2011年2月5日(土)愛知工業高校での例会の記録第3ページです
生活の中の電気や磁気の不思議をさぐる (飯田さん) |
高校での出前授業で演示した実験のいくつかを紹介してくれました。 |
ガラスを割り、フィラメントをむき出しにした白熱電球と豆電球を直列につなぎます。 豆電球がわずかに光る程度に電圧をかけます。(6V程度) ここで、フィラメントに息を吹きかけて冷まします。豆電球の明るさはどうなるでしょう。 |
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豆電球がわずかに光る。 | 白熱電球に息を吹きかけると・・・・ 豆球が明るくなります。 | |
白熱電球は、電流を流さない状態では抵抗値は小さいです。ところが、電流が流れてフィラメントの温度が上がると抵抗値がぐんと大きくなります。 この状態の豆電球の明るさと、フィラメントに息を吹きかけて冷ましたときの豆電球の明るさを比べます。 抵抗の温度変化について注意を向けてもらうための実験です。 |
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今度は、逆にフィラメントを火で加熱します。豆電球はどうなるでしょう。 |
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フィラメント加熱前 | フィラメント加熱中 |
次の問題を考えてください。 家庭用のコンセントはどちらですか。 身の回りにありすぎて注意を払っていないのか、よく知らない高校生が多いようです。 (長さの差もわずかなので気がつかないのかも・・・) |
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日本の一般家庭やオフィスなどに引き込まれている、単相交流100ボルト用のものでは、細長い差し込み口が2つのものが主流で、左側の差し込み口の方が少しだけ長くなっている(左側が9mm、右側が7mm)。少し長くなっているほうが接地側となるのが正しい接続法である(JIS
C 8303 2極コンセント 15A125V)。 <ウィキペディア> コンセントの接地側を確認するための便利な検電器を見つけました。 電線のHOT側に先端を接触させると、赤色発光とブザーで知らせます。(cold側=アースされている側は変化なし) もっとも普段の電気製品使用では、HOT側、COLD側を意識することはほとんどありませんが・・・・。 |
次の問題は フェライト磁石により、鉄球が磁化されます。 磁化された鉄球のほうが強い磁力で引き合います。 このため、上の鉄球を引くと、フェライトと下の鉄球との間で離れます。 (磁石に強力なネオジム磁石を使うとどうなると思いますか?) 日常生活でも、磁石に鉄片をつけて、強い磁石にしている例がたくさんあります。 |
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フェライト磁石の上に鉄球を2つ置く。 | 上の鉄球を引くと、どこで離れる? | |
磁石にあわせて長さを決められる便利な鉄片。 弱い磁石をちょっぴり強くできます。 |
扉の固定などに使われる磁石(右)。鉄片が使われています。 左は、替釘(左写真)の鉄片をつけた磁石。 |
物質の磁性も温度によって変化するということを見るための実験です。 ばね状のニクロム線を吊り下げます。 磁石を近くに置くと、ニクロム線が引き寄せられます。この状態でニクロム線に通電し温度を上げます。 |
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ニクロム線を吊り下げ。 | 磁石にくっついた状態。 | 通電すると温度が上がり、磁石から離れます。 |
磁石も加熱すると磁性を失います。でもそれを演示すると磁石が1つだめになります。 この実験なら、何度でも繰り返せます。 |
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半導体テスラコイル2 (市川さん) |
半導体のテスラコイルの進化版です。 先端にはちゃんとトロイドもついています。 さて、動作は・・・・ ちょいと不具合発生。放電しません。 調べてみると、ヒューズが飛んでいました。つかっているFETには20A程度流れる回路ですが、それ以上の電流が流れてFETが駄目になったようです。 準備万端でも本番で大失敗というのはよくあることです・・・・・(泣)。 |
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<参考> 半導体テスラコイル (市川さん) |
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バンデグラフ2 (林さん) |
自作バンデグラフです。 30万Vを超える発電をしています。 風船を振り子にした電気振り子も、大きな動きになります。 放電も30cmを超えています。 |
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鯨君はバンデグラフに引かれては帯電して反発し右側に電気を運びます。 | 30センチを超える電気火花が飛びます。 |
