2003年5月10日(土)惟信高校での例会の記録です。

 恐れていた戦争が起こってしまいました。最新の技術を使って短期に戦争を終わらせたのかもしれませんが、
国際的な合意のない戦争が1国の意志だけで行われうる、としたら、防衛のため各種兵器を持とう、と考える国
や組織が増えていくような気がしてなりません。人類の知恵の結晶である科学技術で人々を効率よく死滅させ
るのは何とも悲しいことであり、皮肉なことであります。
 私達が子供たちに科学を学んで欲しいと思う理由の1つは、科学的な、合理的な思考こそが危機に対して冷静
な行動を産むと信じているからです。
 そんな思考ができる子供たちを育てるために知恵を絞り続けましょう。


モーターいろいろ2
(川田さん)
 名古屋市科学館の先進科学塾の講師を務めます。その講義につかうモーターです。
 
 まずは直流モーター。コイルは0.5mmのエナメル線を60回巻いてあります。回転軸を立てることで摩擦を減らしました。そのかいあって電池1個と磁石1個で回るようになりました。電流はコイルが磁石の近くを通るときのみ流れます。
 この大きさだとしまって置けないのでインテリアとして飾るとよい、とのこと。見栄えするのかなあ・・・・・

電流が流れるのは接触しているときだけ
1点で支えています。
 次は誘導モーター。直行するコイルに位相のずれた交流電流を流すことで回転磁場をつくり、回転子に渦電流を引き起こし回転させます。片方のコイルにコンデンサーやコイルをつなぎ他方と位相をずらします。
 回転磁場の様子は、磁針を中に入れることでよくわかります。針がびゅんびゅん回ります。
 60Hzの交流ですから60Hzで回ると思われますが確かめてみるにはどうすればよいでしょうか・・・・・・。
 塾生一人一人にスライダックを持たせるのは無理。
 そこで市販のDC電源を分解してトランスを取り出しました。端子が4つほどあるのでAC100Vから4種の交流電圧を取り出せます。(低電圧です)
 これならトランスを購入するより安価ですね。








市販のDC電源
分解して取り出したトランス
 次はフランクリンモーターです。
 これも、高電圧装置を一人一人が持つのは難しいので、発電棒で静電気を起こして回します。
 準備が行き届いていますね。






先進科学塾
(林正さん)
 川田さんと同じく先進科学塾の講師を務める予定です。講義は夏休み。一人でも多くの学生に
とことん科学に付き合ってもらいたいと考えています。参加者大募集中です。
 科学好きの学生にぜひ参加するよう勧めて下さい。
 対象は高校生。申し込みは下記へ
 
 refresh@ncsm.city.nagoya.jp


木馬
(加藤さん)
 北海道を旅行中、「デメーテル展」という催しに参加したときにあったものです。
 木馬にのり上下運動すると、木馬が前進する、というもの。どんな仕組みになっているのか、設計図を取り寄せようと努力しましたが未だ成功せず。

 議論の結果、足のところに逆転防止のカムのようなものがあって、重心の移動で前進するのではないか、ということになりました。
 それならスケートボードのようなものですから台車に載ってうまく重心の移動をすれば前進させられるはず、ということで実践。ちょっとこつがいりますが、前進できます。逆転防止の仕組みがあれば、ラフな動きでも前進するでしょう。
 前進ついでに、回転ではどうか、という話になり、テレビ台の上で実験。
 これも見事に一方向に回すことができました。
 摩擦と運動量保存を巧みに利用していることがわかります。人が乗れる台車
回転テレビ台

電磁気集中討議
(加藤さん)
 8月23,24日に電磁気集中討議を行います。今回は電磁誘導、電磁波、モーターなどを中心に議論をしたいと考えています。
場所は静岡県静岡市清水。
 6月いっぱいで申し込みを締め切ります。
 申し込み希望者は下記に連絡してください。

   k.kato@hw.tnc.ne.jp


イギリスの科学教育から何を学ぶのか
(加藤さん)
 磯崎哲夫さんの上記表題の論文紹介です。



波のからくり実験器
(前田さん)
 前田さん久々のビッグ装置です。下の柄を回すことで右の写真の各部分が上下運動をします。隣同士は上下運動の位相がずれており全体として波ができます。回転は滑らかで美しい動きをします。
 よくできた作品は美しさを感じさせます。
 黒い板で覆われた部分が動きの仕組みの秘密ですが,どういう仕組みか創造できますか。



 
こういうカバーをすることで、各点は単振動をしていること、位相が同じ点、180度ずれている点などがよくわかります。

 こちらは波長という量が、位相の同じ点までの距離である、
ということを理解するためのカバー。
 工夫が多い(覆い)!ですね (^^;

反磁性磁気浮揚
(林さん)
 横浜物理サークルの右近さんの論文の追試です。グラファイトの柱の間にネオジム磁石をいれ、フェライト磁石を外側におくことで、確かにネオジム磁石は浮きます。
 
 この場合は、ネオジム磁石が左右の磁石から受ける力と重力がつりあっていると考えられます。
 外側の磁石の位置がうまく浮かせるこつです。
 
 鉛直方向にも浮かせられます。
 この場合は、重力とネオジム磁石が上の磁石から受ける力がつりあっています。
 
 いずれの場合も、グラファイトが反磁性であることで、上下あるいは左右の釣り合いを生み出しています。

 反磁性を目で見る実験といえますね。
 この磁石を何らかの方法で任意に動かせたら・・・きっと面白いものができそうな気がします。
 
 浮揚したネオジム磁石に鉛筆の芯を近づけると、磁石が吸い付けられることを林さんが実験中に発見。鉛筆には黒鉛が入っているのだから反磁性のはずなのに・・・。
 
 鉛筆の芯にネオジム磁石を近づけると、何と吸い付く!
 鉛筆の芯は混合物のせいで全体としては常磁性を示すのですね。

四角引っ込み思案
(飯田さん)
 岐阜物理サークルで発表されていた四角い引っ込み思案です。4辺のどれを引いても伸びていた糸が引っ込みます。
 仕組みは右の通り。
 
 蓋を開けても紐がない! なんて事が起きたら本当にびっくりするでしょうね。そんなのできないかなあ。

どっちが速く落ちる?
(堀田さん)
 ネオジム磁石をアルミパイプに落とすと、ゆっくり落ちてきます。アルミパイプに渦電流が生じ、これにより磁石が上向きの力を受けるためです。
 では、3個のネオジム磁石をくっつけたかたまりと1個のネオジム磁石ではどちらが速く落ちるでしょうか。
 
 悩みますね。実験してみてください。
 

万能測定器
(田中さん)
 CPU内臓の万能測定器を作りました。大型LEDで大変見やすいです。アタッチメントをつけることで、速度、加速度、音速、周期、温度等たくさんの量を測定できます。
 使い方は工夫次第です。
 
 この測定器を製作しませんか、というお誘いです。
 費用は参加者数によりますが大体2万5千円ぐらい。
 8月中に完成させる予定です。製作希望者は下記に連絡してください。

 dentyu@mc.ccnw.ne.jp
 

  [次頁]