2006年5月20日(土)愛知工業高校での例会の記録です。 

 韓国ソウル大の黄禹錫(ファン・ウソク)教授が11個のES細胞をつくったとして今年5月に米科学誌サイエンスに発表した論文は、でっち上げだったとの中間調査結果が発表されました。(2005.12.25 )
 ノーベル賞の呼び声もあったようですから、韓国国民の落胆は大きかったでしょう。
 そんな中、今度は日本の最高学府、東京大学での論文捏造問題が持ち上がりました。
 遺伝に関わるリボ核酸(RNA)研究の第一人者である東京大学教授の論文が、実験の再現性を立証する事が出来なかったということで捏造ではないかと疑われた、という事件です。
 東大ばかりでなく、大阪大学でもありました。
 大学院医学系研究科の研究グループが、肥満になると量が増える特定の酵素の役割を解明したとして、米医学誌「ネイチャー・メディシン」に発表した論文のデータが、根拠のない不正なものであることがわかったという事件です。

 科学者ならいずれ不正がバレルことがわかるはず。どうしてこのような捏造を行うのでしょう。
 
 想像するに、巨額の研究費をつぎ込んだ研究が失敗に終わると、以後の地位とか研究費の割り当てとかで不利を被ることがあるため、何とか成果を上げたいとの願望が強かったのではないでしょうか。
 
 幸い(?)私達の研究は、自腹ですから、失敗しても不利になることはありません。(有利にもなりませんが・・・・・・)
 失敗から学ぶ姿勢があれば、失敗も立派な成果として役立ちます。捏造する必要もありません。
 
 研究の目的が、個人やグループの栄達になっていくことが、論文捏造の根源のような気がします。
   

スターリングエンジンはなぜ動く
(林 煕さん)
 大人の科学マガジンのスターリングエンジンを作りました。
 上に氷を載せ、手の上にもち、円盤を軽く回してやると、クルクル回り続けます。氷と手のひらの温度差を利用して回り続けるエンジンです。
 このエンジンの動きを理解するために、カルノーサイクルとして考えてみようというものです。
 説明を聞いても一度で理解するには難しい・・・・。
 構造は簡単なのに、動作原理は簡単ではないようです。

回り続けるコマ
(奥谷さん)
 前々回の例会で、24時間回り続けるコマが紹介されました。そして、前回の例会で、林さんがその仕組みを解き明かしました。奥谷さんも、大型の回り続けるコマをいくつか作成しました。
 使ったのは、ビデオデッキの回転ドラムなど。安定してよく回り続けます。
 
 手持ちの材料で工夫すれば、結構何でも作れちゃいますね。

 また、以前に購入していたナンジャイロというおもちゃも、同様の仕組みであることを再発見しました。(残念ながら、今は販売されていないようです。)
 

ジャイロカー
(奥谷さん)
 コマといえばジャイロ。
 ジャイロカーも作りました。
 モーターをまわさないとすぐ倒れますが、回しておくと倒れにくく、押してやると真っ直ぐ進みます。

 地球ゴマでもできます。

磁気浮上
(奥谷さん)
 フロッピーディスクドライブを分解して、写真のようなドーナツ型磁石を取り出しました。磁極シートを載せてみると、いくつかの磁区に帯磁されている事がわかります。

 この磁石をモーターで回転させ、渦電流によるアルミドーナツの浮上を試みました。
 
 やってみると写真のように
アルミドーナツは傾きました。磁石は右回転をしています。

 円盤の傾きが逆ではないかという意見が出ました。
 
つまり、図のアルミドーナツの右側は、磁極が離れていくのだから、異極が誘起され、磁石とアルミは引き合い、左側は磁極が近づいてくるのだから同極が誘起され、磁石とアルミは反発し合い、アルミドーナツは右下がりに傾くはずだという考えです。
 でも、実際には逆に傾いているのですから、どこかに間違いがあるはずです。
 ドーナツという形に原因があるのでは、という声には、右のような確認実験をしました。
 紙に一円玉をはりつけ、回転する磁石の上に置きます。浮いた1円玉は、わずかですが、ドーナツと同じように傾くことがわかりました。
 (1円玉が浮いていますから、磁石は右回転をしていることがわかりますね。)

 誰もうまい説明が浮かびません。(アルミは、1円玉は浮いているのに・・・・・)

 円形の銅版を回転させ、磁石を近づけても同じように傾く、という声も出ました。

 次回以降の宿題です。
 

 サーボーモーターを使った単振り子のパラメーター共振
(田中さん)  
 単振り子の長さを周期的に長くしたり短くしたりすると、単振り子の振幅がだんだん大きくなります。(これをパラメーター共振といいます。)

 図のような装置を作って、サーボーモーターの回転角を周期的に−30°〜+30°に変化させました。回転角の周期が、単振り子の周期の半分または4分の1になると、振り子の振幅がだんだん大きくなりました。確かに共振が起きています。

 表示兼モーターコントローラー。
 サーボモーターにおもりをつけ、これをブランコにつけました。
 モーターが動くとおもりが上下し、ブランコの有効長が変化します。この周期を変えて、ブランコでもパラメーター共振を引き起こすことができます。

 ゆれ出すブランコ

磁石による共振
(川田さん)
 磁石を金鋸の歯につけ、並べて立てておきます。片方を揺らしてやります。すると他方が揺れてきます。
 おなじみの共振現象ですね。(下の写真も同じ)
 
 でも、100円ショップの金鋸の歯ではうまくいかなかったそうです。材料の弾性が違うのでしょうか。
 
 同じように見えても、いろいろなことに使ってみると、見えない違いが現れてきますね。
 
   

坂道
(川田さん)
 坂道で台車を走らせ、板の端に衝突したとき、台車と板がくっつくようにマジックテープをつけておきます。
 さて、台車が坂を落下している間、衝突してから、板はどのように動くでしょうか。

 板の下のころは、摩擦を減らすための工夫です。

 摩擦が無視できれば、台車が坂を落下中は、板は台車と反対方向へ動き、衝突した後は全体が静止する、という結論になります。
 
 現実には摩擦がありますから・・・・
 さて、どうなるでしょう。
 
 台車の代わりに、水を入れたペットボトルでもやってみました。坂の下まで滑り落ちませんでした・・・・(笑い)

動く台車上での単振り子の周期
(川田さん)
 重めの錘をつけた単振り子を揺らし周期を測定しておきます。
 この振り子の枠を、写真のようにころの上に置き、容易に移動できるようにして振り子をふらします。
 さて、このときの周期は、先に測定した値と比べてどうなると思いますか。
 長くなる
 短くなる
 変わらない

 この問題を川田さんは、振り子の糸の不動点を考えることで解きました。
 

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