神奈川県立教育センター高等学校理科教育研修講座・地学受講報告 99/07/01

日本の火山 講師:川辺禎久先生(工業技術院地質調査所環境地質部火山地質研究室)

 火山を実地に調査され、最先端の研究をされている川辺先生が、大島三原山と雲仙普賢岳の噴火を例に、活火山の驚異を生々しく語ってくださった。OHP、スライド、VTR、パソコンを駆使してのマルチメディア講義だった。ほかでは絶対に聞けないヒミツの裏話も・・・


 光波測距は山体の膨張など噴火の前兆現象をとらえるのに有力な武器になる。下の写真はレーザー光線を反射するコーナーリフレクター。これを目標地点に設置して、麓の基点からの距離を正確に測る。1個約6万円もする。


 コーナーリフレクターは正確にもときた方向に光を反射するので、どの方向からのぞいても必ずコーナーに自分の瞳が写る。写真では必ずカメラのレンズが写ることになる。

 講義の後の標本観察。標本の一部は分けていただくことができた。

 雲仙普賢岳のパン皮状火山弾。デイサイト質だが、表面はガラス状になっていた。

 伊豆の手石海丘の噴火の際の噴出物。海岸に漂着したものを採取した。一見軽石に見えるが、表面の黒いところは玄武岩質、発泡している白い部分は、なんと粘土と同じ成分だった。つまり海底の粘土が玄武岩質マグマに触れてできたものらしい。「たぶん二度と手に入らないレアもの」だという。

 琉球海溝付近のドレッジ調査で、1700mの海底から引き上げた枕状溶岩。表面付近はガラス化し、発泡も見られない。中心に向かって放射状の条線があり、内部は発泡している。

 ハワイのマウナケア山で採取した玄武岩。マントル物質と思われる、カンラン石を多量に含むゼノリスが含まれている。

 同じくハワイで採取したパホイホイ溶岩。玄武岩質で粘性が低く流動性が高かったため、表面に引き延ばされたような構造が見られる。内部は発泡していてスポンジのように見える。


 ペレーの毛。火山噴火のしぶきが空中で固まった針状のガラスである。

 池田湖で採集された火山豆石。カルデラ形成後、約5500年前の水蒸気爆発で生じたもの。大きな噴火の際の噴煙中では激しい上昇気流を生じ、積乱雲中で雹が成長するように、火山灰の球粒が形成され、降下物となることがある。






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