2005年2月12日(土)愛知工業高校での例会の記録です。

 昨年の12月26日のインドネシアのスマトラ島沖の地震による被害とその後の津波の被害は大変大きなものでした。
 テレビなどで放映されるのは、映像を記録した方が生き残ることができた範囲の津波映像です。より大きな津波を見た人は、残念ながら映像を残すことはできなかったでしょう。
 海底を震源とする大きな地震は、津波を発生させる、という科学知識が、常識になっていなかったということが、被害を大きくした可能性があります。
 基礎的な自然科学の知識は、命を守るために必要不可欠といえるでしょう。私たちの研究は、国を超えた意義をもつようになっているような気がします。  

 2005年最初の例会は、愛知教育大学の牛田憲行先生の講演を聴きました。
講演の題は
 「小中高における印象に残った理科授業と先生について 愛知教育大学学生913名の生の声から何をくみとるか」
でした。講演の後の、参加者の記念写真です。
 


小中高における印象に残った理科授業と先生について
(牛田憲行先生)
 学生諸君が、小学校、中学校、高等学校でどのような授業を受けてきたのか、先生についても含めて、その率直な生の声を聞くことにより、教育現場での理科の様子がうかがえないだろうか。そういった問題意識から、1999年から理科研究の受講学生に対して「小中高における理科授業についての各自の感想」の調査を行ってきました。

○小学校理科の印象
  理科専門の先生の授業・実験がよかった。
  あやふやな説明、先生も理科が嫌いなのかなあ。
                           など
 小学5、6年生の先生が理科専門かどうかで大きく印象が違う。
 ○中学校理科の印象
 小学校よりも高度な実験に感動。
 わかりやすい授業。
 熱心な説明。
              など
 理科が好きになるかどうかは中学1,2年の授業にある。

○高校物理教師の悪印象の例
 ・物理の先生に授業中当てられて、みんなの前で解かされたけど「わかりません」といったら、「こんなもんわからんのか」みたいなことをいわれ、それ以来先生も嫌いで苦痛でした。
 ・教科書そのままの板書・自己完結の授業。
 ・公式のまま暗記させられた。公式ばかりで分けわからず。
 ・「公式を覚えるな」といわれたので覚えなかったらテストでたくさん公式利用が出た。
                   など
 

 盛りだくさんの話をしていただいて、残念ながらとても簡単にはまとめきれません。
 
 質疑応答のところで出た、「愛教大の学生だけでなく、理科系大学、文科系大学で同じような調査を行ったらどんな結果が出るでしょうか」、という質問は、先生も含めて一同関心を同じくするものでした。              

あぶり出し
(林正さん)
 昔の(?)正月の遊びに「あぶり出し」というのがあります。みかんの皮をつぶして、紙に絵などを書き、炭火で暖めて絵を浮かび上がらせるというものです。
 これは硫酸(濃度0.3mol/l)を使ったあぶり出しです。硫酸溶液を筆につけて紙に文字を書きます。ドライヤーで乾かして、オーブンレンジで暖めます。
 見る間に、文字の部分が黒くなります。(化学の文字が浮かび上がるはずでしたが・・残念!)

 硫酸の脱水作用による紙の炭化現象ですが、こういう遊びと共に学ぶと印象が強く残るかも。



ミラクルミラーで見事な実像
(船橋さん)
 「楽しい授業」の高村紀久男さんの記事、ミラクルミラー(半球球面鏡)をつかった、触れない実像の確認実験です。
 半円を切り抜いた厚紙の裏にちび人形を貼り付け、ひっくり返してミラーの上に置くだけです。 見る方向を選べば、実に見事な実像が見えます。もちろん触れません。
 注: 厚紙とおよそ45度くらいの方向から見る。
    明るい窓や電灯を背にしてみる。
  
 
 船橋さんは、ミラクルミラーの変わりに、中華用のお玉を使ってもできることを発見。
 小さいアクセサリーが浮かんで見えます。
 光が暗いので(表面の反射率が悪い?)うまく光を当ててやるとよく見えます。
 これならどこでもできそうですね。

コリオリ力考
(川田さん)
 昨年末、長年の念願だったキリマンジャロ(5、895m)登山を果たした川田さん。
 写真は、頂上付近の氷河を写したものです。
 
 旅行の途中、赤道上で奇妙な証明書を手に入れました。
 赤道の北側と南側で、穴に落ちる水の水面の渦の巻き方が違うという科学(?)的な確認をした証明書です。
 水は、赤道上では回転せず落ち、北側では左回りのうずで落ち、南側では右回りのうずで落ちたそうです。
 
 どうもあやしいというので、水桶を使って実験。
 左回りの渦を作りましたが、穴をふさいでいた覆いの取り方などで回転方向は変わりそう。

 3ドルだったそうですが、マジックを見た代金と考えれば安いかも・・・・。 

ブーメラン飛行機
(児島さん)
 紙飛行機を折り、強く上に飛ばすと、何とブーメランのように手元に戻ってきます。
 投げ方に慣れる必要がありそうですが、面白いですね。

  児島さんのホームページからこの飛行機のデータをとれます。
http://www.babu.jp/~kojima/asobi/kamidebu-meran.htm

鉄の響きは8の字コイルで聞こう
(清水さん)
 岐阜の石川さんの工夫の紹介です。 
 磁石とコイルの上で、鉄でできたものを振動させると、コイルに振動電流が流れます。これをアンプで増幅して聞くと、とてもよい響きを聞くことができます。
 原理は、磁化された鉄が振動すると、磁力線の分布に変化が起こり、振動に応じた電流がコイルに流れるためです。
 8の字形のコイルにしてあるのは、雑音を抑え効果的に発電するための工夫です。 
 スパナ、定規、ハンガー、釘等試しましたが、釘の音色が一番よさそうでした。
 本当に8の字型が効果的かを確認するために、円形コイルの中で振動させて見ました。
 振動がなくてもアンプから雑音が聞こえます。
 8の字型コイルでは、雑音は聞こえませんから確かに効果大です。

投げ込み教材運動と「いきいき物理わくわく実験」
(飯田さん)
 理科教室2004年12月号の記事の紹介です。
 投げ込み教材の運動の歴史から、生徒にとっての意味までをまとめた力作です。

愛工に残る装置1
(井階さん)
 サークルの会場でもある愛知工業高校は歴史のある学校で、由緒ある装置がたくさん残っています。
 これは蒸気機関の模型です。
 ゴム管で空気を送ると。ピストンが動き、車輪が回ります。
 現実の蒸気機関は蒸気を送り込むわけですが、断面で動きを見ながら、装置の仕組みを理解できます。
 メンバーの誰も見たことがないのですから、相当古い。

 骨董価値もあるかもしれませんね。

愛工に残る装置2
(井階さん)
 2003年9月27日の例会の記録でも紹介したサイレンです。

 井階さん、何とか鳴らそうと修理を試みましたが、空気漏れがひどく、うまく鳴りません。
 きちんと動作していたときは、回転数が読み取れ、音の振動数がわかるようになっていたと思われます。

 この装置も誰も見たことがないものです。
 昔(?)の人も、結構いろいろな装置を作って、わかりやすい授業にしようと努力していたことがわかりますね。

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