2013年5月18日の記録の第2ページです


 太陽の像はどこにできる? (鈴木さん  

 太陽光を凸レンズで集めるという実験において、太陽はどこに像を作るでしょうか。
 
 鈴木さんは、太陽のある点Aからの光に着目すると、レンズに届く光は近似的に平行光と見なせることから、ほぼ焦点に像ができるとの考えを発表しました。
  太陽は点光源ではないので、像は焦点距離に大きさを持ちます。
 太陽からレンズまでの距離(≒太陽から地球までの距離)とレンズの焦点距離をレンズの式に代入し理論値を求めると、1/f=1/1億5000万+1/b、倍率m=|b/1億5000万|、ここで、焦点距離 f=0.1[m]ならb≒0.1[m]となり、太陽の像の大きさは太陽の直径1,392,400[m]×0.1/150,000,000≒1[o]となり、実測値とほぼ一致します。
  太陽は点光源ではないのです。

 不思議な鏡 (加藤俊さん)  

  鏡面のように見えますが、鏡に映る像は上下は変わらずですが、左手を挙げると、鏡の中の像も左手を挙げます。
  なぜ、このように見えるのでしょうか?

  鏡の中の像も左手を挙げています。   上から見るとこんな曲がり方ですが・・・


  鏡に反射する光の道すじを作図すると図のようになります。

 これで、この鏡で像ができる理由が分かりますね。また、焦点距離よりこの鏡に近づくと虚像ができることも納得できます。

 



  物体が焦点の内側にあると虚像ができることも…

 厚膜の干渉 (杉本さん)  

 杉本さんはいきわく1にも書かれている厚膜の干渉を授業で行おうと実験を行っていた所、疑問が生じてきました。

 この実験はレーザー光のような位相のそろった光を、厚みのあるガラスなどに入射すると、ガラスの表面と裏面で反射した光が 微小なガラスの厚さの違いで、強めあったり打ち消し合ったりするというもので、薄膜の干渉と同様の考え方で説明できるものだ とサークル内では捉えられてきました。

 杉本さんが実験を行ったところ、これまでの考え方では説明がつかないことが起こりました。後に述べる仮説を確かめるため、 凸レンズをレーザー光の前に置き、レーザー光を広げることで、縞の間隔を広げ、より鮮明に観察できるようにしました。 そして、条件を変えながら実験を繰り返したところ、次のような事が分かりました。

(1)縞は平面上でのガラスの向き、光がガラスに当たる場所によらない。
(2)厚いガラスほど縞の間隔は小さくなる。
(3)ガラス面への入射角が小さいほど縞の間隔は大きくなる。
(4)透過光では干渉縞ができない。
  くさび形空気層による干渉に使われる厚さの均一なガラスを使っても干渉縞は現れました。
  レーザー光を凸レンズで広げ、干渉縞を観察しやすくします。   すると、スクリーンにはこのようなはっきりした干渉縞が・・・

  これらの結果は、この現象を薄膜の干渉と考えると整合性がとれません。

  杉本さんは、次のような仮説を立てました。これまでレーザー光を平行光と見なしてきたが、レーザー光は4m離れ た場所では直径5cmにもなることから平行光として扱うこと自体が無理である。
 この仮説に従うと、光源Oから出た広がりをもったレーザー光は厚膜の表面と裏面で反射し、ある点では光の干渉の明 線条件、光路差=(m+1/2)λ(m=0,1,2…)となり、光が強めあいます。


  杉本さんの近似計算によると、明線の間隔は観測値とオーダーは合っていたそうです。  (実際には2次の反射光や3次の反射光もあるため、より多くの明線ができるはずが・・・)
 膜の貼られていない金属の表面でも同様の実験を行いましたが、予想通りにこの場合は干渉縞はできませんでした。

 この説が正しい可能性が高まったように思いますが、真偽のほどはいかに?


 安価なハイスピードカメラ (佐野さん  
 物理教育にハイスピードカメラは様々な形で使用されるようになってきましたが、 CASIOのカメラは10万円を超える値段が、普及を遅らせる原因になっていました。 佐野さんはカメラの購入際、物理にも使えるものをと探していたところ、 NIKONのJシリーズにもハイスピードカメラとして使用できる性能があることに気づきました。

 価格は旧型のJ1で標準レンズキットなら現在25000円弱です。1秒に400コマと1200コマ が選択でき、400コマだと640×240ピクセル、1200コマだと320×120ピクセルで撮影可能です。
  安価ですが、ハイスピードカメラとしての十分使えます。

 ペルチェ素子で霧箱実験 (鈴木さん  

 霧箱の実験で、冷却材としてドライアイスを使う方法が一般的ですが、ドライアイスの入手はそれほど容易ではありません。千葉大学教育学部の東崎 研究室に所属された渡邉晋太郎さんはペルチェ素子を使用する試みを卒業論文にまとめられており、鈴木さんは実験の追試を行いました。


  発泡スチロールの容器を氷水で満たし、ペルチェ素子を置きます。そこに、側面の吸着剤にエタノールを十分含ませたプラスチックシャーレをのせます。 次に、シャーレ内に放射線源を置き、点光源の高照度LEDの光を当てます。そして、ペルチェ素子が十分冷えるのを待つと、α線の飛跡が観察できます。

 
  発泡スチロールを氷水で満たし、シャーレの下にペルチェ素子を接触するように置きます。
  放射線源を入れるとα線が飛ぶのが見えるようになります。

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