2009年12月12日(土)愛知工業高校での例会の記録です。

 政府の行政刷新会議による「事業仕分け」で、スーパーコンピュータや科学技術関係の予算に厳しい判定がなされて、科学者や大学関係者が、あわてて(?)教育や研究の重要性を訴えるというニュースが多く流れました。
 資源のない日本が、科学技術や教育に力を入れなければならないことは当然だと思います。しかし、予算をつければ大丈夫というわけでもありません。
 一度、これまでの予算をどう使ってきてどんな結果を生んだのか、限られた予算をこれからどう使うのか冷静に検討してみるのも大事かもしれません。そして、研究内容とその進展状況をもっと国民に説明する必要があるのかもしれません。
 学校教育の世界でも似たようなことが多くあります。従来から行われていたということだけが存続理由の行事や行動が数多くあります。予算の使われ方や教育活動内容など、一度ゼロベースで必要性を再確認することも大事かもしれませんね。

 小型熱エンジン? (前田さん  
 仏壇屋さんで売られている走馬灯用のセットで、熱エネルギーを回転運動に変換するエンジンを組み立てました。
 といっても、白熱電球にかぶせるだけですが・・・・。
 電球を点灯させると円盤がくるくる回ります。
 エネルギー教材としてシンプルで安価です!

 合わせて、「木のメリーゴランド」を紹介してくれました。
 ろうそくを燃やすと、上部の羽根が回り、建物内部の人形が回ります。原理は同じですね。
 何か心が癒される作品ですね。でも、家の中が煤で黒くなるかも・・・・・。

 床屋の時計 (前田さん  
 鏡に映すと正しく見える時計です。床屋さんで使われています。
 この時計を正面から見ると、どんな文字盤になっているかわかりますか。

 
 普通の時計を鏡に映してみると右のとおり。
 
 これが答。普通の時計を鏡に映したときと同じですね

 超音波で測る管の長さ (前田さん  
 塩ビ管をメジャーで測ります。140.2cm。
 管を床に立て、超音波距離計で測ります。140cm。
 0.2cmの違いは、距離計の持ち方によると考えられます。

 
 
 管を机の上において、超音波距離計で測ると、測定値は142.0cm。
 超音波の反射点は、管口ではなく、そこからやや外側にあることになります。開口端補正ですね。
 よく、開口端補正は管の半径の0.6倍の大きさになるといわれています。この塩ビ管の内径は4.3cm。この説による開口端補正約1.3cmになります。

 実際の開口端補正1.8cmはこれよりやや大きいですね。
 そこで、内径2.4cmの塩ビ管でも測定してみました。
 メジャーで測定:99cm
 床に立てて超音波距離計で測定:99cm
 管を机に置いて超音波距離計で測定:100cm

 今度も、開口端補正は、管の半径の0.6倍の大きさよりやや大きいですね。
 手元のシートで直径10cmほどの筒を作り、実測と比べると、今度は、管の半径の0.6倍で合います。
  反対側を塞いで測ると実測値と同じ65cm

  反対側を開放して測ると68cm
 不思議なことに、実測61cmの紙筒(直径は約5.0cm)で測ると、開口端補正が0になりました。つまり、開口の場合と筒を立てた場合が同じ値になりました。
 紙だと何か別の現象が起こっているのでしょうか・・・・。

 時間がかかるので本日の追及はここまでとなりました。
 開口端補正は、正確な値を見積もろうとすると簡単ではないようです。

 気柱の振動 (石川さん  
 今回の実験の装置の全景です。
 2つの木の箱は、片方にスピーカー(外に音漏れしないように密封されています)、底と出口にコンデンサマイクが圧力検知用に取り付けられています。
 2つの箱を並べて、箱内の空気の共鳴の状態を測定しようというものです。

 コンデンサマイクは圧力変化を感じますから、マイクの出力が大きいときは、その点は圧力変化が大きいといえます。1次元の定常波でいえば「節」になっているということです。
 
 低周波発振器の振動数を変えていきます。
 
 箱の長さは0.413m。音速を340m/sとします。
   
 このような定常波ができるとすると、f≒205Hz 

 2つを向かい合わせに置くと、隙間が狭いので下図のような定常波ができて両端の圧力は位相が180度ずれると予想されます。


 オシロで調べてみると、200Hz付近で、両端のコンデンサマイクの出力は大きくなり(共鳴状態)、確かに逆位相になっています。
 このとき中央部の圧力変化は非常に小さいです。
 

 真ん中が開いているが、200Hz付近で共鳴状態になる。

  両端での圧力状態。逆位相になっている。

  中央部と端の圧力状態。中央部は圧力変化は小さい。

  低周波発振器の振動数を200Hzから下げていくと、170Hz付近で両端のコンデンサマイクの出力は大きくなり(共鳴状態)、今度は同位相になりました。このとき、中央部の隙間では、空気の出入りが手で感じられます。外で聞こえる音も、このときは大きい音です。先の200Hz付近の共鳴のときは、外に聞こえる音は小さな音です。 
 いったい170Hzの共鳴はどういう状態なのでしょう。
 空気の柱としての振動状態ではなく、空気塊としての、立体としての固有振動状態なのでしょうか。
 共鳴状態の空気の動きを考えると、わからないことがまだまだありますね。 
 

 フライバックトランスで高電圧 (市川さん  
 フライバックトランスに発振回路をつないで高電圧を発生させています。
 放電距離から10kV程度はでているようです。

 12Vの電源で5〜6A 流れていますから、出力電流は数mA程度でしょうか。
 発振回路部分は、パワーFETを使ったコレクタ共振回路になっています。ノートパソコンの冷陰極管の電源などに用いられているようです。
 発振周波数は10kHz程度ということです。

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