2005年夏季活動・飛騨・高山方面 2005/08/08-10
日本最古の化石とスーパー・カミオカンデ

 2005年度の夏季宿泊活動は、岐阜県の飛騨市(旧上宝村、旧神岡村)および高山市方面です。
日本で一番古い時代の岩石がとれるところです。ニュートリノ観測施設のスーパーカミオカンデも見学します。

1日目:藤沢〜安曇野〜福地


 朝7時前、湘南台駅の地下広場に集合。バス2台で出かけます。

 途中、渋滞で1時間以上遅れてしまいました。中央高速道の双葉サービスエリアでお弁当タイム。

 崖っぷちをはうようにしてバスを走らせ、最初の見学地、東京電力安曇野発電所に着きました。ここはまだ長野県です。

 発電所前にそびえる奈川渡ダム。アーチ式では日本第三位の155mという高さです。

 係りの人から詳しい説明をうかがいます。この発電所は「揚水式」といって、夜の余った電力で発電機を逆転させて水をくみ上げ、昼の発電に使っています。

 6つの発電機がありますが、ここに並んでいるのは3〜6号機。揚水ポンプと兼用の発電機です。62万キロワットの電力を生み出します。

 発電機の水車と回転するコイルをつなぐ太い軸が、ぶんぶん回っているのが目前に見えます。

 ダムサイトの真下から見上げたコンクリートのアーチ。上は覆いかぶさるようにせり出しています。

 50万ボルト高圧送電用の大きな変電器の前で記念撮影。何もかもが巨大で圧倒的な迫力でした。
 

 阿房トンネルを抜けて、岐阜県に入りました。このあたりから北側は日本で最も古い飛騨帯という地層で、福地は飛騨外縁帯と呼ばれ、日本最古の化石がとれるところです。

 福地化石館の二階展示室。保存民家を改築した建物に、地元の化石収集家、山腰悟さんが集めたたくさんの化石が整理・保存されています。

 化石館の前で相原先生や、角田先生の説明を聞きます。渋滞による遅れで、実際の化石採集ができなかったのがかえすがえすも残念でした。

 予定より1時間半遅れて、高山市の国民宿舎「飛騨」に到着。少年団貸し切りで、ここに2泊します。

2日目:神岡周辺


 一夜明けて、6時起床、8時出発。今日のメインはあこがれのスーパー・カミオカンデです。まずお手洗い休憩を兼ねてスカイ(宙)ドーム・神岡で予習をします。

 お土産売り場のわきに、スーパーカミオカンデの実物大模型のコーナーがあります。直径50cmの巨大な光センサー「光電子増倍管」が壁一面に並んでいます。

 先生の説明を聞きながら、さわったりしてみました。本物のカミオカンデでは、みんながいるところは大量の水で満たされていて、真っ暗にしてあります。

 ノーベル賞の小柴昌俊博士や、宇宙飛行士の毛利衛さんのサインが書いてある「ノーベル夢ドア」の展示がありました。でも。どうしてドアなんだろう。

 神岡鉱山の跡津抗口につきました。ここから約2キロメートル水平に進んだところに「スーパーカミオカンデ」があります。そこは池ノ山の山頂から約1000mの地下。他の宇宙線を厚い岩盤でシャットアウトして、宇宙ニュートリノを検出するのです。

 4班に分かれて見学します。安全のためヘルメットをかぶり、鉱山事務所さしまわしのマイクロバスに乗り換えて順次坑道に入ります。ついにここまで来たぞ。ワクワク・・・

 コントロールルーム前で、説明のビデオを見て、スーパー・カミオカンデが、何を観測しているのか、どのようにして建設されたのかなどを学習しました。

 若い研究者のお兄さんが、説明してくれました。山の立体模型を持ち上げると、中の坑道の様子が見えるようになります。先月みんなも作ったよね。

 スーパー・カミオカンデの上にある部屋です。飛騨片麻岩の固い岩盤をくりぬいて作ったドーム状の天井。床下に、5万トンの超純水を蓄え、11146本の光電子増倍管に取り囲まれた直径40メートルの水槽があります。

 水槽の上部のこの部屋は、エレクトロニクスハットと呼ばれています。光センサーからの信号を処理するたくさんの機械と、それらを結ぶスパゲティのようなおびただしい数のコードがありました。

