階さん)
 1999.9.30に発生した東海村JCOでの臨界被爆事故で犠牲となった大内 久さんと東大病院救急部医療スタッフのドキュメンタリーの紹介。深夜に放映されたので見なかった人がいるのでビデオを用意しました。ぜひ見てください。
 
 X線の発見者レントゲンの伝記はあまりありません。青柳泰司さんの書いた本がお勧めです。放射線について無知だった初期の科学者たちが、今から見ると危険極まりないことを平気でやっていた記録でもあります。
 実験中にX線で生徒の手を被爆させたという事故も最近ありました。放射線についての最低限の知識はもっていましょう。





車輪による屈折の説明
(鈴木さん)
 台車を、ハンカチに斜めに走らせると、進行方向が曲がる(屈折する)というように、屈折の原理を力学的に説明することがあります。しかし、4輪が独立して動かないとうまく曲がりません。写真のような軸でつながっていると、うまくいきません、というお話。

電子の染み出し
(林さん)
 前回の話を補強する結果の話です。
 フィラメント(−)とアルミ箔(+)に電圧をかけると、2極真空管のように電流が流れます。すなわち、陽極電圧に応じて電流が変化します。
 フィラメント(+)とアルミ箔(−)に電圧をかけるとアルミ箔が3極管のグリッドのような働きをして、電流を妨げます。
 つまり電球のガラスがあってもなくても、予想されるように電流が流れるのだから、確かに電子はガラスを通って染み出している、というわけです。

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