2004年7月11日(日)愛知工業高校での例会の記録です。

 例会の日が参議院の投票日と重なってしまいました。例会の参加者は皆、投票をしてから参加しました・・・と思います。
 科学知識の基礎は、学校における教育に負うところが大きいわけですから、教育制度を定める政治のあり方と無縁であることはできません。未来に向けてどのような科学教育がふさわしいか、高い次元で議論ができる政治家を選びたいですね。
 今回は大型の装置を持ち込む方が多く、なかなか真似ができないのが少々悩みです。

濡れた路面の制動距離
 (清水さん)
 路面の状況によって車の制動距離が変わることを、ミニカーを使って簡単に見られる装置です。

 ミニカーの車輪を接着剤で固定し、写真のような振り子を利用した発射台から打ち出します。
 
 一般に、滑らかな面の上では水に濡れると制動距離が長くなりますが、木の上では逆に短くなります。
 100円玉でも同じでした。

 摩擦って複雑ですね。
           

ゆうれい試験管
(船橋さん)
 釜鳴りは大きな管を使いますが、これは試験管を使うミニ釜鳴りです。インターネット上で見つけた面白い実験です。

 試験管に硫黄とスチールウールをいれ加熱します。硫黄が融けて沸騰しだすと、スチールウールの鉄と反応し出します。すると音が出だします。

 硫黄がなくても温度差ができれば音が出るのでは、という意見が出て、早速実験。試験管の底を割って(ワイルド!!)
加熱。
 でも音は出ず。
 
 やはり硫黄とスチールの反応が必要ということになりました。

 本家釜鳴りは、管内の金網を温めることだけで音が出るのに・・・・・。

参考
http://members.jcom.home.ne.jp/kobysh/experiment/No2/No2.html

浮上式リニアモーター
 (林 正さん)
  L型アルミを滑走体にして送風機からの空気で浮上させ、強力コイルを使いリニアモータ滑走体を作りました。
 なにしろ大きな装置になっているので、全体を見るだけでも大変。

 自作の滑走台もL型アルミ材で作りましたが、空気漏れが起こり今日はやや不調。
 そこで市販の滑走台を流用。うまく滑ってくれます。
 穴の大きさや位置など、さすが高価なものだけのことはあると皆感心。

 モーターの心臓部で滑走体に一定の力を加えます。 一定の時間、力を加え続ければ力積を、一定の距離、力を加え続ければ仕事を滑走体に与えたことになります。
 ビースピーで滑走体の速度を測り、加えた力積や仕事の量と比較します。
 
 手動にしてはいい値が出ています。
                
 

 滑走体に力を与える加える心臓部

 制御装置。手動なところがいいですね!!

 送風部。

 滑走体。貼り付け部分で速度を検出します。

 うまくスイッチを扱うには熟練の技が・・・・・

力積を測るには正確な時間から。

ビースピーで滑走体の速度を測ります。

リニアモーターカー
 (林 熙さん)
 強力コイルを12個も使った贅沢な(?)リニアモーターです。
 制御装置も複雑になっていきます。

 滑走体は3mmの厚さのアルミ板をつけた4輪車。

 8個のコイルで加速し、残りの4個でブレーキをかけるのでレールから飛び出しません。これはうまい!

 4輪車がどのくらいの力を受けるか、ばねばかりで測ってみたところ、約1.5N(150gw)。
 4輪車の質量は300g程度ですので、約0.5gの加速度で加速します。

Image Intensifier を用いたヤングの干渉実験
 (井階さん)
 前回の例会で発表した「光子の裁判」実験装置を、授業で使ってみての報告です。
 右図は、赤(625nm)、橙(605nm)、黄(587nm)、緑(558nm)、青(470nm)、紫(395nm)のLEDの光を生徒たちが測定した結果を表にしたものです。
 横軸が縞模様の間隔の理論値。縦軸は生徒たちの測定値。
 測定値が理論値より大きめに出ている傾向が見られます。なにか原因があるのかもしれません。

 生徒たちの感想の一部です。
      アバウトに読んだようで正確な値が出て驚いた。
      干渉縞の数を大きく取って正確に読む工夫をしたい。 
      干渉縞は意外にはっきり見えた。
      粒がたまって縞になる様子がよくわかった。
 
 

 「光子の裁判」実験装置の概念図

小・中・高における印象に残った理科授業と先生について
 (井階さん)
 愛知教育大学理科教育講座 牛田憲行教授の調査の紹介です。教育大の学生913名に聞いたアンケートのまとめで、全部で128ページに及ぶ大部の資料です。
 昨年のこの時期にも紹介してもらいましたが、今回は全員に今年度の資料を配布しました。
 子供の心に残った授業をここまで詳しく調べたものは例がないのではないでしょうか。
 全部読むのには時間がかかりますが、ぜひ参考にしたいと感じました。

リモネンについて
 (井階さん)
 発泡スチロールをリサイクルするにはいろいろな方法があります。現在、いろいろな会社でその方法を競っています。
 その方法の一つに、柑橘系の植物油であるリモネンを使って容積を小さくする方法があります。

 実際、リモネンを発泡スチロールにかけるとみるみる縮んでいきます。
 
 リモネンに発泡スチロールをたくさん溶かし、その液をスチロールのペレットとリモネンに分離するという方法で再利用するそうです。

 教室で全体の流れを再現できれば、環境教育の良い教材になりそうですね。

大型アクロバットおじさん
 (山岡さん)
 おなじみのアクロバットおじさん。商品名「SPORTS MAN」。2つの磁石と足元の回路により、複雑な動きをします。

 このおもちゃの大型装置を作りました。大きいと動きに迫力がありますね。

 大きくなった分、磁石を動かすための回路がやや複雑になったようです。
 
 磁石とコイルの距離、磁石と磁石の距離、人形のバランスなど試行錯誤で決めていくしかなかったそうです。

 作ってみて初めてわかることですね。
 
 色でも塗って人形らしくすると良かったですね。このままだとアクロバット骸骨のような・・・・・。
 
 


垂直風洞
 (伊藤さん)
  垂直な風を送り出す、垂直風洞を作りました。
 材料は、100円ショップで購入した物品(ケーキ作り用のふるい、アルミのゴミ箱、プラスチックゴミ箱、カゴ)とパソコン用ファンです。

 カエデやマツ等の種子は、翼果と呼ばれていて、回転しながら落下します。
 下から風を送ると、これらの種子はどうなるでしょうか。                          

装置の全景です。
青いバケツの底にモーターがあります。

 筒に詰めたストローがポイント。
 モーターからの風を整流し定常流にします。
 

  風洞の中に翼果を置き、風を送ります。すると翼果は回転しだします。そしてついには飛び上がります。
 まるでプロペラ一本のヘリコプター。
  みていると自然の造形の妙になぜか感動してしまいます。
  紙で作ったコピーの種でもくるくる回転して飛び上がります。
  実験室に1台欲しいですね。

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