 先陣の1班が見学を終えて、抗口前で記念写真。坑道内は年間を通じて気温が15℃でほぼ一定しているそうです。トンネルからひんやりした風が吹き出して、絶えず霧を作っていました。
 

 お弁当を食べた後、近くの神岡鉱山資料館に寄りました。

 日本最大の亜鉛・鉛の鉱山だった神岡鉱山に関する、江戸時代からの資料が集められています。

 フィールドノートを片手に、展示を見ながら問い答えていきます。

 運営委員の先生方が一緒にまわりながらヒントを出してくれます。

 鉱山で鉱石の目方を測るのに実際に使われていた大型の天秤。50キログラムまで測れます。

 お隣は神岡城。戦国時代に武田信玄の家来が築いた城で、豊臣時代まで使われていたそうです。昭和45年に復元されました。

 近くの高原川の河原におりて、岩石を採集しました。相原先生が飛騨の岩石の由来や、見分け方を説明してくれました。

 この辺に特徴的な岩石は片麻岩です。造山運動に伴う強い力を受けて変化した変成岩で、飛騨片麻岩と呼ばれています。

 ピンク色の長石が楕円形になってゴマシオのような地肌に含まれている「眼球状花崗片麻岩」。文字通り本日の「目玉」です。

 みんなお宝探しに懸命です。中には一人では持ちきれないほどの岩石を拾って、先生に手伝ってもらってようやくバスまで運び上げた人もいました。

 次にたずねたのは、国指定の天然記念物「横山楡原衝上断層」の露頭です。山道をずっとおりて行くと切り立った崖のある河原に出ます。

 奥に見えている斜めの線が断層です。左右方向の強い圧縮力により、左側の古い飛騨片麻岩の地層が、右下の手取層群という比較的新しい砂岩・泥岩の地層の上に乗り上げたものです。

 向かいの川岸にも褶曲した地層が見えています。強い力が大地をおし曲げている様子がわかります。

 充実した見学を終えて宿舎に帰りました。今日の夕食は駐車場の広場でバーベキューです。

 運営委員の先生方やいそぎんちゃくの先輩たちが火の番をしてくれます。

 肉も野菜もおにぎりも焼きそばもたっぷりあるぞ。みんな大喜び。

 食事中に突然の夕立。みんなあわててお皿を持って軒下へ。でも、このころまでにお肉はほとんど食い尽くされていました。

 アメニモマケズ、ずぶ濡れになりながらも奮戦するいそぎんちゃくの先輩たち。子供が避難した後は俺たちの天下だぜ。

 入浴後は天気図講習会。ここでもいそぎんちゃくの先輩たちが大活躍。

 上級者コースと初級者コースに分かれて、ラジオを聞きながら天気図を書き取る練習をしました。

3日目:高山〜藤沢


 翌朝も雨。傘をさしながら、班別行動で高山市街を見物します。ここは宮川に沿った朝市通り。

 古い商家が軒を連ねる上三之町。江戸時代にタイムスリップしたみたいだね。

 いよいよ最後の見学地、飛騨大鍾乳洞です。古生代後期(2億5千万年前)に海の生き物たちが作った石灰岩の地層を、比較的最近に雨水が溶かして作ったほらあなです。

 入り口の大橋コレクション館には、数々の宝物が展示してあります。社長の大橋外吉さんって大金持ちだったんだね。中でも人気だったのは100キログラム、2億円の金塊。みんなでなでました。

 鍾乳洞の中は暗くて川が流れていて、ちょっとした冒険気分です。中はひんやりクーラーいらず。

 神岡鉱山と違って、こちらは天然の洞窟です。広いところや狭いところ、のぼりおりもあって楽しい。

 駐車場わきのクズ石捨て場で石灰岩を拾いました。ほとんどの石に化石が入っています。サンゴ、フズリナ、ウミユリ、巻き貝も・・・

 夕方、湘南台地下広場に無事到着。お父さんやお母さんが迎えに来てくれました。

 鍾乳洞の前で撮った最後の集合写真。最後にちょっと雨に降られたけど、今年はけっこう天気には恵まれてよかったね。お土産の石も拾ってみんな満足そうな顔です。 

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