今回の改良点は、ベルトの動作部を取り外し可能の透明塩ビシートに変えたことです。 バンデグラフの動作には必要ないのです(むしろ筒の強度がパイプより弱くなりました)が、以下の疑問点を確認するために変更したものです。 |
↑ 上部をプラスチックの4本の柱で支える。 筒を塩ビシートに変えて、脱着可能にしました。⇒ |
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疑問点とは 動作中のバンデグラフ各部の電位をネオン管を使って調べて見ると右図のようになりました。 @ベルト表面の電荷(負)が上に行くほど増えている。 Aベルト下り部分の表面は正になっている。 Bベルトの内側ではのぼり側が負、下り側が正になっている。 バンデグラフの動作は、下部のブラシから電子がベルト表面に飛び、ベルトで上方の空洞導体に運び、その内部の上部ブラシを通して、電子が空洞導体外面に蓄積されるというものです。 この動作から予測されることは、 1. 上りベルトは下側が負電荷が多いはず。 2. 下りベルトは電荷0が予想される。 3. ベルト内側の電荷はどうして生じたか。 などですが、@〜Bの実測値をうまく説明できません。 静電気の実験でよく使うバンデグラフですが、細かい点まで分け入ると、わからないことが多々あります。 <参考> バンデグラフ (林さん) |
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本の紹介 (林さん) |
高校生の描いた量子力学の本です。 だからといってお話だけでなく、数学的にも、内容も深いそうです。 日本の高校生も、もっと早くから量子力学やミクロの世界の出来事に馴染む必要があるのかもしれませんね。 岩波書店 2800円。 |
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新燃岳の空振と衝撃波 (井階さん) |
九州の新燃岳で噴火が続いていますが、新聞記事に「一連の噴火で最大の458パスカルの空振を観測した」がありました。 この空振についてまとめてみました。 |
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右の式のpに458〔Pa〕を入れて計算すると空振の音圧レベル〔dB〕は約147dBになります。 通常の会話は 60dB (音圧では0.02Pa) ジェット機の離陸 120dB (音圧では20Pa) これらの値に比べると、空振の音圧はかなり大きいことがわかります。音として聞こえるならかなりやかましい音だということです。 そもそも 儕=458Pa というのは 儕=51kgw/m2 ですから、1m2 のガラス板に50kg程度の人が急に乗ったことと同じですから、ガラスが割れても不思議ではないですね。 |
音圧p (単位[Pa])に対して、音圧レベルLp (単位[dB])は次のように定義される。
ここで、基準値p0= 20 × 10-6 [Pa]であり、これは世界共通の定義である。 |
また、噴火のTV画像で、山腹を下っていくように進む衝撃波が確認できました。 火口から3kmの地点で儕≒4hPa なので、噴火口の圧力変化が表面の増加で減少したと考えて 儕(火口)=4hPa×(3km/30m)2=4×104hPa=40atm と見積もれます。 ランキン・ユゴニオの関係式でこの衝撃波の速度、密度を計算してみると 衝撃波面の伝播速度=1.9km/s 密度比=5.2倍 また、密度比と圧力比から火口での温度を状態方程式で計算すると、T≒1900℃になります。 (3km地点で280Kとして計算) |
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結論として、噴火口で40atmの圧力変化があったとしたら、ρ≒6.3kg/m3 の重い空気の波面が発生し、音速の5倍以上(1.9km/s)でひろがっていく、ということになります。 |
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潮浪について (井階さん) |
前回の例会で発表のあった、満潮干潮時間についての追加説明です。 |
理科年表に「世界の半日周潮の同時潮図(M2潮)」があります。 この図は、月が経度0(グリニッジ子午線)を経過してから満潮になるまでの時間の遅れを角度にしてあらわしたものですが、これを見ると、日本付近では東から西に時間につれて満潮が移動していきますが、世界では逆向きに満潮が移動する地域もあることがわかります。また、無潮点(潮汐振幅0の点)が地球上に十数地点あり、その点では満潮が回転するように進行することがわかります。 ( ここまでのデータが理科年表にある事すら知らなかった・・・・・・) つまり、現実の潮浪は、ラグビーボールモデル(ラグビーボールのような海水中を丸い地球が回っていることで1日に2回満潮干潮が起こるという考え)では理解不能を意味しているように思われます。 また、無潮点が多数あるということも、波の干渉模様を思い起こさせます。 基本原理と現実があまりにかけ離れているので、その間を埋めるのはかなり難しい作業になるようです。 |
<参考> 再び、なぜ満潮や干潮は一日に2回あるの? (山本さん) |