2004年10月16日(土)愛知工業高校での例会の記録です。

 今年の夏は大変多くの台風が上陸し、各地に大きな被害をもたらしました。
 10月になっても、勢力が衰えないままで上陸するのですから、よほど海水温が高いと思われます。
 今年限りの出来事なのか、それとも来年以降も多くの台風が勢力を保ったまま日本に接近するの
かは、地球の温暖化を判断する一つの材料といえるでしょう。
 人間の活動が、地球表面の大気や水の循環にまで影響を与えるようになったとするなら、それらが
もたらす長期的な結果を正しく予測し、合理的な対処法を考えていかなければなりません。そのため
には、科学知識や科学的な判断が絶対に必要だと考えます。
 未曾有の問題に対処しなければならない子孫たちに、今持ちうる限りの知識を伝えていくのは、現在
の私たちの義務といえるのではないでしょうか。
 更なる研究を進めていきたいと思います。


アクロバット人形
(臼井さん)
 前回の例会に山岡さんが発表した大型アクロバットおじさんをつくってみました。ちゃんと人形の装飾までされています。
 針金を芯にしてサーチコイルとキックコイルを重ね巻きしてあります。

 主磁石と人形についている副磁石の距離が近いので勢いよく動いていないと反対側へいけないため、独特の運動をします。

 頭についている電池は重りです。


アクロバットおじさんの大型化U
(山岡さん)
 前回よりもっと大きなアクロバットおじさんを作りました。回路は臼井さんのものと同じです。ただキックコイルにはトランスの廃品を使っています。
 科学の祭典に出品しましたが好評(?)だったそうです。大きさは右のアクロバットおじさんと比較すればわかりますね。

 こちらはおじさんというより、やはり骸骨という方がふさわしい。
 本人曰く、「下手に飾るより中身が見えることが大事」。
 
 見栄えは臼井さんの人形の勝ちですね。

大電流装置
(臼井さん)
 大電流を流す装置をつくりました。コイン飛ばしも、鉄の磁化もできます。
 コンデンサに整流した電流をため、サイリスタスイッチで一気に放出します。

 

装置全景

充電量を見るメーターまでついてます。
 
  スイッチON                    1円玉が跳びます。

  サイリスタ3本並列で100Aをコントロール。

消磁の問題
(臼井さん)
 自作のガウスメーターです。廃品のメータを使って磁化の定量測定を可能にしてあります。手前の基盤に磁場センサーのホール素子があります。
 先の大電流回路をつかって鉄板を磁化することができます。
 大電流でなくても、乾電池でもコイルで鉄板を磁化させることができます。ガウスメータで磁化していることを確認できます。
 (もちろん磁石でも磁化できます。当然ですね)

 磁化した鉄板を針先に載せると、ちゃんと南北を指します。

 コイル内はほぼ一様磁場です。

  乾電池でも磁化させられます。

 ガウスメータで磁化を確認。

 こうした実験をしているとき、磁化した鉄板に直流の大電流を流すと、磁化が消えることを発見しました。
 普通、消磁は交流を使って行いますが、大電流の直流でも消磁がおこるのです。

 早速鉄板を磁化して、その後大電流を流してガウスメータで確認。 確かに磁化は減少しています。
 今回の電流は小型バッテリーの直結ですから30Aぐらい・・・。

 発熱による消磁ではないか、という意見も出ましたが、触っても熱くない。
 さらに確認実験を続けることになりました。

風船天秤はどうなる?
(伊藤さん)
 2つの膨らませた風船を棒の両端につなぎ、重心を糸でつるします。一種の天秤ですね。
 ここで、片方の風船に穴をあけ空気を追い出した後、天秤はどうなるか、という問題です。
 ア 穴を開けた方が上がる
 イ 穴を開けた方が下がる
 ウ 水平のまま
 
 物理教師が集まる物理サークルでも意見が割れました。(私たちが力不足か、あるいは、この問題が本質的で優れた問題であるかのどちらかですね。)
 意見が割れると議論百出。
 みんな熱くなります。

 討論の後はだいたい意見が一致しましたが、皆さんどうなると思いますか?
 (ヒント:風船の中の空気は同体積の空気中の空気より重い。別の言い方をすると、風船の中の空気の圧力は1気圧より少し大きい)


立体写真
(伊藤さん)
 3Dフィルターというものをカメラにつけて写真をとると立体写真がすぐできます。
 カメラに合わせたものが必要ですが、1つあると面白いですね。
 デジカメなら、とった写真をコンピュータで処理して、立体視しやすい写真ができます。

 肉眼での立体視の不得意な人は、レンズを2個使ってみると、容易に立体視ができます

左右それぞれレンズを通してみると立体視しや
すくなります。

金属棒をたたくと
(川田さん)
 アルミの金属棒の中央を持って棒をたたきます。そのとき出る音と、棒の1/4のところを持ってたたく時に出る音とではどちらが高い音でしょう。

 面白いことに、縦方向(棒の方向)にたたくときは、中央を持ってたたく方が低い音になりますが、横方向(棒に直角な方向)にたたくときは、中央を持ってたたく方が高い音がでます。

 縦方向は縦波ができ、横方向は横波ができるのですが、縦と横で違いが起こるのは不思議ですね。
 たたいたとき棒にできる定常波の形について説明する川田さん。
 
 いきいき物理わくわく実験2の「ねむれん棒」、「投げてこすってドレミファソ」の記事を参考にしてください。

宇宙線を見る霧箱
(林さん)
 ドライアイスを使った霧箱は、放射線の講座などでよく作成されています。それでα線の飛跡を見ることができます。

 林さんの霧箱は宇宙線(ミュー中間子)を見ることができるそうです。

エチルアルコールを綿にしみこませてあります。
上部はサランラップでおおいます。

 エチルアルコールとドライアイスで−90℃ぐら
 いまで冷やします。白い塊がドライアイス。
 
 エチルアルコールとドライアイスで−90℃まで冷却できるので、容器内のアルコール蒸気の過冷却領域がかなり厚くなっています。このため飛跡ができやすく、μ中間子の飛跡も見えるのです。
 内部に白色LEDをつけてあるので、そとから照らさなくてもOKです。

 容器の周りに高電圧をかけることで、見える粒子の数がふえます。
 電気力で引き寄せられるので、見える粒子が増えるのでしょう。

 α線源を近づけてみましたが、確かにα線の飛跡も見えます。

 こんなに小型で宇宙線が見えるなんてすごいですね。



 周りの電線に高電圧をかけると、見える粒子
 の数が増えます。
  内部で光っているのは白色LED。

新しいアインシュタイン度チェック表
(奥村さん)
 アインシュタイン度チェック表のニューバージョンです。フルカラーです。
 物理室の廊下に貼ってあるそうですが、生徒が面白がってチェックするそうです。

 サークルメンバーはどのくらいの度合いか、興味深いですね。

カードマジック
(飯田さん)
 右の写真のようにカードを並べ、1から6までの好きな数字を言ってもらいます。
 例えば6。
 右から6枚目のカードを表に向けると赤の5。
 ここでおもむろに用意してあった「あなたは赤のカードを選ぶ」という紙を見せます。
 予言が的中した、ということになります。

 
 もちろんインチキです。
 相手が1といったら、今度は左から1枚目(つまりハートの5)を開きます。
 予言的中ですね。
 では2といったら?
 実はスペードの2の裏の模様は赤色なのです。(他は青色の模様)
 もうお分かりですね。 3を選んだら、右から3番目のカード、すなわちスペードの2。4を選んだら左から4番目のカード、すなわちスペードの2。
5を選んだときは・・・・・。もう説明はいりませんね。

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