2015年12月12日(土)愛知工業高校での例会の記録です。


 ブルキナファソ大使 (植田さん)  

 

 ブルキナファソの在日大使が商取引の関係で三重県に来るということで、物理教育用アプリ開発について意見をもらいました。

 
 植田さんはアプリ開発の動機である物理教育の現状と、自身のアプリをブルキナファソで使ってもらうことまで話を進めていこうとプレゼンを用意しました。

 
 国際貢献をと思い、自作アプリを紹介しました。
 物理の学習がが重要であるが、最も嫌われ、苦手である現状をクイズ形式でユニークに紹介し、その後にアプリを紹介する予定でしたが、大使との会話から、ブルキナファソでは、パソコンは愚か、理科の簡単な実験器具もなさそうな現状が浮かんできたので、アプリを使ってみてはという提案まではできませんでした。

 ただ、ブルキナファソなどの途上国でも廃価なスマートフォンが急速に若者の間で普及してきているので、スマートフォンアプリを開発することの方が有効であることを認識できたそうです。
  今後も植田さんの活躍に目が離せませんね。 
  最も苦手な科目は?もちろん、


 音の虚像 (佐野さん)  

 光では、凹レンズにより虚像が見えるように、音でも虚像のような音があたかもその点から出ているように聞こえる点ができるのか?

 そして、音を聞いて人間にその変化が聞こえるのか?そのような疑問を愛工のヘリウムを使い、行ってみました。
 ヘリウムのボンベから巨大ビーチボールにヘリウム入れることは、いくらか漏れのロスはあったものの、ビニールテープを使い3人がかりで上手くいきました。

 実験はスピーカーから特定の振動数を出し、レンズの効果をもつヘリウム入りビーチボールを天井から吊るすという方法で行いました。

 結果は、音の大きさが聞く位置により変わってしまい、レンズ効果をまったく実感できませんでした。
 これは反射音とビーチボールを通った音の複雑な干渉によるものと考えられます。
 残念ながら手掛かりも掴めずでした。


フレミング左手の法則 (林さん)  

 林さんは、先進科学塾に向けて、準備した実験を紹介してくれました。
 まずは、フレミング左手の法則の実験です。

 コイルは10巻ほど、電源は1.5Vの乾電池です。

 電池のON、OFF時のコイルが動きがはっきり観察できます。
 電流が磁場から受ける力の確認になります。
 電流が磁場から受ける力を確認します。


 クリップモーター(林さん)  

 続いて、クリップモーターです。

 フェライト磁石を5個重ね、コイルは10回巻きにすると、たった乾電池1個につなぐと、コイルがモーターになり、動きます。

 反対に、コイルを回すと、発電します。
 このときの電流を測る際、デジタルテスターで調べると、若干ノイズが入るため、林さんテスターに並列にコンデンサーを入れ、電流値を測る方法を考えました。
 装置はよりシンプルにした方がいいのではという声もあり、デジタルテスターとコンデンサーをはずし、代わりに検流計を使いました。

 これでも電流が読めるだろうと意見と、検知できないに決まっているという意見で分かれていましたが、

 やってみると、振れているのが確認できるかどうかという程度の電流しか流れませんでした。
 参加者は人力で発電することの大変さをしみじみ感じました。
 先進科学塾用に考えたクリップモーター。


 相互誘導から磁場を推定 (林さん  

 相互誘導で生じる誘導起電力から磁場の強さを探る実験を紹介してくれました。

 準備したのは発振器、アンプ、コイルは5回巻きのもの、1.5VのLEDを用い、明るさで視覚的に示します。

 発振器から10MHzの交流を流したコイルは固定し、もう一方のLEDにつながれたコイルを動かすことで、磁束の様子を浮かびあがらせます。

 
 装置はコンパクトです。
 面白かったのは、2次コイルを1次コイルと重ねた状態から、コイルの外側に動かした場合です。
 一度LEDが消えた後、またLEDが光り、また消えます。


なぜだか分かりますか?


 ヒントはコイルの周りの磁束を描くことです。

 鉄心を入れることなども簡単にできるため、応用範囲も広く、ある程度理解が深まった生徒にとっては有意義な実験になりそうに思いました。    
 LEDは一度、消えますが
 例会では、周波数が交流の周波数である50・60Hzではだめなのかとの質問がありました。

 議論の結果、インピーダンスωLの関係で周波数が少ないと巻き数が少なく済み、周波数が大きいと、時間当たりの磁場の変化が大きくなることが原因で周波数が大きい方が良いようです。
   
 また、輝きます。


 着地パイプ (土肥さん  

 今年度に転勤し、バトミントン部の顧問になったという土肥さん。

 バトミントンのはねの容器が数多くに廃棄されるため、何かに使えないかと考えていました。

 適当に切って気中共鳴の装置に使ったりしていましたが、筒の中を加工して、高くから落としても、倒れずに着地する。着地パイプを作りました。

 職場の若い先生から、面白い顔ですねと言われ、苦笑いだったとのこと。
 仕組みは、中に厚手な方の筒を切って2重にし、入れてあります。

 授業では、筒のみと、仕掛けを使った筒を落として比較させ、構造を考えさせています。

 中に筒をたくさん入れるとより安定して着地できるとの意見もありましたが、土肥さんは手で持った時の重さが変わるため、なるべく少なくしているそうです。
 中はこのようになっています。

 PVグラフを演示実験に! (土肥さん  
 熱力学の分野は教科書の内容に完全に合致した実験があまりありません。そのため、無味乾燥な授業になりがちです。

 そこで、土肥さんは教科書に載っていたというPVグラフで長方形で表される熱サイクルの実験をアレンジし、演示実験を行っています。

 事前準備として、熱風を当てながらペットボトルを叩き続け、音の変化で圧力の大きさの変化を捉えることができることを確認させます。
 実際に熱風を送り、圧力が増すと音が高くなります。

 
 音の高さが圧力と相関関係があることを示します。
  一同の賛美を集めたのは、定圧変化の後に、定積変化をさせるためにと考えたビニールテープ。素晴らしいアイデアです。
   
 実験で結果が明示できることは魅力的ですが...


 磁場観察装置 (土肥さん)  



 ケニスの磁界観察用の鉄線(2000円弱)をダイソーの額2つではさみ、磁場観察装置を作りました。

 鉄線1つで装置が3個ほど作れ、リーズナブル!磁石を近づけると磁場の様子が良く分かります。


 40人の授業なら10セットほど作っておくと良さそうです。  
 大きめサイズが班ごとの観察に適しています。


 ボーアの量子条件(土肥さん  

 続いて量子の量子条件のデモンストレーションの紹介です。

 定常波を上手く作れる素材を探してきましたが、結局、光ファイバーに行きつきました。

 蛍光色の光ファイバーを使うと、暗闇での演示がとても効果的!

 振動モーターには見慣れない両方に軸のあるタミヤのマッハダッシュモーター PROを使用し、両端にロウソクを錘にしています。
 
 タミヤ マッハダッシュモーター PRO 。今はこんなのもあるのですね。


 蓄光と光の波長(土肥さん  

 蓄光シートに魅力を感じ購入しました。

 その仕組みは光電効果なのでしょうか?愛工の波長順の並んだLEDで実験してみました。

 
 波長順に並んだLED。さすが井階さん愛工には何でも用意されています。
 すると、一目瞭然、紫、紫外線、白色のLEDの部分が蓄えられた光で輝きました。

 紫外線が最も明るく、予想通り、蓄光は光電効果と考えられる結果となりました。  
 結果は予想通りとなりました。


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