2005年12月3日(土)愛知工業高校での例会の記録です。

 姉歯建築士がマンションやホテルの設計図の構造計算を誤魔化し、それをもとに少ない鉄筋で安全を装った建物が建てられたとして、問題になっています。
 一級建築士の資格をもつ人であれば、自分の行為の結果がどんな危険をもたらすかについて自覚はあったと思いますが、安全性を無視して金儲けに走ったことは技術者としては失格といえるでしょう。
 知識だけでなく、知識をどう使うか、何のために使うか、ということを考えさせるのも大事な科学教育かもしれません。


ダイオードを使った赤外線検出器
(伊藤 昇さん)
 津島高校のSPPで名古屋大学佐藤紳司先生の指導で製作したものです。
 赤外線がダイオードに当たると温度がわずかに上昇します。ダイオード両端の電圧は温度によって変化するので、この電圧を測ることで赤外線を感知する検出器を作れます。

 2つのダイオードを使うことで背景の赤外線の影響を取り除くことができます。

 

 このホーンで赤外線を集光します。
 中心部にダイオードがあります。

 箱の窓にホーンをつけると電圧が変化します。
 光の強弱で電圧値が異なってきます。

 ポリエチレンシートで覆うと 
 可視光の影響をなくせます。

地球磁場による電磁誘導
(杉本さん)
 かさに導線を巻いてコイルを作り、かさの開閉で地球磁場による電磁誘導をおこそうというものです。
 今回の工夫は、50芯のケーブルをコネクターにつなぐときに、片方を1つずらしてつけることです。こうすることで50巻きのコイルが簡単にできます。
 大幅な軽量化!

 大型検流計を使えば生徒全員一度に見ることができます。

 地磁気に垂直な方向に傘を開くのがいいので、会場の磁場の向きを測ってみました。
 俯角が結構大きいことがわかります。
 

リニアモーター
(川田さん)
 4つのコイルの位相を90°づつずらすことで進行磁場を作り、渦電流でアルミの板を動かします。
 コイルは1mmエナメル線400回巻き、Cは125V、125μF、交流電圧は40〜50V。
  






レインボースコープ
(船橋さん)
 「たのしい授業」11月号の佐竹さんの記事を基に作りました。
 筒の片側にホログラムシートをはり、反対側には穴をたくさん開けます。
 ホログラムシートを2重にして回転できるようにします。
 電球や蛍光灯を見ると美しい模様が見えます。
 LEDの単色を見ると単色のみの模様が見えます。
 光の万華鏡ですね。


 蛍光灯を見ました。

 白熱電球を見ました。

 LEDの光を見ます。

手作りバンデグラフ
(柘植さん)
 メイトウサイエンスの柘植さんが、手作りバンデグラフの作品を説明してくれました。商品名は「静電気発生器製作キット」です。
 塩ビ、ゴムなどで製作し、手回しで発電します。
 容器にペットボトルをつかったり、アクリル円筒を使ったり、いろいろありますよ。

 先端の球に蓄電すれば蛍光灯もつきます。

 細長い紙が放射状に開きます。
  手作り「はく検電器」もあります。箔の代わりに帯電テープを使ったり、三角フラスコを使ったりして安価に仕上げています。

 購入希望者はメイトウサイエンスまで連絡してください。
 http://www.meitouscience.jp/

実験授業の報告
(奥村さん)
 はじめは明石書店から出版された本の紹介です。「授業づくりでかえる高校の教室 理科」(¥1800)。内容は奥村さん他の理科授業の実践報告です。
 この本にも一部書いたのですが、現在は実験授業の新しい方法に挑戦中です。

 普通は実験の授業では、実験の手順やデータ処理について説明してから始めるものですが、今は目的のみ説明して、方法や解析方法については説明せず生徒たちに試行錯誤させているとのことです。
 何をやったかが判る(再現実験ができる)レポートに高評価を与えます。 
 実験目的を達成することより、目的にいたる過程を重視する実験授業といえます。生徒たちは議論しながらいろいろな方法で目的を果たそうと考え始めるそうです。
 奥村さんならでは、の方法でなかなか真似できませんが、生徒たちがいきいき考え始める素晴らしい方法だといえますね。

ガスコンロ
(臼井さん)
 家庭でガスコンロの修理を頼まれて、構造を探求しました。
 
 安全弁が開いているとガスが供給される構造です。
 
 
 センター部分はサーミスタで、温度測定をしています。温度が上がると抵抗値が下がります。
 温度が上がりすぎると安全弁がしまるようになっています。(つまり空だきなどになるとガスが止まるわけです)
 脇にあるのは熱電対。これが温まると安全弁が開きます。
 温まらないとガスが供給されません。
 ガスコンロのつまみを、最初はしばらく火を出し続けなければならないのかの理由がわかりました。
(ココの掃除で直ることが多いようです)
 この熱電対にどのくらい電流が流れるかを調べてみました。
 μAの電流計では100μA、mAの電流計では5mAを指します。内部抵抗の違いで値は大きく食い違います。
 そこで、直流クランプメーター。
 線を直結して測ってみると100mA。 
 クランプメーターは内部抵抗0の優秀な電流計です。

 石炭と銅線でもやってみました。いろんな材料でゼーべック効果を確認できます。
 

 いろいろな探求の結果、見事ガスコンロは機能回復し、臼井さんは家庭での権威(?)を回復しました。

びっくりばたふらい
(伊藤政さん)
 紙と針金で作った蝶です。ゴムを巻いて本に挟んでおきます。
 本を開くと中から蝶が飛び出すという仕掛。
 ロマンがありますね・・・・

 針金と輪ゴムでできます。構造はゴム動力の模型飛行機と同じです。
 伊勢のお土産屋さんにも販売されていたそうです。

 新しい面白い形を考案するのもいいかも・・・・。
 蝶戦してみてください。
 

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