2017年12月9日(土)の記録の第2ページです


 エコラップで斜方投射と衝突 (佐野さん  

 摩擦のない床と衝突する斜方投射した球の運動はシリコンラップを用いれば、実現可能です。

 佐野さんは、この運動を定性的に理解させようとゲーム感覚で授業に取り入れてみました。

 下は生徒に配布したプリントです。自由落下のはね返りを既に学んだ後、この軌跡の間違いを考えさせました。

 実験は、発射が容易な水平投射にし、水平方向に55cm離れた先にラップ1で跳ね返るようにしておきます。続けて、90cm先にラップ2を置き、ラップ3の位置は90cm先に置いておきます。

 この軌跡、どこが変か分かりますか。


 水平距離が変わらない、この設定では、ラップ3の手前で鉄球が落下してしまいます。

 再度考えさせ、どこに落ちるのか見当がついた生徒が出てきたら、3つ目のラップを動かしてもらい、球を転がすように指示します。
 見事、球がラップではね返ると、クラスは大盛り上がり!

 さらに缶を用意し、最後に球をいれるなどの演出も可能です。


 人間・アリ・象 (飯田さん  
 昔から使ってきた人間・アリ・象という絵本を元に作った授業ですが、。

 元々の内容は、身長がヒトの10倍のガリバーなら体重は体積に関係するので103=1000倍。

 一方で足の裏の面積は102=100倍までしか増えず、足の裏にかかる圧力は10倍に。

 結果として、大型動物は、足を太くするしかなく、足で支えられなくなり、シロナガスクジラは海で浮力を利用して体を支えるようになったということでした。

 鈴木さんから提供してもらった象の足跡から、計算を使うと、写真のように象の体重は飯田さんの64倍。計算すると4.5トンになります。
 実際の象の足跡。実物に勝るものなしですね。


 しかし、実際の象の体重は、3トンで誤差がかなりあります。

 これまで、そこは誤差の範囲と言うことであまり深く教えてきませんでした。

 飯田さんは「生き物たちは3/4が好き」という本で、自重で上下につぶれ、横に広がる影響を考えた弾性近似といものを知りました。
 弾性近似とは底面積∝高さと、ベルクマンの法則とよばれる「恒温動物は、寒冷な気候に暮らす種ほど、体温を保つために大型化する」というものから始まった考えだそうです。
 ただ、多くの法則が3/4の生物にしか適応できないという経験則的な比率がよく見られるということですが、偶然の一致なのか、意味があるものなのか...判断の難しいところです。
 大学で講義をするにあたって、今も学びを続ける姿、いい刺激になりました。


 ステッピングモーター楽器 (田中さん  
 ステッピングモーターは普通1秒あたり200パルスを与えると1回転します。与えたパルス数と回転数が比例するため、音階の制御が容易です。

 PICで制御し、曲を自動で奏でる楽器としてはたらかせてみました。

  共鳴箱としての紙コップの上にステッピングモーター置くと、曲を演奏してくれます。なんともユーモラスな光景です。
 紙コップで共鳴させています。
 今度は、ギターの上に置いてみると本格的な音色に変わりました。

 この楽器は、名古屋EHC(エレクトリックサークル)の活動で、製作会も開催されました。
 ギターのを共鳴箱として、音を大きくしてみました。

 棒でつながれた2物体の運動 (山本さん  
 2011年の東京大学の入試問題では2物体を一方が回転できる軽い棒でつなぎ、右の図のように物体を最高点から円運動させたときの運動についての出題でした。
 山本さんはこの問題を、棒にボールを差し込むことで再現しました。さらに棒の下端に指サックや、おもちゃの車などを使用することで、 摩擦のあるなし、大きい小さいを変化させて運動の変化を調べました。

 問題集で見つけた東大の問題です。
 θ=0°のとき、球Aは静止するため、球Aが棒から受ける力fと球Aの重力mgの合力がつり合うため、力fは上向きにmgと同じ大きさになります。
 この状態で右向きにゆっくり動かすと、Aは棒を半径とした円運動の奇跡を描きます。向心力F=mv2/l=mv2/l=mgcosθ−f
 速さvが増すにつれ向心力Fは大きくなるため、fが減少し、0になります。

 このとき、壁から物体Bが受ける垂直抗力R=0、今、物体Bが受ける水平方向の力のつり合いから R=fsinθなので、f=0といえます。
 f=0になると、物体Aが受ける力は重力mgのみになるので、この時点の右斜め下向きの初速度を持ち、落下していく放物運動になります。

 つまり、物体Aははじめ、非等速円運動を行い加速し、途中から放物運動になると考えられます。
 重心の位置を示す山本さん。

 気柱共鳴の開口端での空気の振動 (林さん  
 気柱共鳴が起こるとき、開口端で空気の動きがどうなっているのかということを調べてみた林さん。
 直径10pで1.8mの長さがある大型のアクリルパイプを持参して、中に小さな発泡スチロール球を入れ、その場で実験の再現となりました。

 ローソクの炎で空気の動きを調べる方法をとりました。
 実験前に、林さんは100Hz程度の振動だと炎の揺れがついていけないかもしれないが、その場合は炎が微振動ですのではないかと予想していました。

 本来の目的の前に、科学館並みのクントの実験に単純に感心していた参加者一同です。
 結果は、開管の中心では外側に空気が流れ、炎が消えてしまいました。アクリルを溶かさない程度まで管の中心から外側に動かしてもやはり、同じ方向に炎はたなびくばかりでした。
 理論的には振動の腹となるので空気が左右に大きく振動するはずですが、なぜ、管内に向かう空気の流れがないのでしょうか?

 管内からはき出される空気の供給源は謎に包まれてしまいました。
 スピーカー側では管の外側へ空気が動いているようでした。  炎は管の外側になびくばかり。

 竜巻の原理(伊藤さん 
 向陽高校の生徒とともに竜巻の原理を調べてきた伊藤さん。
 今回は竜巻の風速分布と気圧変化を定量的に測定しました。

 長年にわたる竜巻の研究です。
 竜巻の風速分布について、新しい知見が得られたそうです。

 研究のさらなる進展期待したいですね。
    竜巻の速度分布を調べました。


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