2008年5月10日の例会の記録の第3ページです
偏光について (井階さん) |
前回の例会の伊賀さんの「セロテープを偏光板で挟むと着色する理由」で刺激を受けてさらに調べてみました。 複屈折物質に入った白色光は、結晶構造に起因した、直交する常光線と異常光線に分かれて進みます。2つの光線にたいするこの物質の屈折率が異なるため、この物質を出るときの光線は2つの光線の重ね合わせで、入射光とは偏光面が異なってきます。 この偏光面の位相差δは、同一試料であれば、光の波長λの関数になります。 だから2枚目の偏光板を回すと、よく透過する光の波長は角度によって異なってきます。 |
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同一試料で、2枚の偏光板の角度が同じでも、試料の厚みが変わると入射光とは偏光面が異なってきます。 この場合の偏光面の位相差δは、今度は厚さ ΔZ の関数になります。 セロテープの厚みは1枚で0.05mmです。厚みによる色変化から次の式が成立していると考えられます。 δ=2π(Δn−ΔZ)/λ Δn=0.004 常光線と異常光線の屈折率の差 (参考)λ=589nm(Na D線)に対する値 水晶のΔn=0.009 方解石のΔn=0.172 氷のΔn=0.001 この場合も2枚目の偏光板を回すと、よく透過する光の波長は角度によって異なってきます。 |
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鉱物の世界では、このような干渉色の利用は常識のようです。鉱物の薄片に偏光をあて、透過光の色から鉱物を同定しています。 薄片の厚さと干渉色から鉱物を同定するための図表(干渉色図表)が作られています。 愛工にある高級な鉱物顕微鏡を見せてもらいました。 |
だんおりペット (山本さん) |
大人の科学に「段返り人形」がありますが、その仕組は見ただけではわかりません。 同じ原理で階段を下りる「だんおりペット」の記事を見つけました。 <参考文献>端平雄 「力学教材だんおりペットの製作」 物理教育 第52巻第1号 |
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ペットボトルを2つ接着して、中に糊のような粘性のある液体を入れます。 ボトルの中央に仕切りを入れてあります。これは液体が一度に流れないように流量をコントロールするためです。 次に、ボトルに針金を通し足を作ります。このとき、中心軸から1つは上側に1つは下側に通します。(これがうまく階段をおりるポイントです) |
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スムースに降りていかせるためには、足の大きさ、仕切りによる流量コントロール、階段の高さと幅など試行錯誤する要素がありそうです。 山本さんもうひとつ小型のだんおりペットをつくってありました。こちらはややスムースにうごきました。 簡単な原理で動くしくみの力学教材として役に立ちそうですね。 |
ゴムピタ吸盤 (伊藤さん) |
科学部の発表で作成したゴムピタ吸盤です。(奥) これまでよく使っていたのはゴムの厚さが3mmのものですが、新しいものはゴム厚5mmです。また、取っ手の部分裏側のへこみの体積を小さくして、わずかな変化で大きな圧力変化が起こるようにしてあります。 一生懸命引くと、吸盤がはがれることなく机が持ち上がります。 授業中に生徒に吸盤を引かせると、必ず向きになって引き離そうとする生徒がいますが、この丈夫な吸盤ならまず引き離せません。 |
火花放電による電波発信 (林さん) |
超小型誘導コイル(!)です。電磁石でスイッチを切り、このとき電磁石のコイルに発生する高電圧で火花放電が起こります。 両極に導体棒をつけると立派な送信機です。 ダイオードをつけたアンテナとクリスタルイヤホーンで聞くと、ガリガリという音で発信を確認できます。 (ラジオでも聞くことができます) 送信機のアンテナをはずすと音が小さくなりますからアンテナが働いていることがわかります。また、受信アンテナの向きで音の大きさが変化しますから、偏波の現象も確認できます。 簡単な装置ですから、生徒二人に1組(送信機と受信機)あると、耳で電波の存在を感じることができますね。 |
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超小型誘導コイル! |
アンテナをつければ立派な送信機。 |
傘ラジオ (林さん) |
傘の周りにコイルを巻いてアンテナに、柄のところにポリバリコンとダイオード、クリスタルイヤホーン。立派なゲルマニウムラジオです。 磁波を捉える構造になっているので、コイル面が放送局のアンテナの向きに垂直になるときがもっとも効率がよいはずです。 例会会場は鉄筋校舎の中でうまく聞こえませんでしたが、開けたところなら十分実用になるそうです。 電池もいらずのラジオで、雨も避けられるのですから、災害用にたくさん作っておくとよいかもしれませんね。 |