2015年12月12日(土)愛知工業高校での例会の記録の第2ページです。


 大車輪てつぼうくん (土肥さん)  



 右の写真のおもちゃは、おもちゃ大賞をとったという「大車輪てつぼうくん」。

 共振を利用し、体操の鉄棒競技を再現しています。

 押すボタンは2つのみ。1つは膝から下を振るボタン。もう1つは磁石が外れる、鉄棒から手を離すボタン。

 おもちゃとしては単純な構造に思えますが、動くは複雑で、予想以上によくできています。
 大人でも熱中できるさすがおもちゃ大賞といえるものでした。  
 近頃のおもちゃは本当によくできています。


 ボディメカニクス (飯田さん)  

 今年度、大垣女子短大で講義を受け持っている飯田さん。高校で物理を学んでいない学生が多く、介護士の道に進む学生さんも多いため、現場で役立つボディメカニクスを教えています。

 今回は、講義の中でも評判が良かった、ボディメカニクスを体感する活動を紹介してくれました。
 生徒の実態とニーズに合わせて授業を作る教師のお手本です。
 ボディメカニクスでは、モーメントの考え方を使う事が多いため、輪軸を用いた実験を見せています。

 輪軸はてんびんの角度が変わっても、半径の距離におもりをつるす場合、円周に沿って糸が絡まるため、うでの長さが変化しないというのが素晴らしいです。

 うでの長さを理解させる実験として、右側に距離1のところにおもりを4つ載せると、左側の距離4に1つ載せれば、つり合う事を確認させます。  右側のおもりの位置、数はは変えずに、左側の6に1つ載せると、どこまで軸が動くか分かりますか。
 得意の演示実験も織り交ぜています。
 最後に演習問題を行っています。

 飯田さんやお尻の筋肉を求める計算をさせているようですが、飯田さんの力のつり合、モーメントのつり合いの式に異論が噴出!
 全員が納得するような結論には至りませんでした。

 これらの考え方を使って、職場で応用してもらえるといいですね。
 人の模型を使っての説明でしたが。


空中浮遊ゴマの製作 (伊藤政さん)  

 向陽高校科学部の1年生部員の研究紹介です。
 U−CASの研究を行いました。伊藤さんはU−CASを壊さず(分解せず)、磁石の構造を推測させるところから研究を始めさせました。

 しかし、生徒が実験中、なんと落としてしまい磁石が出てきてしまいしまうということに。
 結局、磁石そのものを調べることとなってしまいました。
 仮説を立て実験をさせていたのが、まさかの落下事故でネタばれに。
 その後、磁石を浮かせる構造を考えました。磁石の磁力を均等にすることや、磁力の調整がしやすいことが決め手となり、フェライト磁石を5段に積む方法を取りました。

 これではコマを浮かすのに磁力が不十分だっため、フェライトの上に強力なネオジム磁石を1つずつ置くことで、御覧の通り、コマを浮かすことができるようになりました。

 生徒は1分以上浮遊させたそうですが、伊藤さんが会場で行っても、移動中のわずかな狂いが調整できず、すぐに落ちてしまいました。

 生徒達の体得したコツも時間の成せる技というべきものなのでしょうね。
 しばらく浮遊させるには、かなりの練習が。


 共振はうなり?(石川さん)  

 以前に紹介され、そのユーモラスな動きに注目が集まったばねの共振ですが、石川さんは何か意味があるのではないかと、考察を重ねました。

 その結果、2つの波の重ね合わせによるうなりであるという結論に至りました。
 自然科学は本当に奥が深いですね。
 振り子の実験では、紐全体の周期が 秒、連結部の周期が 秒、ちょうどf1−f2がうなりの振動数となりました。

 「振り子の共振が意味するものは?」という石川さんの発問ににその場で答えた奥村さんによると共通一次の時代に出題されたことがあったそうです。

 今の受験生にも答えられるでしょうか?
 うなりの説明器です。


 ばねの共振(川田さん)  

 石川さんの装置に触発されて同様の実験装置を作りました。

 長さの等しい場合だけでなく、長さが2対1でも連結点が節になるので、2つのばねの間できちんと振動が受け渡されます。
 実験を見せる際、生徒にどう説明しているかという質問がありましたが、川田さんは面白い現象があるとの紹介に留めているそうです。
 意味は分からなくても単純に興味深い現象です。


 魔法のじゅうたん(岡田さん)  

 千葉の越さんが紹介されていた、魔法のじゅうたんを紹介してくれました。

 仕組みは、青と赤の立体視で、その2色を使い分けることで、まるで、絨毯に乗った人がが宙に浮いているように見えます。

 配色を逆にすれば、逆に地面に沈み込む絨毯もできます。

 原理は古くから知られているものらしいですが、面白い実験です。
 靴下の色までも効果を高める工夫を凝らしています。


 双峰曲線 (前田さん、川田さん  

 前回、前田さんが実験結果として紹介した共振が2つの周波数で起こる問題ですが、川田さんと前田さんが本で勉強した内容を紹介してくれました。

 本によると双方曲線と呼ばれ、  
 不思議に思われた現象ですが、実験結果は正しいかったようです。


 不可逆変化を逆再生ソフトで (前田さん  

 不可逆変化を説明するのに、動画を逆再生して、実際には起こり得ない現象を生徒に指摘させるという試みです。

 前田さんの紹介したのは、レインボースプリングが会談を降りていく様子を逆再生したものでしたが、生徒が熱中できるような面白い動画を用意できれば、その記憶と関連付けて覚えておけそうですね。
 
 前田さんの作ったスプリングが階段を上っていく動画です。

 鉄の液体(前田さん  
 物質の三態の演示で鉄の液体状態を見せたいと考え、長年模索を続けてきましたが、所有する60Aまで流せる電源でやってみました。
 

 電流を流してしばらくすると、鉄が赤熱し、液体となり破片が飛び散っていきます。

 花火のようで、迫力ある実験でした。  
 大電流を扱うので取り扱いで十分注意して下さい。


 木製ボートの計画(上野さん  

 上野さんは、趣味で薄ベニヤで手漕ぎボートを作る予定ということで、その模型を見せてもらいました。

 予算が数万円ということでしたが、話をあまり聞かず早とちりなメンバーは、模型が数万すると勘違いし、一同大爆笑!  
 これは模型です。

 将来的には亀を裏返した形のボートも計画中だそうです。

 時代が時代だけに、密航船に間違えられないように、対策も考えているそうです。
 ゆくゆくは亀型ボートも製作予定です。


 泡の運動とはかりが受ける力(林さん  


 閉鎖系となっているアクリルパイプ内で泡が上昇するとき、アクリルパイプがのったはかりの目盛りはどう変化するでしょうか?

 実験装置を作ってみました。アクリルパイプの中には空のペットボトルがセットしてあり、電磁弁のON、OFFでペットボトル離し、上昇させ始めることができます。

 実際にやってみると、ペットボトルが上昇を始めた瞬間に目盛りが0.8kgw減りました。

 この理由について議論が交わされましたが、水の重心の位置が下がる→水が落ちる→水を支える上向きの力が減る→台秤が及ぼす抗力の減少と考えられそうですが、力の作図をすると混乱が生じてしまい、全員が納得するような結論はでませんでした。

 単純な現象に思いますが、議論は白熱し、改めて、力学の奥深さを実感しました。
 すぐに容器が上昇してしまうため、装置も大がかりになります。


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